NZ生活15カ月目(南島から北島へ)
また少し最後の投稿から時間が経った。まだニュージーランドにいる。これで15カ月。半年過ごした南島の小さな街を1カ月前に離れて、これまで殆ど旅をしてこなかった北島を旅していた。まだ見切れてない場所もあるのだけど、今では少しずつこの旅にも満足して「次のステップ」について考え始めているところだ。
こちらに来て2カ月目から続いていた南島での生活は大好きだったし、とても居心地の良いエリアを見つけて自分でもラッキーだと思っていた。冬の間少し気持ちが疲れている時期もあったけど、幸い継続的に仕事もあり、何だかんだで人間関係にも恵まれて、気が付けば心豊かな生活を送ることができていたように思う。それでも以前から「南島と北島は結構違うよ」という言葉を耳にしていたし、やはり1度は自分の五感を使って確かめたいと思い、一旦仕事と宿を引き上げて旅に出ることにした。
半年間住んだ場所での最終日の夜は宿で知り合ったメンバーと共にベトナム料理のレストランで食事をし、その後高まる気持ちを抑えることもできず十分に眠れないまま朝3時に起きて、フェリーの出る街まで2時間運転していった。何度も運転した道、ところどころで素敵な景色を眺めることができる大好きな道も、夜明け前には全く違う顔を見せていた。本当に違う顔を見せていたのか、自分の思いが様々に交錯していたから違う顔のように見えたのかは、今でもわからない。
朝6時頃、フェリーの出る街に到着する。少しずつ夜が明けていく。新たな1日への夜明け。新たな旅への夜明け。何か自分の変化を象徴するような夜明けだと勝手に感じていた。フェリーに乗るのは1年以上ぶり、初めて車を買って北島から南島に移動してきた時以来だ。この1年間で経験してきたこと、出会った人、見てきた景色のあれこれが走馬灯のように駆け巡る。これまでも沢山の場所に行き沢山の出会いと別れを経験してきたけれど、またそこに新たな、そして非常に濃厚なチャプターを書き記すことができたのだと、とても深い満足感に包まれていた。
眠たい目をこすりながらフェリーに揺られること約3時間半。フェリーの中ではラグビーW杯の生中継が行われていた。ニュージーランド対アイルランドという注目のカードだったけど、最終的にはニュージーランドが接戦を制して準決勝進出を決めた。思えばこの更に1カ月前にマラソンを走りに行った朝にも、W杯の開幕戦が行われていた。そんな記憶がまた、僕の思い出への感情を刺激するような、しないような。
北島の街に着くと、天候は少し怪しくなっていた。この街には以前数週間滞在したので、今回は寄らないで次の目的地を目指すことにした。南島での1年間の思い出を既に後にしてしまったという切なさと、これから新たな旅が始まるという高揚感の間に挟まれながら、僕は次の街へと去っていった。