ローカル de やっぺし/連載エッセイ vol.46
※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.48(2008年10月)」掲載(原文ママ)。
長らく続けているこのコーナー。
(なんと現在連載8年目に突入中!!我ながら驚くやら呆れるやら…)
本人の預かり知らぬ所でいつの間にか「連続エッセイ」なる題目が付いてはいるが、その内容にコレといった連続性はない。
何の因果か偶然この通信を手に取った方が、何の予備知識も必要とせず、例えカイロに何の興味を持っていないとしても、気軽に読み進められるよう自分なりに配慮している結果なのだが、今回ばかりは前回の続きである。
初めて読む方は、前号掲載「若気の至り・今に至る」をお読み頂くとご理解が早いかと。
もしあなたが岩手以外のクリニックの待合室でこの通信を手に取り、尚且つその場に前号がない場合は…担当の先生にバックナンバーを揃えるよう強く要望しよう!!
その先生が参加するセミナーの片隅で入手可能である。
少なくとも過去1年分は…。
勿論「有料」で…。
(先日開催された当組合の総会にて
この通信の「外部販売」が
組合財政を大いに支えている事が
改めて判明した。
何だかニセ札を発行して外貨を稼ぐ
「カリオストロ」チックな体制ではあるが
背に腹は替えられない。
今こそ立ち上がれ!!
全国の「ほねっこマニア」達よ!!)
さて相変わらず前置きが長くはあるが、そんな訳で(どんな訳か知りたい方は担当の先生に…ヒツコイ??)数年振りに再会した友人にとって初体験となる現在進行形の東北の「文化遺産」、「みちのくプロレス(以下、みちプロ)」をナビゲートする事になった私は、7月下旬のやや蒸し暑い昼下がり、「聖地・Y町民総合体育館」の外周で開場を今か今かと長蛇の列に並び待っていた。
何故ゆえこの地が「聖地」なのか?
それはみちプロ旗揚げ時に、閉鎖的な地域性からくる理解度の低さの為、M市内の体育施設から一切使用許可が下りなかった際、近郊で唯一開催を受け入れてくれた施設だったからである。
全国のプロレスマニアとマスコミが辺鄙な郡部の一公営体育館に大挙して殺到し、超満員のむせ返る熱気に包まれた国内初のローカルプロレス団体の第1回興行は業界の伝説となっている。
社長業が忙しく試合開始ギリギリに到着予定の友人の為に、良席を確保しようと逸る気持ちを抑え、列を守って開場入り。
みちプロ名物の「ござシート」にて、ほぼベストポジションをキープした。
この「ござシート」、プロレス興行にありがちなパイプ椅子の代わりに、床へ直接ブルーシートが張られた「自由席」制度で、選手にとっては自由な場外乱闘を展開できるメリットがあり、観客にとっては間近で肉体のぶつかり合いを堪能できる楽しさがある。
時々、持参のペットボトルを「凶器」として奪われたり、乱闘から逃げ遅れて巻き添えをくらいそうになるのはご愛嬌だ。
つまりそれだけ選手と観客の距離が近いのである。
またこの団体の「客層」は、他と著しく異なる。
設立初期に目立った所謂プロレスのコアなファン層である20~30代男性の比率が低く、最近では親子連れや年配者の観客が目に付く。
選手に追い掛け回され泣きながら逃げ惑うチビッ子を、周りは伝統行事「なまはげ」の如く温かい目線で見守る事も多い。
それはまさに日本で初めて「地域密着」を謳ったローカル団体・みちプロ特有の「風景」なのである。
暫くして、娘2人を連れて来ようとするも奥様の猛反対にあい、已む無く単独での観戦となった友人が現れ、試合が始まった。
今回は「旗揚げ15周年記念ツアー最終日」という事で、所属選手に加えて、みちプロを巣立って国内外の第一線で活躍する懐かしの選手達が一堂に会する記念大会であり内容も充実。
東京界隈で開催したら倍以上の入場料が取れるくらい密度の濃いものであった。
試合後の友人は早速、みちプロが展開する「出張イベントプロレス」とのコラボレーション企画が出来ないものか思案している様子。
同様に「地方発信」を標榜する者として感じるモノがあったのであろう。
さすがである。
「15周年」と聞いて、皆様はどう感じるであろうか?
実はプロレス業界において、みちプロは3番目に長い歴史を持つ団体なのだ。
ジャイアント馬場の「全日本」とアントニオ猪木の「新日本」に次ぐ「老舗」といえる。
浮き沈みが激しく、尚且つ「K-1」や総合格闘技に押されて「氷河期」といわれるこの業界において、旗揚げ時に「3年持たない」といわれたローカル団体・みちプロが存続しているこの事実。
いや「ローカル」に拘ったからこそ生き残る事ができたというべきか。
いずれにせよ「地方活性・再生」を叫ぶ各界の御仁にとっては、「たかがプロレス」と毛嫌いせずに、業種の枠組みを超えて学ぶべき点が多いのではないかと強く思う。
みちプロが設立15年目にして初めての試み、地方民放局製作の地上波レギュラーTV番組「やっぺし」において、米国メジャー団体(WWE)でも活躍経験のある新崎人生社長は語った。
「これからはいたずらに拡大を目指すのではなく
本当の意味での地域密着を進めていきたい。
陸奥の子供たちにとってのヒーローを
育てていきたい。
それがみちプロの目指す未来です」と。
この言葉は何気ない様で実は深い。
まさに「Think globally, act locally(地球規模で考え、自分の地域で活動する)」である。
実際、昨年から始まった恐らく国内初の企画、地域の寄付のみで運営し入場を無料とする大会「OOGAMANIA(オーガマニア、名称の由来は…合宿所のあるT村・大釜地区の某幼稚園体育館で開催されるから!!)」は、当初なかなか地域の理解が得られなかったものの、回を重ねる毎に動員を伸ばし、先日の大会では遂に消防法の関係から入場規制が行われるまでに成長した。
その軌跡は、某全国新聞の地方版に特集が組まれた事でご存知の方も多いかもしれない。
そう、みちプロの「地域密着」は15年目にして進化(深化)し続けているのである!!
翻って自分自身の事を考えてみる。
確かに国際基準のカイロプラクターとして認定されるに至った。
国内最大規模の団体で講師を務めさせて頂く立場にもなった。
国内外の一流カイロプラクターとも交流する機会も多い。
ただしそれはあくまで狭い「業界内」での話。
自分が前職を辞してこの道に進んだ理由はただ一つ、「国際レベルのカイロプラクティックを愛する故郷に!!」である。
陸奥の方々にその魅力を伝えて初めて自分の存在意義があるのだ。
一ファンを超えて、私がみちプロに惹かれてしまうのは、そんな自分の初心を思い起こさせてくれるからに違いないと思う今日この頃である。
そんな訳で…みちプロ観戦チケット代…「経費」で落とせないかなぁ…!?
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