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ヤバい旅館に宿泊した話〈前編〉
こんにちは、そして初めまして。
流浪の番組『タモリ倶楽部』名誉部員、おニャン子クラブ会員番号No.55、リアル峰不二子です。
さて、そんなワケで初めてnoteの記事を書きたく降り立ったのですが、今回僕がお書きする文章は、どうしてもどうしても書きたい、というよりもほぼ啓蒙に近い部分もあり、さらに言えば「安かろう悪かろう」での失敗とおっぱいが多い僕の懺悔に近いところもあります。
このキッカケは、自他ともに認める社畜会社員である僕が最近、全国単位で色んなところに出張に行っていることで、北は茨城、南は宮崎と、色んな都道府県にお仕事に行っているんですね。
「茨城ってそんな北じゃねえじゃん」というバカでも分かるツッコミは一旦置いといて、出張ということで単身なので、基本的にご当地メシ食うか、宿泊先のホテルでしこたまセンズリをこいてビール飲んでシコっておつまみ食ってオ●ニーして、くらいしか楽しみがないんですが、会社からは「宿泊先が極端に高くなければ好きに泊っていいよ」と言われており、「じゃあ朝食付きのプランにしちゃおうかな」とか、そういう結果論的な利点もあったりします。
ということで、そんな僕が先日降り立ったのは、佐渡島。佐渡島は奈良時代以降からはしばらく、罪人の流刑地であったことは中学の社会科をちゃんと習っていれば誰でも覚えているはずの有名な場所です。佐渡島と言えば金山が有名で、徳川家康が征夷大将軍として即位し、その後、約264年にも渡り徳川幕府が武家政権を築いたキッカケになったのも佐渡島の金山鉱脈(後の徳川埋蔵金)があったから、とされております。っても、所説あるらしいですけど。
最初に言っておくと、やはり金山と徳川幕府の政治力で発展した島だからか、いや関係ないかもしれませんが、基本的にビジホは無く、あるのは宿泊値が若干ブルジョア気味な旅館と観光ホテル。宿泊代相場は若干高い。「う~ん、随分ビジネスディスライクな場所だな」って感じの場所であり、いくら場所がないからといって「すみません、ホテルの宿泊代3泊4日で7~8万円です!あざした!」とか、上司に対してそんな面の皮が厚いことする根性はないので、僕が愛用している楽天トラベルで宿泊代休めの検索にてリーチリーチすると一店激安でしかも朝食付き、という旅館が!
なにぶん、しがない中小企業の社畜だもんで。
しかも温泉付き!一泊6,600円!ひゃっほーッ!
そして、僕は地獄を見てしまったのです。この世の地獄をね。
皆さん、オムツとビオフェルミンはちゃんと準備してから、こちらの文章をお読みください。
今回紹介するお店は一応、僕に対する名誉棄損対策で隠させて頂きますが、ぶっちゃけた話「佐渡島 格安 旅館 汚い」で調べると速攻出てくる場所なので、興味があって「そんなに酷いのか!泊まってみたい!」というマゾヒズム傾向のある方は上記ワードで調べてください。アクメで自己責任です(僕自身含め)。
佐渡島改め、「マル・キ・ド・サドヶ島」と呼びたくなるくらい壮絶だった僕の出張宿泊記録です。
佐渡島出発!
本州から佐渡島までは海路を渡ること約2時間半。フェリーのデフォルトチケットは2等券区分からの為、その2時間半の移動ではフェリーの休憩スペース…とは名ばかりの、昔の大部屋俳優が過ごしそうな雑魚寝推奨の場所に案内されます。個人的にその寝方で時間潰すのは、いくらのび太的な即就寝術が出来る僕でもキツかったので船の甲板手前にあるフリーの座席で『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』をプレイしながら時間を潰すことに。
そんであっという間に佐渡島に着きました。厳密に言うと4泊5日佐渡に宿泊なのですが、初日は別の旅館の予約が取れており、初日は鼻をほじってメシ食って就寝。明くる日は朝からお仕事で、とは言いつつも、現場作業的にはお昼とかで終わる内容。
ささっと終わらせると、今回のメインとなる旅館に移動となったワケですね。
通り過ぎたホラーハウス
ちなみに、佐渡島は生活インフラの中心が車移動で、この4泊5日間はレンタカーにて移動。あとで地獄を見ることになる旅館は、フェリーの着地である両津港(ぶ、ぶちょ~ッ!)から見て南に数㎞といった場所にあります。当たり前に車で行くしかない場所なんですが、まず旅館にたどり着くまでの第一印象。
「旅館、どこにあるの!?」
一応、立地として両津湾(ぶ、ぶちょ~!)を一望できる海岸線にシレっと存在する旅館なのですが、その外観は自然の中で養殖蛸の如く溶け込んでおり、真昼間だったのにも関わらず一旦通り過ぎてしまったほどでした。そんなこんなあって「うしろじゃねえか!」と、全盛期の田代まさし的な車内一人ぼっちのセルフツッコミをした後に旅館を発見。
そこで外観を見て思わず思いました。
「なんだコリャ」って。
その外観の例えを僕が大好きな映画になぞらえてすると、劇場版の方ではなくオリジナルビデオ版の『呪怨』の佐伯家の感じ。
要は外観からして瘴気を感じさせる雰囲気、というか。「瘴気」って言っても『ゼルダの伝説』みたいなポップな感じじゃなくて、マジの厭な「瘴気」。
細菌兵器とかってこういうところで作られてるんじゃないか、的な小松左京の『復活の日』みたいな、ああいう世界観なんです。紀里谷和明が監督した宇多田ヒカルの「traveling」のミュージック・ビデオとは対極に位置する脱色系というか。
世界観、って言っても外観だけなんですけどね。アハハ
すでに入れる状態の自分の部屋
そんなこんなあって、akippaとかそういう素人がやってる貸出駐車場的雑感が凄まじい駐車場に駐車。老舗銭湯のようなガラガラと音がする引き戸を開けると、いかにも昭和感のある雰囲気。昭和感と言っても『三丁目の夕日』的なノスタルジーは一切感じず、どちらかというと「昭和末期から一切手入れしておらず、掃除機もかけていません」みたいなバブル時代の化石といった雰囲気。
これ、文章だと本当に伝わりづらいのが難点なのですが、分かりやすく直接的に言うとすべてがアナログ、且つ汚い。あと若干、昔の木造建築によくあるカビ臭さを感じるのです。
僕も大概ザツな人間と自覚はありますが、このパッと見の印象は割と驚愕モノでした。“ネオ昭和”で最近人気の阪田マリンちゃんがここ来たら「昭和」という存在が嫌いになるんじゃないかな、と本気で思ってしまうほどです。
そんなワケで玄関の時点でだいぶ(色んな意味で)香ばしかったのですが、「すいませ~ん」と一声ご挨拶をしてもなしのつぶて、なんの返事もありません。仕方ないので玄関を上がると、マジック(たぶんサインペン)で書かれた「東京 ○○(僕の名前)様」と書かれた部屋が。しかも扉が開いてる。
「一応、中見てみるか」と思い、チェックイン前に部屋を除くと畳8畳くらいのスペースに布団がチョコンと置いてある。宛ら、「祖父母の家」という感じの雰囲気で、薄目で見ても旅館の雰囲気は皆無。むしろ独居房といった感じです。
ドアから見て対面にあるエアコンも若干黄緑色の見たことないケミカルカラーであり、エアコンの黄緑色もあってか心なしか部屋も全体的に黄ばんでいる気が。色合いとしては映画『ラストエンペラー』の主人公・愛新覚羅溥儀の子供時代、という感じ。しかも綺麗じゃなくて健康的ですらない「黄色」。「まあ6,600円だし」と思い直し、もう一回「すいませ~ん」と一言。
勿論、この時も返答はありませんでした。出てこいよ客商売なんだから、とふと頭を過りましたが、まあ僕オトナなんで、我慢しました。もしかしたら我慢しない方が良かったのかもしれませんが。
「オレぁ、90代だから!」
もう一度玄関を降りると、「御用の方はこちらでお呼びください」と書かれた、タツノコプロの『タイムボカン』シリーズの爆弾のスイッチみたいなチャイムは発見。
早速押してみるとクイズ番組の不正解の時のような「ブー!」という音がなり、広間の奥から「はァいッ!」とジャングルポケット斉藤元メンバーの持ちギャグのような声が。
早速見てみると先ほどまで暗かったはずの管理室的な場所に電気が灯り、ノックするとまた「はァいッ!」と斉藤メンバー的な声が。早速入ってみると、4畳くらいのスペースにペットボトルと伝票、そして介護ベッドに横たわったオジイチャンが!この方はこの旅館のご主人のようです。
「誰ェ!?」と言われたので、「今日宿泊の者です…」と帰すと、「えっ!?今日泊まりは○○さんと△△さんと…」と仰ったので、「あ、その○○が私です。」と返答。すると「ほ~ッほッほ~ッ!」とどこから声出てんだと思うような笑い声をあげ始めました。この笑い声は、僕の幼心に若干トラウマを植え付けた『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』のトリホーの声と似ていた気がします。
続けて、「ほんじゃあねェ、6,600円!」と言っていたのですが、僕一応、この旅館に3泊4日宿泊予定なので「すみません、3泊になると思うので19,200円じゃないですか?」と声をかけるとまたトリホーのような不気味な笑い声をあげていました。
それでここら辺で薄ら気が付き始めたのですが、この管理室(?)、異様に小便クサい。ちょっとクサいとかではなく、オシッコで壁をコーティングしたんじゃないかと思うような、即ち、公園とかの公衆便所的なニオイ。この原因はすぐに分かりました。ベッド上で色々と作業をするご主人の下半身に目をやると、「下半身デブ」だけでは説明が付かない下半身のデカさに気が付きました。
おそらく、このご主人、オムツ履いてるんです。つまりワカメちゃん状態なんです。要はここら辺が小便クサさの原因なのです。いや、絶対に、間違いない。
「ヤバい、俺は魔境に入ってしまった!」
ここで僕は今、金が払っている場所がすごいヤバい場所、ということを気付いてしまったのです。えっ?「おせーよ」ですって?
そんな中、「あんた!何歳!?」と突如質問。
「えっと、34歳です。」
「ほ~ッほッほ~ッ!若い!オレぁ90代だから!」
そんな感じの圧倒的な約60歳差の年齢マウント(?)が。この会話なんなんだ、という部分もあり、不安はより一層深まるのでした。
そして極めつけは、
「部屋ってエントランスのとこ…?」
「レストラン?ここは旅館!民泊!」
と、全く嚙み合わない会話。どこをどう聞いたらエントランスがレストランに聞こえるんだよ。ほぼ介護状態の90代に横文字を使った僕も僕なのですが、ちっとも会話が成立しないこの状況。極楽とんぼの山本が戻った時の『めちゃイケ』での加藤浩次の言葉を借りると「当たり前じゃないからな」って感じ。
そんで、言われたんです。
「マジックで貴方の名前書いてあるでしょう!そこ!メクラじゃないんだから」
なるほど、やっぱりあの部屋だったんだ…。
っていうか「メクラ」って。
唯一のGood Point「Wi-Fi」
そんな幸先が悪すぎる旅館への一歩でしたが、とりあえず部屋へ。
「玄関で横目で見た部屋はやっぱり自分の部屋だったんだ」とゲンナリしつつも、荷物をおろし、そもそも仕事終わりなので涅槃像のようなポージングで横に。
部屋は何と冷蔵庫なし、アメニティなし、当然ホスピタリティはなしと、『NAI・NAI 16』状態でほぼ全てがなく、おそらくビジホ慣れしているメンタルが弱い人間だと一瞬で発狂しかねない、ないモノ尽くしです。あるのは布団、足で畳んだのかと思うくらい汚い畳み方がされた着物、歯ブラシ一本。
もしかしたら、「受刑者が傷害事件を起こす可能性があるから刃物を渡してはいけない」というような網走番外地の刑務所ルールがこの民泊には採用されているのかもしれません。そのくらい何もない。こんなにモノがないの、砂漠かここくらいじゃないでしょうか。
とはいえ、唯一良いなと思ったのはフリーWi-Fiの恐ろしい速さ。電波だけは良いんです。まあチェックインして1時間ほど経つとだんだんそれすらも腹が立ってきたので、ひとまずセルフプレジャーのひと時。まあでも、どう見ても壁が薄いので、自分を慰めるというより冷静さを取り戻す為の作業といったところでしたが。