イシキのない世界
人間が手を動かすとする。脳が「手を動かせ」と信号を送るから、その後によっこらしょと「手」が動く。意識が部位に指令を送ってコントロールしている、それが当たり前のように考えられてきた。しかし、とある実験によると、実はこのステップが逆だという。まず、「手が動く」。その直後、脳が「手を動かせ(動かした)」という信号を送っているというのだ。これはいったいどういうことなのだろう。
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ふと中学校の科学の授業を思い出す。ドキュメンタリービデオをただ観るというゆるい教師がいて、その回になるとクラスの半数以上は睡眠の時間になっていた。成長期の男たちは寝不足もあるが、とにかく眠いのだ。そんな夢うつつのビデオ授業で記憶に残っている回がふたつだけある。ひとつは、アフリカ大陸のさまざまな動物たちが大陸移動で大きな川を命がけで渡るというビデオ。もうひとつが、タンパク質に電気信号かなにかの刺激を与えて生命を造れてしまったというビデオ。なんだ、命ってかんたんに造れてしまうのか、とその時がっかりした記憶がある。ただ、なにしろ半分寝ていたような状態なので、これが本当の話だったのか、今となっては分からない。
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人には意識があるという前提が、そもそも間違っているという考え方もある。
人は、ひとりひとり意識があり、自分の意思決定によって運命が決まると信じてきた。そう信じたい。だが、人間の行動のあとに脳が各部位に信号を送っていることが事実だとしたら……。本当は意識などないのに、創造主が人間にそう錯覚させたいために仕組まれた悪巧みにさえ見える。
私たちは、ゲームの中のNPCだったのかもしれない。
もしそうだとすると、今日このブログを読んだあなたも、ブログを書いた私も、NPCが起こしたお決まりのアクションに過ぎない。創造主の設計の中で、自分で意思決定し、自身で運命を切り開いてきたという自意識は「錯覚」なのだ。
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バイオテクノロジーの進歩。AI、ロボットの進化。そして訪れるシンギュラリティ。私たちが生きている時代に、いよいよこの世界、いや宇宙の仕組みがすべて解明されていく気がしてならない。そのタイミングにいあわせることになりそうなことがあまりにも奇跡的すぎて、これも仕組まれたものと考えるほうがどう考えても自然な気がしてしまう。
ちなみに、地球に生命が誕生する確率は、「プールの中に腕時計の部品を投げ込んで、水の流れだけで時計が組み立てられるのと同じ」らしい。そこで誕生した生命が宇宙の仕組みをすべて解いてしまう時代に生まれる確率は、もはやうまい例えが思いつかない。ミラクルオブミラクルオブミラ……。この時代に生まれたことに毎日感謝をして、そう感じている自分の『意識』に乾杯するほかない。
という信号が書き終えたあとから脳から送られた。
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