やたらに描写の細かい日記_250129_怖さの全くない川
250129
また30分のアラームを掛けて日記を書く。
家の周りを北北西から南東へ走って土地を二分している川がある。名前は早渕川という。川幅は広いところで二十歩ほどになるか。よく見る地図の上では近くを通る東名と変わらない太さの二重線を割り当てられており、かなりの存在感がある。流路を点線に切るように、短い橋がいくつも渡されている。うち一本を毎日渡っているのだが、橋の中ほどに掲げられた鮮やかな青の看板に「一級河川 早渕川」と白抜きの丸字で書いてある。
早い渕、という名前に違わず河川等級の中でも最上の位置付けを与えられている川なのだが、日々この川の流れを目にしている身には少し疑ぐりめいた思いがある。
この川、そんなに立派な川か?
見るからに一級という川幅ではなく、流れも早いというほど早くない。渕というほど深くない。どころか月の大半は水が枯れて草の芒が連なる河床を晒しており、よく見ると渉禽の類がまるで陸地を行くような呑気さで翼をたたんで歩いている、こんな所がこの川の偽らざる姿である。雨の日も風の日も、この川を渡る上でなんというか、怖さを全く感じられないのであり、ともすると当地に越してきた当初「早渕川」との名前を見て「うわあ、子供がさらわれそうなネーミングだ」と思った自分が恥ずかしいような気分になる。
あと15秒しか時間がない。この話はまた次の日記で。