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佐々木編集員の問いかけに対して

引用元URL:http://www.ohmynews.co.jp/blog/archives/2006/08/post_124.html
投稿日時:2006年08月27日00:56

佐々木俊尚さんの記事の2本目と同じタイミングで、編集部スタッフの意見を載せようと計画していましたが、そこは計画。本番サイトの創刊準備に追われてそんな余裕はまったくなく、週末になってしまいました。すみません。ただ、そのおかげで、佐々木さんログに端を発した論議をとても興味深く読むことができました。

ということで、佐々木さんの問題提起を素材に、オーマイニュースの立場を編集部を代表せず、個人的に記します。

佐々木さんは、「オーマイニュースはそもそもどういう立ち位置なのか」という質問し、左右、新旧、客観報道か否か、立場をはっきり明確にしろ、といいました。政治や外交の取材経験がなく、そもそも左だ、右だに興味がないノンポリな私としては気の重くなる問いかけですが、この質問は、聞く対象を間違っています。

現在、日本の既存の新聞は、記事本数のほぼ9割(正確に数えたわけではないので、念のため)は無署名です。しかも社説を掲げています。だから「社としてどうなのだ、組織としてどうなのだ」と問い質したくなるのはわかります。

しかしオーマイは「自分の名前で記事を書こうよ」と言っています。社説もない。立ち位置があるとすれば、記者ひとりひとりであって、オーマイニュースではありません。オーマイに「立ち位置」なんてないのです。守りたい何かがあるとすれば、それは「できるだけ多様な言論を載せたい」という、プラットフォームとしての立場です。

客観性についても、個々の記事からではなく、このプラットフォームから生まれると私は思っています。既存メディアで勤務経験がある私を含むスタッフは、彼らが標榜する「客観報道」は現実には不可能だとよく知っています。だからこそ、私たちはあえて「自分の視点で書きましょう」と言っています。名前が「私のニュース(My News)」なのはそのためです。

客観性は、ひとりひとりの客観的たろうという意志では担保できません。数多くの、ロングテールに生息する多様な個人が、主観を交換し合ってこそ実現するのです。ですからスタッフとして私は、オーマイニュースを可能な限り多様な見方が交差するプラットフォームにしたいと願っています。どんな方向からであれ、反対派にも耳を傾けさせる、説得力ある記事を多く掲載したいと願っています(個人的には、政治的な議論はあまり好きではありませんが)。

このオーマイの「プラットフォームとしての立場」に危うい点があるとすれば、衆愚的に一方向に振れたときどうするのだ、という点だと思います。たとえば韓国オーマイニュースにはバカバカしい反日的な記事やコメントが掲載されているようです(私は韓国語が読めませんが、先日も韓国語のわかる日本人スタッフが「バカな記事が載っているなぁ」とつぶやいていました)。

しかし、この言説がオーマイニュースの社論だとか、組織としてのスタンスだなどと勝手に解釈し、「反日メディア上陸」などと楽しんでいる人はポイントがずれています。それはオーマイのスタンスではなく、参加している国民がそういう愚かな意見で盛り上がってしまっている、ということです。

そういう問題点はありますが、その欠点もオーマイのプラットフォームが国境を越えれば、翻訳を通じた議論によって、お互い乗り越えられるかもしれないと私は楽観視しています。日本版の創刊はそのための大きな実験です。ということで、長い目で本番サイトを見守ってください。よろしくお願いします。佐々木さんの第2、第3の質問にも、いずれ答えようと思っています。

(平野 日出木)

当時から既にバレていましたが、わたしは平野日出木デスク(当時)派閥です。こまかな点は違うものの平野氏の路線で進むならば、2ちゃんねるからの移住も可能そうだとも考えていました。

ソフトバンクという資本の後ろだて、鳥越俊太郎編集長というスタープレイヤー、経験豊富な編集スタッフ(一部)。路線さえ間違わなければネット言論の一大勢力にはなり得ていたのではないかと今でも思います。