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サハリン・パイプラインは苦戦模様

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000000677

天然ガスの日本輸入は可能か
記者名 本谷 英一

ロシア政府の利権か、サハリン州の自然保護か、外国投資会社の維持かサハリン州は今選択を求められている。
サハリン・エナジー」社は、地すべりの危険がある区域での2つのパイプラインの建設が停止されたと公式に発表した。このパイプは、北東大陸棚での「サハリン2」の鉱区で天然ガス液化工場とプリゴロドノエ村での原油出荷ターミナルと結ぶものである。同社のプレスセンターによると、建設作業は、マカロフ地区の長さ5キロメートルの区間だけで停止されることになった。ここではパイプが高さ760メートルの山の下に伸びている。長さ800キロメートルの原油ガスパイプラインの他の区間では建設作業が続けられているとのこと。連邦天然資源利用分野監督庁によると、「サハリン・エナジー」社は、どのようにパイプラインの建設と保全の問題を解決するかということについての認識を明らかにしていない。このため、同庁長官は、パイプライン建設の停止、個別的設計作業と国家鑑定の実施を要請した。「サハリン・エナジー」社の代表者の説明によれば、請負企業が必要な建設的規準を遵守することに自信がない限り、作業が行われない。また、このことは同プロジェクトの実現期間に影響を与えないことが強調された。「コメルサント」紙によると、「サハリン2」プロジェクトに対して検査関係者が注意を払うのは、「サハリン・エナジー」社の25%を取得したい「ガスプロム」社の関心によるものであるかもしれない。今までは、環境鑑定書のほとんどは要請とともに発行されていた。例えば、1999年にバルトパイプラインシステムの建設プロジェクトに対し97の要請、カスピアパイプラインシステムに対し88の要請が発行された。しかし、同プロジェクトの一つも停止されていなかった。「ガスプロム」社から「サハリン2」への圧力が続けられ、実現が遅れると、「サハリン・エナジー」社は何十億もの損害を受けるだろうとのこと。
「ガスプロム」社は、ロシア最大のエネルギー投資会社でありプーチン大統領とは親密の中である。
「サハリン・エナジー」社により、液化天然ガス出荷係留場の建設が完了した。係留場の全長に支柱が設置され、出荷プラットフォームが建設された。10の支柱が設置されたことにより、沿岸から805メートルのところで位置している出荷プラットフォームと陸地との連結が可能となった。この係留場から液化天然ガスは特別タンカーに出荷される。積載量が18,000立方メートルから145,000立方メートルまでのタンカーを係留することができる。天然ガス液化工場の操業の際、タンカーへの装填時間は6時間から16時間までとなる。
現在まで90%の工事と付帯する建設が終了している。
又、先日行われたロシア連邦工業・エネルギー省の投資政策部副部長と「東京電力」・「三井物産」の代表者との会議で「サハリン2」プロジェクトの発展に関する問題が協議された。「三井物産」は「サハリン2」の出資者である。サハリンからLNGを購入しようとする「東京電力」は協力の拡大に関心を持っているとのこと。同会議で日本側は、中期・長期の展望に関する計画について発表し、現行プロジェクトの枠内における協力の拡大を希望し、エネルギー分野におけるロシア・日本間の協力の深化に関心を示した。同会議の結果に関して、同副部長は、LNG分野における日本企業の経験は、ロシアでのLNGの今後の発展を促進すると強調した。地理学的優位(輸送費の減少)により、アジア太平洋諸国に向けてのサハリンプロジェクトの発展が促進されている。天然ガス液化工場の基本的な生産物量は日本の消費者に向けられている。2004年に売買契約が締結された「東京電力」は最重要の購入者であるとのこと。
しかし、開発当初に交わされた分け前にロシア政府は不満があるようだ。
生産物分与協定によるロシアの収入は毎年1億ドルのみである。同協定の実施の始まりから、この年の1億800万ドルを含む国家予算への収入は5億1600万ドルのみである。これは、生産物分与協定管理政府委員会の会議で明らかにされたとのこと。同委員会の主な課題は、毎年「生産物分与協定に関する活動の結果」についての報告を作成し、国家院に次年度の予算案とともに提出することである。最近、この報告は、会計検査院や議員、政府からの生産物分与協定の批評のもとである。外国オペレーター企業に対する基本的なクレームは、地下資源採掘で得られるわずかな支払額と関連がある。同協定の条件により、原油とガスの分与は、外国企業が公表された経費を原料の売却によって償還した後に始まるとのこと。会計検査院の院長は、2006年に会計検査官の活動は主に生産物分与協定の遂行の検査に向けられると述べた。現時点で、ロシアでは炭化水素採掘に関する3つの生産物分与協定が実現されている。それは、「サハリン1」、「サハリン2」及びアルハンゲリスク州における原油採掘プロジェクトとのこと。「サハリン1」の出資者は「エクソン」社(30%)、「SODECO」(30%)、 「ONGC」(20%)、「ロスネフチ」社 (20%)。「サハリン2」の出資者は「シェル」社 (55%)、「三井物産」 (25%)、「三菱商事」 (20%)。 アルハンゲリスク州のプロジェクトの出資者は「Total」(50%)、「Norsk Hydro」 (40%) 、「ネネツ石油会社」(10%)。 工業・エネルギー省によると、その3つのプロジェクトへの投資総額は170億ドル以上であり、国家予算への支払い総額は5億ドルである。生産物分与協定による体制の支持者は、ロシア政府に金の山を約束した。ただし、将来。将来の分け前は、どんどん先に引き延ばされており、政府のいら立ちも膨らんできている。「サハリン1」と「サハリン2」からの収入総額は400~500億ドルと見積もられているが、「ロスネフチ」社のホームページによると、「サハリン1」だけからの収入は400億ドルとなる可能性があるとのこと。「サハリン1」による現在の支払い水準が保存されると、ロシアは約束された収入を800年間後にもらえるとのこと。原油の払いの取得は実際に何十年間引きのばされているため、政府は外国オペレーター企業に対する圧力の方法を探す。
以上が今回のパイプライン建設中止の大きな理由である。果たして日本に天然ガスは輸入できるのか。
2006-09-03 17:31

この記事はなかなかに面白いのですが、日本版オーマイニュース編集部にはこの話題を適切に扱えるスタッフがいなかったようです。

ロシアからのエネルギー(天然ガス)に依存したヨーロッパ、特にドイツはウクライナ危機(ロシアのクリミア編入)以降、供給元のロシア偏重から脱却しようとしています。サハリンからパイプラインで日本へとエネルギー(原油や天然ガス)が供給されるようになると、ドイツと同様の問題を抱えることとなります。

エネルギーの輸入に関する話にはいろいろと面白いものが多いので興味があったら調べてみるとよいでしょう。