なぜ臨時株主総会招集請求・株主提案をしようと思ったのか
※(前の記事)創業期に目指していたことや思い
1.経営チームの関係性と会社の在り方
現在、株主提案の中で取締役の解任請求をしている相手である社長の福田さん、CFOの野崎さんとの関係は、前の記事でも書いた通りともに創業メンバーであり、創業時から2006年の上場、そして私がOKWAVEの取締役を退任する2009年まで、一緒に苦楽を共にしてきた仲間でもあります。
2006年7月、OKWAVE上場翌月に、当時の経営チームで一泊二日の合宿を行い、あらためて上場後を見据えた会社のミッション・ビジョン・バリューを定義しました。初日はチームビルディング兼ねて沢登りをし、バーベキューと焚火を囲み、未来に思いを馳せながら対話と議論を重ねます。
こうして生まれたのが、下記の『OK-DO(道)』です。我々が行うことと在り方をDOと道で表現。会社が大切にする価値観の中心に「愛」を据えた、初の上場会社だったのではないかと思っています。
このOK-DO(道)を作成後、HR部門のメンバーを中心に会社の組織文化を醸成していくためのプロジェクトが発足され、全社合宿の実施やOK-DOに基づいた制度作りなどが行われていきました。
そんなことも一緒に経験をしてきた旧知の仲の友人である福田さん、野崎さんに対してなぜ解任を求め、自分を取締役にすることを求めているのか、その経緯と理由をお伝えします。
2.経緯
4月、レージングブル社との件を知ったのは、OKWAVEから本件のIRが4/19に出た翌日、4/20の朝、福田さんからの電話ででした。福田さんからは「昨日出したIRを見て」と言われたのでその場で確認をしましたが、最初は何が書いてあるのかがよく分からず、「了解。見ておくね」と言って一旦電話を切りました。
落ち着いて読み直してみると、どうやら35億円近い資金を預けていた運用先が破綻し、簿価上で約50億円が回収不能ということのようです。こんなことが上場企業であり得るのか?と思ったのと同時に、福田さん、野崎さんがいる取締役会であれば通常こんなことは起こらないだろうとも考え、意思決定をゆがませる何かがあったのではないかとも思いました。加えて、OKWAVEの財務状況を考えると、上場廃止はおろか会社清算の可能性もあるなとも直感的に感じました。
そこでまず、事実確認をしたいと思い、兼元さん、福田さん、野崎さん、僕の4人で作っているFacebookのメッセンジャーグループ「チームOK」内で、のメッセンジャーで、
「リリースを拝見しましたが、運用を委託していた相手先がどこで、どういう経緯とプロセスを経てここに委託したのか、説明をお願いできますか。」
と伝え、ミーティングの候補日を出したものの、その後は「インサイダーに抵触するから」「弁護士に止められているから」との返事があるのみで、ミーティングをする機会を設けてもらうことができませんでした。
とても残念に感じていますが、今では、福田さん、野崎さんからは返事すらももらえない状況です。
以上のような経緯があり、公の場で会社側と話をできる機会を模索した結果、株主総会の場で諮ることにしました。9月の定時株主総会に向けた株主提案であれば、自分は1%以上の持ち株を所有していたので一人でも可能ではあったのですが、一日も早くOKWAVE再生に向けた具体的取り組みを行いたい。そこで、臨時株主総会招集請求を行うことにしました。臨時株主総会招集請求は3%以上の株式シェアが必要だったため、昨年中間期の「第23期_2022年6月期第2四半期報告書」記載の大株主の方々にあたったところ、協力を得ることができ、その大株主に関連する方々と共に共同提案をすることができました。共同提案者と取締役候補の一部の方は、そういった方々になります。
3.臨時株主総会招集請求・株主提案を行った理由
上記のような経緯はあったものの、実際に株主提案を行うまでは1か月近く悩みました。気持ちとしては自分がOKWAVEのために何かをしたい、とは思うものの、今更自分が出て行っても大きなお世話と思われるだろうし、現在の状況を何もわからない自分に何ができるのか、とも思いました。そんな不安と恐れを感じながらも、臨時株主総会招集請求を行う決断に至ったのは以下の理由からです。
(1)OKWAVEの声
OKWAVEには、創業時にキャラクターがいました。
何とも表現しがたいのですが、このキャラクターたち、OKWAVE自身から「助けてくれ!」という声が聞こえました。また、OK-DO(道)・大切にしている価値観が侵されている、そんな危機感を覚えました。
(2)OKWAVE社員のみなさんの声
このような困難な状況の中で、OKWAVEに残り業務を行っている社員のみなさまには、感謝しかありません。ありがとうございます。
また、今回株主提案を行ったことで、多くのOKWAVE卒業生・アルムナイの方々から励ましのメッセージをもらいました。
こうした、OKWAVEを今まで創ってきている同志とも言えるみなさんの声が後押しになっています。
(3)株主のみなさまの声
私自身も株主の一人ですが、この数年OKWAVEで経営を担ってきた取締役は、株主への説明責任を果たしていないと感じています。通常では考えられないような経営の意思決定をした結果起こっている今の状況に関して、
なぜそのような意思決定をしたのか(プロセスの説明)
今後そのようなことを起こさないようにするためにどうするのか(再発防止策)
どうやって会社を再生していくか(再建策)
について、法令で定められている開示に加えて、説明会を開催するなどして具体的な説明を行うという対応が必要ではないでしょうか。福田さん、野崎さん共にとても大変な状況だとは思いますし、今の状況は望む結果ではないでしょうから結果責任は追うべきでもないと思いつつも、それでも、経営を担う者であれば、少なくとも説明責任を果たすべきだと思っています。
ちょうど先ほど、「臨時株主総会付議議案の追加に関するお知らせ」が会社側からIRで出ましたが、8/25の臨時株主総会前に、会社側(現経営陣と会社側提案の取締役候補の方)から、何らかの具体的な説明がされることを願っています。
(4)社会の声
「新しい資本主義」なんて言葉のなかった時から、OKWAVEは感謝経済を標榜しています。今ではテクノロジーの進化によって、中央集権ではない自律分散型のコミュニティが生まれ、そういった社会の兆しが見え始めています。
おそらく今後の上場企業には、株主との対話力が求められるのではないか。経営メンバーと取引先を中心とした安定株主作りや、一部の資本家に対する配慮といった旧来型の株主対策では対応しきれない、「大多数の、少数株主の声」に耳を傾ける必要があると感じています。
おそらく、OKWAVE以外の多くの企業でも、「持株数・シェアは少ないけれど、人数は多数である株主の声」が無視され続けているのではないでしょうか。こういった声を、少なくとも現OKWAVEの経営陣には届けたいと思っていますし、その声を受け止めてほしいと思います。
(5)自分の内なる声
悲しい、がっかりした、疎外感、腹立たしいといったような感情に加えて、屈辱的な気持ちと申し訳ない気持ちがあります。
屈辱的な気持ちというのは、OKWAVEの危機的状況の中で、今この瞬間、自分が具体的な形でOKWAVEの再生に携わる機会を与えられていない状況からです。
近年のOKWAVEの業績不振、投資の失敗、財務状況の悪化に伴い、福田さんや野崎さんからは都度相談をされ、財務改善のために様々な協力をしてきました。しかし今、このような危機的状況の中で、自分から声をかけているにもかかわらず相手にされていない。これは屈辱的です。
申し訳ない気持ちというのは、現在の社員のみなさんや株主のみなさんに対してです。
ここ数年のOKWAVEの取締役会はガバナンスが欠如し、機能していないように感じていました。が、そういった違和感を覚えつつも自分は声を上げなかった。まだ友人が取締役として経営を行いがんばっているからと、株主総会のたびに野崎さんなどから求められるがまま会社への賛成票を投じていました。もっと早くから声を上げ、自分自身の株主責任を果たしていたら今のような状況にはならなかったかもしれないと思うと、とても申し訳ない気持ちでいっぱいです。
まとめ
以上のような声を感じながら、最終的には、
自分以外の第三者が現れても、OKWAVEのリアルな現状が分からないのは同じ。であれば、OKWAVEに思いを持っている自分が名乗り上げた方がいいし、また、思いを持っていない誰かにOKWAVEを触らせたくはない。
自分よりも思いを持っていて、また、優秀な方が現れたら、その人に委ねればいい。
大きなお世話と思われたら、それを解消するために時間をかけてでも行動で示そう。
と思い、株主提案を行うことにしました。
次回は、今後OKWAVEで実現したいことについて、短期的な再建の取り組みと、中長期的な創りたい世界という視点から書きたいと思います。