株主割当による、第21回新株予約権の無償発行について解説
前回、株主割当増資にかける思いとお願いとして、なぜ株主割当増資という手法のファイナンスを行おうと思ったのか、そして、それを行うにあたっての株主のみなさんや投資家の方へのお願いや、自分自身の思いなどを綴りました。その中でも述べたように、株主割当増資を行いたい理由は、
株主平等の原則を順守したい
持分割合の希薄化防止
株主のみなさんとの関係性を深めたい
です。
そこで今回は、本ファイナンスの内容である株主割当増資・第21回新株予約権について、自分なりに深掘りして解説したいと思います。
1.ファイナンスについて要約
今回のファイナンスを時系列で要約すると、以下になります。
3/29時点で当社株式を保有する株主の方全てに新株予約権が付与され、出資を通じた当社株式取得の機会があります。
※新株予約権:当社に出資することで当社株式を取得できる権利3/30の終値の50%・半値の価額で、6/1から当社株式を取得できます。
所有株式1株当たり3株を取得可能です。
一部のみを行使することも可能です。
全権利を行使した方は、持分割合が現在と同等かそれ以上になります。
払い込まれた資金は当社に払い込まれるので、当社への直接的支援になります。
取得した株式は、いつでも市場で売却可能です。
ファイナンススキームの概要について、表にまとめました。
少し表現を変え、「当社への金銭的支援」という視点でまとめると、下記になります。
金銭的支援をいただく期間は、6/1(木)~9/1(金)
取得できる権利は、3/30(木)終値の50%(半値)の価額で当社株式を取得できる権利
この権利を取得するためには、「3/29(水)時点」で、当社の株式を取得・所有していること
6/1以降の当社株価が、3/30の終値の50%を上回っていれば、取得した当社株を売却することでキャピタルゲインを得ることも可能
一人でも多くの株主の方に当社を金銭的に支援いただきたいと同時に、一人でも多くの株主の方に投資メリットを享受していただきたい、と考え今回のスキームとしました。
2.スケジュールと株主のみなさんの決断ポイント
前の記事でも書いたとおり、現在当社は資金的に大変厳しい状況であるため、一日でも早いファイナンスの実施が必要です。しかし、本ファイナンスは当社の存続や上場維持といった視点からも大変重要な事案であるため、株主割当の場合には必要のない株式総会を行い、株主のみなさんの意思を確認することにもしました。そのため、下記のようなスケジュールとなり、株主のみなさんの検討の時間と機会を十分に設けています。
株主のみなさんの決断ポイントについては、大きく3か所あると考えています。
(1)基準日まで(※権利付最終日の3/29まで)
今回発行する新株予約権を取得できるのは、基準日である3/31の株主名簿に記載された株主の方です。したがって、その二日前の最終売買日(権利付最終日)である3/29の時点で、当社の株式を所有している必要があります。
※権利が確定するのは、5/12の株主総会の決議後になりますのでご注意ください。
今回のファイナンス、権利行使をされる方にはメリットと感じられるかもしれないことが様々ありますが、権利を行使されない方は、新株が発行されることで自分の持分割合(株式シェア)が下がる、希薄化の影響を受けます。もちろん、ファイナンスが成功することで当社の経営基盤が安定し、株価が上がることも可能性としてはあるかもしれませんが・・・、権利行使しない方の希薄化は避けられません。
したがって、権利行使をしないと決めている方で、希薄化を望まない方のために、この期間中に当社株式を売却できるように1か月の期間を設けています。
(2)臨時株主総会まで(5/12まで)
先に述べたとおり、本来、株主割当増資は株主総会の決議を必要としません。なぜ、あえて決議を行おうと思ったかというと、
「今この段階で、株主のみなさんから資金を拠出いただき、当社の再生に取り組むことが良いことなのかどうか、当社のオーナーであり本ファイナンスの当事者である株主のみなさんの意思を確認するべきではないか」
と感じたからです。
私を含め、当社の社員は当社が創る未来を信じて日々事業に取り組んでいます。会社の存続、上場維持、債務超過の解消、旧経営陣への責任追及、内部管理体制の整備と特設注意市場銘柄の指定解除、そして事業成長のために様々な打ち手を実行していきたい。しかし、それらを行うには元手となる資金が必要ですが、今、手元のその資金がありません。
そして当社は、その資金調達の手法として、債務超過の解消のためにも借り入れではなく増資が必要で、かつ、既存株主の価値毀損を避けるためにも第三者割当増資ではなく株主割当増資が現時点で最適だと考えています。
一方で、株主の方の中には、自身が資金を拠出する株主割当増資以外のファイナンスを希望されたり、もしかしたら当社の将来をすでに見限り、上場廃止や場合によっては当社の清算もやむなしと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
そういった様々な株主の声を当社は受け止めます。株主のみなさんには説明会や対話会、そして臨時株主総会当日の機会等を通じて丁寧に理解を深めていただきたいと思っています。そういった機会を通じて、株主のみなさんが当社についての意思表示を行うことができるのがこの期間です。
(3)株主総会後~払込開始(6/1)~権利行使期間終了(9/1)まで
株主総会で本ファイナンスが決議されたのちは、最後に決断をするのは、「当社に出資・資金提供をするかどうか」「もし出資をするのであれば、いつ、どのタイミングで行うか」「出資後取得した株式を売却するか否か」です。
当社としては、当社の存続を考えるとみなさんにご出資をいただきたいですし、決算期末の6月末までに債務超過を解消するべく、株主のみなさんにはなるべく早くご出資をいただきたいと思っています。また、継続して当社の企業価値向上を見守っていただきたいとも思っていますので、長期保有をしていただけたらとてもうれしくも思います。
ただ、この当社の存続のための資金調達、債務超過の解消、長期保有による株価形成といったことは全て当社視点でのわがままとも言え、株主個々の判断だと思います。当社としては権利行使が促進されるよう株価維持に努め、なるべく早くご出資をいただけるようお願いし、継続保有していただけるよう当社の魅力と可能性を引き続き示し続けたいです。
3.資金使途について
「株主割当による新株予約権(非上場)の無償発行に関するお知らせ」の9ページから、資金使途について記載をしています。
それらをまとめると、下記になります。
本ファイナンスで調達した資金は、以下に優先的に充当します
内部管理体制の整備のため及び単月黒字化までの運転資金:310百万円
借入金の返済(下記1.2.の合計):420百万円
2023年2月末までに借り入れた250百万円
2023年3月~5月までの期間における追加借入170百万円
1.の合計額である730百万円を超える額を調達できた場合は、その超えた額を新規事業開発のための資金に充当します
730百万円に満たない場合には、追加のファイナンスを2023年9月以降で調達額450百万円を目安として行います。
特に、財務改善や債務超過の解消といったことから借入金の返済は急務であり、そのための資金確保までは必須だと考えています。
4.株主のみなさまとの約束
以上の通り本ファイナンスの内容を少し深掘りして説明をしましたが、改めて本スキームを選択した理由は、「株主平等の原則の順守」「希薄化防止」「株主との関係性構築」になります。
そして、株主のみなさまとは、本ファイナンスに関して、次のお約束をいたします。
株主割当による新株予約権を発行することにより、既存株主のみなさまに対して平等な投資機会を提供します。
新株予約権を割り当てられた株主の方は、その新株予約権を全て行使した場合、既存持分以上のシェアになります。
現状の当社株価の50%相当額を行使価額にすることにより、無償で新株予約権を得た既存株主が行使しやすいよう配慮しました。また早期に投資メリットを享受することを可能にしました。
本来、株主割当増資の決議は取締役会決議で足りますが、会社の重要な決議であると考え、5月12日開催の臨時株主総会を開催することにいたしました。
基準日までの期間、基準日以降臨時株主総会開催までの期間、および新株予約権割当から権利行使期間まで、十分な期間を設けることに加えて、適時開示による情報提供だけでなく株主向け説明会等を複数回行い、株主のみなさまの理解向上に努めます。
そこから先は、みなさまからいただいた資金をもとに、事業価値の向上、企業価値の向上、そして株価と向き合うということに取り組むのが私の役割だと思っています。残念ながら現時点ではまだそこに立つことすらできていません。ぜひ、当社の再生のために力を貸していただきたいです。
以上になります。
次回は、本ファイナンスのスキームの根幹である、
持分割合(シェア)はどう変化するか?
持分価値はどう変化するか?
株価はどのように変化するのか?
といったことを深掘りしたいと思います。
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