検察庁法改正案の施行は令和四年だから過剰反応するなよって人へ

はじめて投稿します。

もうことの推移は知っているよって方は、一番言いたいのはこのページの半分くらいからの

③この法律は施行日が令和四年四月一日である

の項目なので、そこ読んでください。


【今回の経緯】

(1)発端

1月31日に2月8日に63歳で定年を迎える黒川氏の定年を8月まで延長することを内閣が口頭のみで決裁した

これがまず問題で、一人だけそんなことするのそれだけでおかしくないですか??

(2)検察庁法の改正案

検察庁法の新旧の比較を見てみるとびっくりすると思います。
https://www.cas.go.jp/jp/houan/200313/siryou4.pdf
の95ページからが今回の定年について記されているのですが、

第二十二条 検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する

とシンプルだった文章に、突然大量の追加がされています。もちろん、今までまったく出てこなかった内閣だの法務大臣などの言葉も並んでいます。

要約すると、
検察官の定年を63歳から65歳に段階的に引き上げた上、63歳の段階でいわゆる役職定年制が適用されるものとするものである。そして内閣又は法務大臣が「職務の遂行上の特別の事情を勘案し」「公務の運営に著しい支障が生ずる」と認めるときは、役職定年を越えて、あるいは定年さえも越え当該官職で勤務させることができるようにする
ということです。

今まで確かに任命権は内閣でした。でもこれは明確に干渉してませんか??

さて、この法案に反対するのは過剰だという方がいらっしゃいます。

①ただの定年延長をするための法案だ。
②もともと内閣が任命していた。

でも今回の検察庁法の改正案を読めばわかると思うんだけど、
内閣又は法務大臣が「職務の遂行上の特別の事情を勘案し」「公務の運営に著しい支障が生ずる」と認めるときは、役職定年を越えて、あるいは定年さえも越え当該官職で勤務させることができるようにするなんて言っている時点でありえないです…

ただ、私がこのnoteを投稿した一番の理由であるのが③です。

③この法律は施行日が令和四年四月一日である。

これは確かに、私も最初そう思ってたんです。
件の黒川さんはもう63歳。閣議決定で8月まで定年を伸ばしましたが、施行される頃にはとっくに定年しているんじゃないかな。

とすると、黒川氏一人だけの定年を8月まで延ばしたことはもちろんおかしいけれど、やっぱり今回の改正案と黒川さんのこと結びつけるのは考えすぎなんじゃないかな?と。

実は私は色々問題はあるかもしれないけれど
大筋で外交姿勢を評価して安倍政権を支持していました。
それに加えて、
さすがに自分の息のかかった人(黒川氏)をずっと検察のトップにつけるなんてこと、堂々とやるはずはない!!
と思っていたところがあります。

でもですよ、これだけ話題になっているんだから実際に確認してみようとhttps://www.cas.go.jp/jp/houan/201.htmlのページで実際の法案やら概要やらを読んでみました。

すると概要の中に、下記一文がありました。(※追記5月12日追記 すみません、概要ではなく要綱の間違いでした)

この法律は、令和四年四月一日から施行するものとすること。ただし、二及び四は公布の日から施行することとするほか、必要な施行期日を定めるものとすること。

公布日と施行日は違います。
「法律は、国会で制定され、天皇によって公布された後、その法律に定められた施行日から施行されます」とありますし、法律の成立後、後議院の議長から内閣を経由して奏上された日から30日以内に公布されなければなりません。
(https://www.clb.go.jp/law/process.html法律の公布より)

ちなみに、四は「検討」でその中にちゃんと「改正後の検察庁法に規定する年齢が六十三年に達した検察官の任用に関連する制度について検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること」とあります。

ですので、施行される頃には黒川さんは辞めているかもしれないけれど、公布される時にはまだいらっしゃるでしょう。今回、8月まで定年を延長したのですから。

とすると、黒川さんの定年を8月まで延長することを閣議決定したことが効いてくるわけです。

つまり、この法律は施行日が令和四年四月一日であるから黒川氏とは関係ない。こじつけるな、熱くなるな、とは言えなくなると思います。

Twitterは文字数の制限もあるし、
簡略化するうちに根本の問題がずれてしまうこともあると思いますが、
こうやって形をきちんと整えながらとんでもないこともしれっとできてしまうんだなと
改めて恐ろしさを感じました。

さて、明日どうなることか…


追記(5月11日17:30)

私のような素人の記事より、こちらの方の記事がとても整理されて書かれています。

https://note.com/tonfi/n/n95a2265c6273

私のこのnoteの

この法案に反対するのは過剰だという方の主張

①ただの定年延長をするための法案だ。
②もともと内閣が任命していた。

に対しては

>⑤内閣が検察官人事に介入するための措置である
>これは正確には「介入と思われるようなこともできなくはない」が正しいでしょう。実際には人事院規則によって細かな要件が組み立てられます。しかし、問題は国会の委員会答弁を通しても、どのような場合に役職定年制の特例が認められるのか、「内閣の定めるところ」がどういうものなのかが決まっていません(今後議論していくとのこと)。まだこれが決まっていない状況で、法律が内閣に全て白紙委任するというのは確かに危ういと言わざるを得ません。「5.問題の本質」でもう少し詳しく述べます。

とあります。

また、この法案に反対するのは過剰だという方の主張

③この法律は施行日が令和四年四月一日である

については、

>さて、これについてですが、附則に記載されているのは、「新検察庁法に規定する年齢が六十三年に達した検察官の任用に関連する制度」についての検討を引き続き行うということであり、同制度は改正された後の新検察庁法が施行されない限りは効力を有しないため、やはり検察庁法改正案にある施行日以前に検討を越えた何らかの措置が行われるという解釈はできないかと存じます。
>ただし、これも法解釈の一つに過ぎないため、ぜひ議会において、本当に検討を越えた何らかの具体的な措置が行われないのかを議論し、政府の答弁を引き出していただきたいと思います。
>これがまさに、立法事実を積み重ねていく行為であり、後に勝手な解釈で運用が行われない「運用方針・基準の明確化」であります。

とあります。

私見ですが、今回の発端である1月31日に2月8日に63歳で定年を迎える黒川氏の定年を8月まで延長する際、

〈政府の見解〉
検察庁法は、国家公務員法(国公法)の特別法である(検察官も一般職の国家公務員)。
特別法に書いていないことは一般法である国公法の規定が適用される。
検察庁法22条には、検察官の定年年齢は書いてあるが、延長については何も書かれていない。
そもそも検察官に定年延長がないのはおかしい。
したがって、検察官の延長については、その規定がある国公法が適用される。
 〈反対の見解〉
検察庁法の性格と趣旨に照らせば、退官年齢を規定する検察庁法22条は、「定年延長を認めない」と解するのが当然の解釈であり、かつての政府の解釈もそうであった。
国公法81条の3第1項は、「前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合」と規定しており、一般国家公務員の定年延長は、(検察官には適用されない)国公法81条の2の規定によって退職する者についてのみ適用されると解釈するのが自然な解釈だ。
国公法82条3項は、「(当該職員の)退職により公務の運営に著しい支障が生ずる」場合に延長を認めているが、「検察官一体の原則」(検察官は検事総長を頂点とする全国的に統一的階層的な組織の中で上命下服の関係で一体として検察事務を行うという原則)からは、そのような事態が生じることはそもそも想定されていない。

(政府の見解、反対の見解はこちらのサイトから引用させていただきました。)

このように見解が分かれる事例にもかかわらず、内閣は口頭のみで決裁を行いました。

こういった政府のやり方から、今後もねじ曲げた法解釈をしないとは限らないと思っています。

「改正後の検察庁法に規定する年齢が六十三年に達した検察官の任用に関連する制度について検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること」

公布の日から施行するとしているこの、四・検討の中の「所要の措置を講ずる」とはどういうことを想定しているのかきちんと議論すべきで、新型コロナウィルスの騒ぎの影に隠れて国会を通すのはやめて欲しいと切に願います。

追記終わり





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