「バイトテロ」を防ぐには
コンビニやファストフード店などでアルバイトの店員による不適切動画がSNSに投稿され、店舗がイメージダウンで大きな損害を被る「バイトテロ」が問題になっている。どうしてそれを防ぐか、頭の痛いところだ。
不適切動画を投稿する人たちの多くは、特別な目立ちたがり屋だとか自己顕示欲の固まりといった特殊な存在ではなく、ちょっと調子者で悪ノリするどこにでもいるタイプの若者である。
ふざけて投稿したらウケたので、あるいはもっとおもしろいものを期待されていると感じたので、期待に応えようとエスカレートしてしまったというパターンが多い。無意識のうちに承認欲求にとらわれてしまったのだ。とくに最近の若者はある意味で純粋なので、承認欲求の呪縛にかかりやすい。学生を対象にした調査でも、経験者が3分の1に達していた(拙著『「承認欲求」の呪縛』新潮新書)。
考えてみれば、不適切動画を投稿した人は、仲間から認められなければいけない、期待に応えなければいけないという呪縛にかかっていた一方、職場の経営者や上司に対してはそのような意識がまったくないわけである。それはおそらく、彼らの職場が良い意味でも、悪い意味でもドライな空気だったからだろう。だからこそ職場では、「承認欲求の呪縛」を感じなかったのだと想像される。
だとしたら、バイトテロを防止するにも「承認欲求の呪縛」を利用すれば効果があるということになる。もちろん、それが行きすぎたら働かせ過ぎなど別の問題を引き起こしかねないが。
バイト店員に細かく気を遣ってやったり、意識してほめたりして、経営者・店長を裏切れないという意識を抱かせたら、けっして「テロ」などは起こせないはずだ。「バイトテロ保険」などよりはるかに経済的で、かつ有効な対策だといえよう。
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「個人」の視点から組織、社会などについて感じたことを記しています。