「天神に来てください。」
想定外な今年
2020年度も後半に入り、段々と寒くなってきました。今年はいろんな場面で想定外の出来事が起こっています。まさかオリンピックが延期になるなんて誰も想像していなかったと思います。
今年は福岡・天神地区でいわゆる『天神ビッグバン』がいよいよ本格的に動き出す(≒工事期に入る)タイミングです。
将来的にはとても楽しみなプロジェクトですが、当然工事期には至るところに工事用の仮囲いが立ち並び、多くのお店が閉まってしまうため、短期的にはまちの魅力が低下するのは間違いありません。
更に新型コロナウイルスの猛威という世界中で映画の中の出来事のような事が起こり、緊急事態宣言が出た後には福岡・天神でも劇的にあらゆる活動が自粛されるようになりました。
新しいチーム
『天神ビッグバン』の影響でまちの集客力が下がることは想定できていたのですが、想定外の新型コロナウイルスのせいで、まちへの集客を回復・維持するための新たな取組みが超緊急で必要になりました。
世の中が少し落ち着きを見せた7月、エリアマネジメント組織We Love 天神協議会(WLT)は、戦後から天神地区のまちの発展に貢献してきた都心界と連携して新たな共同プロジェクトチーム(PJT)を結成しました。目的は天神への集客です。
WLTには140近い会員がいます。そのなかで今回共同PJTへの参加依頼をしたのは都心界メンバーでもある14の商業施設です。
商業施設は日々の業務において来館・来客のためのいろいろな企画を検討しています。それらの知見を天神のまちづくりにも活用させていただこうと。日頃はライバルとして切磋琢磨していますが、このような状況においては皆で知恵を出さないととても太刀打ちできません。
とは言え、人が出歩かなくなった為、まちでの商売は危機的な状況になっています。皆、お金の支出をできるだけ絞っています。事務局との事前の打ち合わせでは「年内の企画実施は難しいだろね」と話してました。お金を出して何かやりましょう、とはとても言えない世の中の空気感でしたから。
会議の進行
第一回共同PJT会議を7月に開催。参加者は長く天神で商売をしている錚々たるメンバー。冒頭みなさまに最近の状況を尋ねると、濃淡ありましたが天神を襲っているコロナの影響は想像以上に深刻だということが分かりました。
できるだけ多くの人に来てもらわないと商売にならない。一方で密になることは避けないといけない。未知のウイルスに対して解決したくてもどうすれば良いのか模範解答がない状況に頭を抱える時間が過ぎました。
もとより今年度の企画実施は無理と考えていましたから「来年以降に何をやっていくかじっくり考えましょう」と第一回目の会議をまとめました。
そこから1ヶ月ほどして第二回共同PJT会議を開催。前回同様、まずは皆さんが感じているまちの雰囲気をヒアリングし、続いて来年4月以降の進め方に話題を移していきました。…が、
「何もしなくてイイんですか?今こんなにキツイ状況なのに」
「え?」
こちらとしても何もしなくていいとは思っていません。しかしこれまで二回の意見交換からも、各社予算の見直しなどお金にまつわる厳しい意見が多数だったので、とてもポッと出た企画などやるとしてもお金がないじゃん!と思っていました。…が、
「そこはみんなで何とかしよう!」
とまたも想定外のご意見。ここから堰を切ったように「○○はどうだろう?」「他地区で□□の取組みをみた」など多数の意見が出てきました。終わってみれば予定よりも大幅に時間が超過した会議に。
勝手に「今年は無理」と思っていた訳ですが、まちの人が「悠長なことを言ってる場合じゃない」と言い、彼ら自身が目的を考え、予算も会社となんとか調整する、という極めて珍しい形になったことに率直に驚きました。
まちづくりの視点
これまでまちづくりに携わっているなかでいつも気になっていた事としてまちの人自身が参画できる仕掛け作りがありました。もっともらしく会議を進めても「どうぞお好きにされてください」と言われた瞬間、それはまちの取組みから大きく離れてしまう。たまたま実施場所がそこであるというだけで。
しかしながら今回その参画する仕掛けが目の前で自然と出来上がっていきました。一つの理想形だと思います。
まちに課題がなければまちづくりの必要性は低いのかも知れません。が、今回のように突発的に起こったまちの課題に対して、まちの人自身がグッと動いたことで、想定外の企画が進行することになったんだと思います。
天神は、まちの魅力を発信するために映像を作ることを決めました。
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