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母への複雑な感情
成人済み社会人、母親と久しぶりに会った。白髪が増えたり、目の周りの皮膚がやつれたり、手の甲の血管や指の細さが老人のそれに近づいていた。親が若くないことを自覚すると少なからずショックを受ける。
母への感情は、一言では表せない。
よく言う育ててもらった感謝のようなものは、あまり実感がない。親は親としての責務を果たし、私は子として最大限に努めた。感謝の循環はそれで完結したと思っている。
恨み言はたくさんある。そもそも、母には欠点が多い。
①捨てるべきものを捨てられず、家をゴミ屋敷にしてしまう点
②コミュニケーションが苦手で、相手の様子に構わず一人で喋り続ける点
③小説や取扱説明書などの文章が読めない点
④ものを丁寧に扱えない点(たとえ他人のものでも)
⑤身だしなみを気にかけない、髪を整えるために鏡を見ることもしない点
⑥怒ると感情を制御できず、喚き散らしてものを投げ、皿を割ったり壁に穴を空ける点
⑦ややどんくさく、想定外の事態が起こるとパニックになる点
⑧外には良い顔をしようとして、そのしわ寄せが私たち子供に行く点
⑨私たちきょうだいの財布や貯金箱からお金を抜き取ることがある点
⑩真面目な話は避けるか逆ギレする点
改めて羅列すると、ろくでもない。一緒に暮らしていた頃は、この人頭がおかしいんじゃないかと、ずっと思っていた。実際、何らかの問題を抱えたまま、この歳まで来てしまった人なのだと思う。
でも、私が自立して母とは日常的に距離ができてからは、関係が改善した。"外"から接する母は、決して悪い人ではなかった。一緒に暮らすのはもうできる気がしないが、幸せに暮らしていてほしいと思った。
母を喜ばせたい気持ちはある。そのために話題を選ぶし、母が笑ってくれると嬉しい。会う機会があれば、つい母への贈り物や、何を食べさせてあげようかなどを考えてしまう。
母に甘えたい気持ちもある。いい大人が恥ずかしくないのかと言われれば、まあそうなのだけど、褒めてほしいし認めてほしい。私の話を聴いてほしい。
酷い思い出も色々とあるが、嫌いにはなれない。毒親だとも思わない。私のつらい思いをした出来事は、人由来のこともあるが、環境由来のことが多いと思っているので。きっと母にもどうにもできなかった。
私は自力で幸せになる。
母もどうか、報われてほしい。
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