「商店街ノスタルジア」おまけ配信【第8回】都市秘境マーケット
『八画文化会館vol.8 商店街ノスタルジア』7/2(木)発売を記念して、誌面の都合上掲載できなかった物件や、モノクロだった写真、小さいカットでしか掲載できなかった写真、もうちょっと書きたかったこと等々を全10回更新でnoteでお届けしようと思います!
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戦後の原風景をとどめる市場を10個、独断と偏見で選んでみた。
商店街や市場は町の中心地や繁華街など人の集まる場所にあったが、時代とともに終末化し、エアポケットのような都市の秘境となっている。現役で営業中の市場もあれば、廃墟化して解体されてしまった所もあるが、どこも素晴らしく、記録として残しておきたいと思った場所ばかりだ。再開発でクリーンになる街並みのなかで、いつまで戦後の原風景を保ちつづけられるだろうか?
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1.旦過市場(福岡県北九州市小倉)
変色したコンクリート、剥き出しの配線、増設されたエアコンの室外機置場……、神嶽川に浮かぶ水上の巨大マーケットは、思わず見惚れてしまう佇まいだ。場内に足を踏み入れると、万国旗が乱れ咲き、鮮魚やホルモン、総菜屋に交じって地元名物の明太子やぬかみそだき屋が軒を並べる。福岡は小倉にある当物件、距離的にもアジア大陸に近く、混沌とした逞しさを感じる。連続した時間の堆積によってできたこの圧倒的な風景も、しかし見納めとなる日が近いようだ。川へせり出した部分をなくす再整備計画が迫っている。建替えの話は1960年代以降、度々持ち上がっているが足並みを揃えるのが難しく頓挫を繰り返してきた。岐阜県の柳ケ瀬南地区しかり、なくなるときはあっという間だ。今後の動向に注目が集まっている。
▲換気用ダクト、雨樋、電線とやれたトタンが織り成す至極のハーモニー。人と人がやっとすれ違えるほどの狭隘な裏路地感も素晴らしい
▲大漁旗が祝祭気分を盛り上げてくれる
▲店舗は昭和30年代築のものが多いらしい。渋い肉屋さん
▲祭りのあとのような熱気が沈殿している
▲夜の場内。万国旗が幻想的だ
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