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裁判傍聴記

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/mob/News.aspx?news_id=000000001878

グロービートジャパン・平和神軍事件裁判

9月27日、グロービートジャパン・平和神軍事件裁判の第13回公判が東京地裁で行われた。これは、個人運営で行っているWEBサイト上の表現が名誉毀損で起訴された、日本で最初のそして唯一の刑事裁判である。グロービートジャパンは、フランチャイズチェーン「ラーメン花月」を運営している会社だ。裁判は、グロービートジャパンがカルト宗教団体「日本平和神軍」や学位製造大学「イオンド大学」の関連会社であるとの表現を巡り、その真実性や相当性を巡って争われている。
これまでの公判において、グロービートジャパン社長の黒須伸一氏や副社長の靏見嘉弘への証人尋問が行われ、カルト教団の教祖に対し年平均3千万円におよぶ献金が行われていることや、イオンド大学へ無料で施設を貸し出していることなどが明らかになった。この日は、靏見氏への尋問最終日であり、グロービートジャパンの営業上の機密情報が、カルト教団の教祖に漏洩していることなどについて、突っ込んだ質問が繰り返された。
筆者は、WEBサイトで個人が行うジャーナリズムひいては表現の自由と言う観点から、この裁判を追いかけているのだが、調べれば調べるほど、日本の法制度の不備を感じざるを得ない。と言うのも、名誉毀損訴訟では「罪の無いこと」を訴えられた側が証明しなければならず、組織的なジャーナリズムならともかく、個人でそれを行うのは大変な困難を伴うからだ。
また、弁護人の紀藤正樹弁護士によると「99%真実が書かれていても、1%間違いがあれば裁判に負けてしまう。それが法の問題点」とのこと。つまり、「限られた紙面」と言った表現上の制約が無いWEBの場合、参考資料や説明を限りなく詳しく行うことが出来る。しかし、たとえば誰かを批判する際に書いた経歴の一部など、部分的にでも間違いがあれば、そこだけを取り上げられて有罪になる可能性がある。この裁判でも、サイトは数10ページにも及ぶ論評を行っていたが、起訴状で問題とされた表現は、ほんの3行程度しか書かれていない。表現に公益性があり、ほとんどの部分に問題が無いにもかかわらず、普通の個人が起訴され刑事被告人となっているのが現実だ。さらに、民事での名誉毀損の賠償額は、高額化する傾向にある。
現在、オーマイニュースを始め様々なメディアが、こぞって「市民ジャーナリズム」の理想や可能性を宣伝している。だが、ふとした拍子に高額な賠償金を負わされてしまったり犯罪者となってしまわないよう、現実の裁判例から考えてみることも必要である。

モバイル版オーマイニュース(日本版)より

この記事の投稿者は吉本敏洋氏、投稿日時はこの公判の行なわれた翌日の2006年9月28日、「社会」カテゴリへ投稿されました。


この記事は日本版オーマイニュース編集部が事実の検証、誤認の訂正、補足情報の追加などきちんと仕事をしていた傍証として使用します。

昔この記者さん(の運営しているサイト)にお世話になったから肩を持つわけではないですが、この記事で言及されている事柄については今でも考えていかないといけないと思います。