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プログラミング能力が高いほど英作文の能力も高い事例

 私は研究開発職に就いている関係で、ある著名な日本人の計算機科学者が英語で書いた学術論文に目を通す機会がありました。その方はある分野のプログラミングにおいては日本で最高峰の方なのですが、その方が話す英語と書く英語の落差があまりに顕著でした──その方が話す英語は典型的な"Japanese English"だったのですが、その方が英語で書いた学術論文は英語圏の研究者にも引けを取らないほどに格調高かったのです。

 これにはいくつかの要因が考えられますが、一つにはプログラムを書くことと英語を書くことには文法に則る点で類似性があります。いずれも文法を理解した上で文を書く必要があるわけですが、プログラミングの場合は一つでも文法に誤りがあるとプログラムが起動しないため、プログラムを書くことはある意味において英語よりも精緻さが求められます。英文の場合は軽度な文法の誤りであれば意味を汲み取ることはできますが、プログラムの場合はそうはいかないのです。そのため、プログラムを書く際に求められる精緻さが英語を書くことにも活かされ、結果として格調高い英文を書けるようになったという理屈です。

 また、詳細は下記の記事に譲りますが、その方は少なくとも書くことに関しては英語とプログラミングの習得に大して違いがないような状態にあるのかもしれません。

その方は恐らくC言語と呼ばれるプログラミング言語をかなりの水準で習得しているはずなのですが、C言語を書くのと同じ要領で英語の書き方も習得した可能性が考えられるのです。その一つの証拠は冒頭で述べた通り、その方が話す英語は典型的な"Japanese English"だったわけですが、それはプログラミングには話す能力が求められないからです。一方、プログラミングでは一つの誤りもない文法に則って膨大な量のプログラムを書いてきたからこそ、その方の書く英語は英語圏の研究者にも引けを取らないほどに格調高いのです。

 実際のところ、その方は小学校低学年の頃からコンピュータに触れてきたようなので、インターナショナルスクールのような特殊な小学校に在籍していなければ、英語よりも先にプログラミングを習得した可能性が高そうです。これは推察の域を出ませんが、その方が話す英語と書く英語の落差はそれほどまでに顕著だったのです。


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