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リトル・コリアの変化

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/blog/archives/2006/07/post_66.html
投稿日時:2006年07月9日18:12

編集局の青木です。
先日、所用のため東京の新大久保周辺を散策する機会がありました。韓国の人々が数多く暮らすこの界隈は、以前から東京の「リトル・コリア」として知られている場所です。久しぶりに訪れた新大久保周辺は、まるでソウルの一角を歩いているのかと錯覚するほどのコリアンムードに溢れていました。

しかし、どこかが以前とは違う。フラフラと散策するうち、数年前とは確実に異なる雰囲気が流れているのも感じました。

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このブログでの自己紹介の際にも書きましたが、私は2002年から通信社のソウル特派員として韓国に駐在していました。02年といえばちょうど日韓共催ワールドカップ(W杯)が開かれた年。そして帰国したのが今年4月です。ご存知の通り、この間に日本では急激に「韓流ブーム」が高まりました。

私自身はもともと韓国に興味があったこともあり、新大久保周辺には韓国赴任前も時折足を運んでいましたが、ゆっくりとした散策は帰国してから初めて。つまり私が知っていた新大久保周辺の情景は、日本で「韓流ブーム」が起きる前のそれだったのです。

以前も新大久保周辺は韓国好きや韓国料理目当ての日本人が訪れていましたが、それは圧倒的な少数派だったように思います。むしろ街は日本で暮らす韓国の人々の生活の匂いに包まれていました。
しかし今は違います。韓国映画やドラマのビデオ、DVDを扱う店には日本人女性の姿。韓国物産を専門に扱う店にも日本人客の姿が目立ちます。以前はなかったようなマニアックな韓国料理店がいくつも立ち並び、たくさんの日本人客が舌鼓をうっています。
この日、散策の後に合流して新大久保の韓国料理店で一緒に食事をした友人(日本人女性)は買ったばかりの韓国製ラーメンやインスタント食品などが詰まった紙袋を手に現れ、「美味しいんですよ、これ。最近ハマってて」と笑顔。料理店でもドラマで覚えたという片言の韓国語で韓国人店員と笑顔で会話をかわしていました。やはり「韓流ブーム」以前に日本に駐在した経験を持つ韓国人の友人はこんな様子について「以前では考えられないような光景だ」と驚きまじりに語ってもいました。

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実はこの数日前、日本人の記者仲間とともに食事した既知の在日韓国大使館の幹部から、こんな相談(?)を受けていました。
「日韓関係は今、最悪の状況だ。なんとか打開する方法はないだろうか」
もちろん、こんな難しい質問に即答できるような妙案などありませんが、靖国神社参拝や歴史教科書、竹島問題などで日韓関係はこじれにこじれ、定例化していた日韓首脳のシャトル外交も中断したままです。政治的な面における日韓関係は最悪で、タメ息をつきたくなるような状況が続いています。

しかし、新大久保周辺を散策しつつ、市民レベルでの日韓交流は以前より飛躍的に進んでいるとあらためて実感しました。「韓流ブーム」をめぐっては賛否もありますが、こうした交流を後押ししたのが「韓流ブーム」だったのも間違いありません。隣国の人々同士が互いの文化や人間に触れ、知識や交流を深めることが悪いことであるはずがありません。創刊間近いオーマイニュースも良い意味での日韓関係の深化に一役買いたいなぁ…などと思い描きながら、この日は新大久保で韓国焼酎の酔いの中に落ちていきました。
(編集局 青木理)

最後の署名はボールドになっていません。この記事にはコメントが90件ついていますが、単にひとつ下のエントリだったという理由ですのでスルーします。コメントの内容はほぼ一緒ですので。【1日前】