ブックガイド(55)「アオイホノオ」
(2016年 09月 18日 「読書記録゛(どくしょきろぐ)」掲載)
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週末を利用して、ドラマ24枠でオンエアされたドラマ「アオイホノオ」を一気視聴した。さらに先日は、原作のコミックスの方を1巻から14巻まで一気読みしたところ。
舞台となる1981年は、私自身、大学を卒業したばかりの頃である。
焔モユル君とは異なり、4年生の時に「俺はマンガではなく小説の人だ」と気づいて小説を書き始めた年である。
最初に書いた作品をきっかけに編集の人と初めて話をして緊張したもので、焔君の気持ちがようわかる。
作者・島本和彦の大阪芸術大学時代の物語で、同期の庵野ヒデアキなどそうそうたるクリエーターのエピソードが語られる。
特に「ダイコン3」のOPアニメがSF界に巻き起こした激震は、当時ファンとして早川書房の「SFマガジン」を毎月購読していたので、記事やコラムで嫌というほど読んだ記憶がある。
小説とマンガの違いはあれど、「創作」に燃えていた若い連中の焦りや悔しさが伝わってきてうれしくなる。
柳楽君の顔芸が見もの。マンガ的演出がうれしくなるし、特にオープニングは、庵野版「キューティー・ハニー」へのオマージュになっていてニヤリとさせられる。
主人公が庵野ヒデアキのアニメを称賛するクラスメートたちに心の中で「お前ら、悔しくないのか!」と叫ぶシーンに、そうだよそうなんだよ、と頷いてしまった。
残念なのは、かくいう私が、いまだに電子書籍のKDPでマイナー作家としてくすぶっているということだ(苦笑)
だが、焔モユルならこう言うだろう。
「確かに奴らは先を行っている、だが、上を行っているのではない!」
この健康なポジティブシンキングに、おいらは共感するんだ。
アオイホノオ(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
アオイホノオ DVD BOX(5枚組)