まえばし心の旅⑩交通公演
小学生の頃は、学年が進むに従ってだんだんと遊びや行動範囲が広がる。広瀬川と佐久間 川が合流するところにある交通公園は、学年が進んでも、いつでも遊び相手をしてくれた。
最初は自分の家族に連れて行ってもらい、敷地内に展示されている蒸気機関車で遊んだ。 運転台の前に立ってみたり、炭を投入する釜の入り口を探ってみたり。運転席から前がよく 見えないのが意外だった。今でもそこにある SL は、D51、通称「デゴイチ」で、今でも私 の中では、SL といえばデゴイチだ。
もうちょっと大きくなり、友達の家に遊びに行く様になると、たまにその家の方がみんな を交通公園内にある児童文化センターに連れて行ってくれた。目的地は、その中のプラネタ リウムだ。背もたれが寝ている椅子や、真っ暗なドーム型の天井にさまざまな星座や星が映 されている様子が、今でも目に浮かぶ。でも、今になって考えると、友達の家の方にとって みれば、自分の家で小学生の男の子が何人も騒いでいるよりも、よそに連れて行って静かに 座らせておいた方が、楽だったのかもしれない。
そういえば、これを書いていて思い出したが、近所の友達と二人で、大人の誰にも言わず に交通公園まで歩いて遊びに行き、薄暗くなるまで戻らなかったことがあった。帰ってみる と、「二人が行方不明になった!」と町中が大騒ぎになっていたなあ。
高学年になるころ、自転車に乗り出す。何年生の時のことか忘れたが、学年全体で自転車 に乗る勉強をするために、交通公園に行った。指導の方から発進・安全確認・手信号などを 教わり、全員が自転車に乗って、敷地内のコースでルールや乗り方を学んだ。車が来ない信 号や、電車が来ない踏切が思い出される。自転車に乗り出したことによって、行動範囲が飛 躍的に広がった。
やがて、私の心をいちばん捉えたのは、ゴーカートだった。最初は知り合いの大人が運転 し、私は助手席に座っていた。その方はけっこうスピードを出すのが好きだったのか、ちょ っとスリルを感じた。でも、風を切って走るのは、とても気持ちよかった。その後、自分で ゴーカートを運転するようになると、その楽しさに虜になった!今までは、せいぜい足こぎ のカートや自転車だったのが、自分の足でアクセルを踏むと、エンジンが動く!機械を操作 しているという動作が、自分がちょっと大人に近づいた様に感じさせてくれた。
祖父に連れ て行ってもらうと、たくさんチケットを買ってもらい、何周もしたものだ。今でも運転や車 が好きなのは、交通公園のゴーカートの影響かもしれない。
今は、児童文化センターの建物も建て変わり、交通公園も「前橋こども公園」と名前が変 わった様だ。でも、ゴーカートは今でもある!!また運転したいな。でも、大人が一人で行 ったらおかしいかなあ。
放送日:令和3年6月9日
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