★高額療養制度マニュアル
「生命保険や医療保険なんて、入る必要がない」
お金の話、お金を貯める話、金融リテラシーみたいな話をしているところだと、こんなことがよく言われる。
その理由として、「高額療養制度を利用すれば、10万円程度の自己負担金さえ払えば、残りは必要ないから」と言われる。
それを当てにして、とりあえず保険に入らないままだったが、当方もう30歳を過ぎ、家族も持ち、住宅ローンを組むことになって、改めて高額療養制度マニュアルを自分用に作っておこうと思った。
昔、高額療養制度とその概要は理解したが、具体的な申請方法や、本当にがんなどの病気に罹ったときに賄えるかの検証に自信を持ててないからだ。
というわけで、このnoteでは、
高額療養制度の内容
ガンなどの病気に罹ったときの簡単なシミュレーション
高額療養制度の申請方法
についてまとめる。
なお、当方、普通の組合がある会社員である。フリーランスや自営業の場合には少し触れると言った程度なので悪しからず。
高額療養制度とは
高額療養費では、1か月(1日~末日)に支払う医療費が自己負担限度額を超えた場合に、超えた分が払い戻されます。
自己負担限度額は人によって違い、下記によって算出される。
自己負担限度額の計算式
標準報酬月額28万〜50万円の方
報酬月額27万円以上〜51万5千円未満の方
※賞与除く
であれば、
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
つまり、医療費にもよるが、100万円程度の医療費ならば、自己負担は10万円くらいで済むということだ。
仮に医療費1000万円でも自己負担20万円だ。これはかなり親切だ。
なお、上記はわたしの年収および平均年収くらいのケースだが、報酬月額レンジが上記以外のひとは別途調べてみてほしい。
ただ、一応、制約がいくつかあるらしい。
1つの医療機関においてその月の支払額が21,000円以上のものに限られます
入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。先進医療に掛かる費用も同様。
1つの医療機関であっても、医科と歯科、入院と外来は分けて計算します(総合病院ならレセプトを一本化してるため、合算可能)
※レセプト:保険の清算を考えるときの単位/領収書のようなものらしい。
この制約から言えるのは、何か重く複雑な病気に罹って、長期の闘病になると厳しいということだ。
例えば、延々と自己負担額を支払っていくと、合計100万とかになってくるかもしれない。
逆に言えば、一発の高額支払い、例えば手術代とかは問題にならないと言えそうだ。
補助的な仕組み
世帯合算
被扶養者がいれば、一緒に治療していれば、合算して申請できる。
「1つの医療機関においてその月の支払額が21,000円以上のものに限られる」というルールに有効だ。多数回該当
12か月以内の4回目から上限額が下がる。上記の報酬月額レンジなら、上限額44,400円になる。
長期間の治療に有効だ。長期療養の特例
血友病、人工透析及びHIVといった非常に高額な治療を長期間にわたって継続しなければならない方については、高額療養費の支給の特例が設けられています。この特例措置が適用されると、原則として負担の上限額は月額1万円となります。
上記の仕組みによって、仮に長期間の闘病生活になっても、いくらか支払いは楽になる。1~2年の療養を仮定しても、100万円の貯金があれば、治療代を賄うことはできるだろう。
傷病手当金|療養のために休業した時に
高額療養制度とは別の制度になるが、傷病手当金という制度がある。
これは療養のために休業した時に、その給与を補填するためのものだ。
「標準報酬日額の2/3を最大1年6カ月」支給してくれるそうだ。
なお、傷病手当金は非課税所得なので、ここから税金を支払う必要はない。ただし、社会保険料は支払う必要があるので、そこには注意。
まあ、普段からギリギリの生活をしてなければ、とりあえず生きることはできそうだ。
組合や自治体(市町村)による独自の措置
自分が所属している保険組合を見たところ、組合によっては独自の付加給付があるらしいので、調べてみてほしい。いままでの話に加えて、さらにお金が支給されるということだ。
また、市町村が独自に自己負担額を定義しているところもあるらしい。
もちろん、保険組合との重複利用は基本認められておらず、重複したら返還を求められるようなので、ズルはしないこと。
おまけ| 他の保険制度
調べている途中で見掛けたのだが、他にもいろいろ制度があるらしい。
詳細はここでは書かないが、ようするに、
家族(被扶養者)がいた場合
子供がいた場合
出産時
介護保険受給者
障碍者などなど
などのケースで、また別の給付が受けれたりするらしい。なので、自分がそれらのケースに当てはまっていると思ったら、調べてみてほしい。
簡単なシミュレーション| 医療保険は必要ないのか?
高額療養制度がわかったところで、医療保険が必要ないかを検証するシミュレーションに移る。
まず、どうやら高額療養制度と医療保険(民間保険)は併用可能らしい。
となると、重要なポイントは「高額療養制度で賄い切れないケース、例えば長期間の治療や入院を必要とする病気というのは世の中にどれだけあるのか?」を把握することである。そういった病気については民間保険で対処したいからだ。
、、、と言っておいてなんだが、これについての回答はここではまとめない。民間保険というのは、期待値でいえば「どちらかといえば損」というのが基本だからだ。
長期医療が必要になったとき民間保険が気になる人は、各自調べてみてほしい。僕は、「物凄く重い病気になったら、その時はその時」と考えて諦めるタイプなので。
補足①| 医療保険ってこんなもんだよね
一般的な医療保険をなんとなく調べてみた。ネットで検索してみると、30歳男性だと下記のような内容になった。
月額1500円(年額18000円)
入院中は5000円/日を支給
手術/治療代は10~30万円を支給
入院を2週間としたら、「有事の時のための37万円を月額1500円で買う」ようなものか。
何年以内に有事になったら得するかを計算するために、37万円を年間18,000円で割ってみると、、、
370000 / 18000 = 20.5555555….
つまり、「20年以内に、つまり50歳までに入院2週間以上の手術」がという事態があれば得するわけだ。
まった、微妙だなあ、、、
保険ってこうなんだよなあ、、、
絶妙なところを狙ってくるんだよなあ、、、
だから、子供に残すための生命保険とか、そういう決定的なもの以外の保険ってどうでもよく感じるんだよなあ、、、
補足②| ガンの治療費と治療期間
下記、三菱UFJのページから引用するが、
胃の悪性新生物(1入院費用) 全体 95万3,995円(3割負担だと約29万円)
直腸の悪性新生物 全体 102万2,965円(3割負担だと約30万円)
気管支および肺の悪性新生物 全体 85万5,040円(3割負担だと約26万円)
乳房の悪性新生物 全体 77万1,650円(3割負担だと約23万円)
大体、自己負担額は30万円くらいだ。別のサイトでは自己負担額60万~80万とか書いていることもあった。まあ、いずれにしても高額療養制度によって治療費は10万円くらいに抑えられる。
ガンの入院日数は大体1~2週間らしい。長くても1か月だ。ただし、抗がん剤治療だと1年単位で長くなることもあるらしい。こういうのをガン保険で対処するかどうかってとこかな…。
まあ、ガンになったときの治療法とかは、また別で調べるか。
実際のところ、その時に医者と相談してどう思うかで、きっといまは何とも言えないよね。
高額療養制度の申請方法
さて、いざその時になったら、どのように申請すればいいのか。
これはわたしの保険組合の場合、とても簡単だった。どうやら、医療機関から直接保険組合に通知がいって、こっちからの申請は不要らしい。
んで、組合から自分に連絡が来て、あとは領収書を提出すれば良いらしい。だから、領収書をちゃんと保存しておくことは必要です。
というわけで、申請方法はそれぞれの保険組合のホームページとか確認してみてください。申請不要かもしれないし、何かフォームから申請したりするのかもしれない。
他の一般的なルールは下記みたいな感じらしい。
事後に申請もOK
その他の注意点
申請期限
申請には期限があり、診療を受けた翌月1日から2年を経過するまでに行わないと時効により申請できなくなる払い戻しまで3か月以上掛かる
病院の診療報酬明細書や被保険者からの申請書類の確認に時間がかかるため、医療機関の窓口で医療費を支払ってから申請をして払い戻しを受けるまでに3か月以上かかる
①医療費を支払う
↓
②申請/領収書の提出
↓
③払い戻しを待つ
というのが基本の流れですが、事前に「限度額適用認定証」というのを発行していれば、病院窓口で自己負担額だけ支払って終わり、ということもできるらしい。
病院には支払時に窓口で健康保険証と共に提示すればいいらしい。これも簡単だね。
限度額適用認定証の有効期限は申請書受付月の1日から、最長1年間です。
ついでに、年末調整/確定申告時の医療費控除
ついでの話ですけれども、「1月1日から12月31日までの間、原則として10万円以上の医療費を支払った際に受けられる控除医療費」は控除できますから、そのためにも領収書は保存しておきましょう。
年末調整/確定申告する際に提出するのはもちろん、その場合は領収書の5年間の保存が義務づけられていることに注意すること。