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325キロの“大卒マグロ”

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/blog/archives/2006/07/post_61.html
投稿日時:2006年07月9日16:44

7月8日、325キログラムの本マグロの解体ショーが「がってん寿司相模原星が丘店」の店頭で行われた。この個体からは7000切れ、800人前のマグロ寿司ができるという。気になる味は「他の『蓄養』されたマグロに比べて油っぽくなくさっぱりしている」とマグロを解体した板前さん。マグロは店内ですぐに握られ、集まった客を楽しませていた。

大きさも驚きだが、このマグロの生い立ちが興味深い。
育ちは和歌山県白浜町にある近畿大学水産研究所の海上養殖いけすの中。約50センチのヨコワ(マグロの稚魚)から11年をかけて325キロ、259センチにまで育てられた。

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1970年から本マグロ養殖の研究を始めた近畿大学水産研究所はこのほか、2002年に人工ふ化から育てた本マグロの産卵を確認、完全養殖を成功させた。世界初の快挙だという。現在、近畿大学は完全養殖本マグロに“卒業証書”を付けて出荷している。ちなみに一般的に言われる「養殖マグロ」はヨコワ(マグロの稚魚)を捕獲し、いけすの中で育てて出荷するもの。「蓄養」ともいわれる。

日本は世界最大の“マグロ消費大国”だが、最近の中国やロシアの寿司ブームで本マグロの価格は上昇中。上海のマグロ業者は日本よりも高い価格で本マグロを買い付けるという。
漁獲プレッシャーが高まる中、太平洋での本マグロの生息状況を不安視する声も多く、マグロ類の魚体の小型化傾向もいわれている。
「世界自然保護基金(WWF)は7月5日、日本を主要市場とするクロマグロ(本マグロ)の違法操業が地中海で横行していると指摘した調査報告書を公表し、同海域を管理する大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT、加盟42国)に即時禁漁を勧告した」(2006年7月6日『読売新聞』)とも報道された。

日本周辺は本マグロの産卵場でもある。産卵は4月末頃から石垣島沖から始まる。産卵場は海水温の上昇とともに北上、山陰沖でも確認されている。7月2日の日没前後に、対馬沖で産卵が目撃された。目撃した漁師は産卵の様子をこう話す。
「100〜200キロの本マグロが円を描くように泳いでいた。まるで洗濯機のようだった。サケの産卵のようにマグロ同士が絡んでいた。しばらくすると海が真っ白になった」

近畿大学水産研究所のいけすでは夏に産卵が行われる。
日本の食文化に欠かせない本マグロをいつまでも食べ続けるために、近畿大学水産研究所の本マグロの種苗量産技術の向上と各地への技術移転を望みたい。また、地中海の様になる前に、本マグロ産卵場の環境保全や産卵前の親魚の保護も考えなければならない時期なのかもしれない。
(編集局 堀信)

※引用文中【画像省略】は筆者が附記
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