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まえばし心の旅015:コーヒーの街

私はコーヒーが好きだ。

コーヒーを頼むと、豆を引く音がし、やがて粉の上にお湯が注がれる。お湯が沸く数分、カ ラフェからコーヒーが落ちるひととき、せっかちな私でも、その時間を楽しみながら待つこ とができる。それまでの間、その時々で変化して漂ってくる香りが、コーヒーを飲む期待を 膨らませてくれる。

コーヒーの香りが体に入ると、すーっと力が抜けてリラックスできる。そして、あの苦味は、 体を活性化させてくれる様に感じる。飲み終わった後は、コーヒーの残り香を、口の中でし ばらく楽しむ。

10 年ほど前から、スターバックスが前橋市内にもいくつかできた。洗練された店内で、コ ーヒーを飲みながら、本を読んだり、仕事をしたり、打ち合わせをしたり。私も仕事の途中 で立ち寄り、前の打ち合わせの内容をノートにまとめたり、考え事をしたりと、けっこう使 わせてもらった。

その後、前橋はコーヒーを楽しめるお店が増えてきている。喫茶店やカフェとして店内で飲 むことができるお店、テイクアウトの様に買えるお店、豆を専門に売っているお店、さらに はキッチンカーまで。また、それらの機能を兼ね備えているお店もある。

そして面白いことに、チェーン店のスタバは、コーヒーを飲みながら仕事や勉強などをしな ければならない様な気持ちになるのだが、個人店は、そこに流れる時間を楽しみ、コーヒー を味わうことに専念したくなる。

それぞれのお店がコーヒーの味にこだわり、美味しくてストーリーがあるコーヒーを提供 している。また、大きくて開放的なお店もあるし、小さくてお店の方とおしゃべりをできるようなお店もあり、様々だ。焙煎を店内で行っているお店もあるし、占いや三味線など、プ ラスアルルファのコンセプトを提供してくれるお店もある。また、コーヒーに合うお菓子を 丁寧に準備してくれるお店もある。そしてほぼ例外なく、インテリアにこだわりがある。地 方都市で、これだけ多彩なコーヒー店がある街は他にあるだろうか?

コロナ禍で遠出が憚られる今、市内でこれだけコーヒーが楽しめるのはありがたい。いっそ のこと、「コーヒーの街」を名乗ってはどうだろうか?そして、中央イベント広場などで、 それらのお店を一堂に会したイベントを開催して、飲み比べができたら楽しい。
地域の名物というのは、無理に作るものではないと思っている。気がついたらその地域にあ るもの、それが本当の名物だろう。自然発生的に広がりつつある前橋のコーヒー店。新しい 前橋の名物になるかもしれない。

放送日:令和3年7月21日

音声データもお楽しみ下さい


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