#13 高校時代の自分③

私の高校3年間は9割が野球だった。
平日も土日も野球ばかり。
まあその割に私はどれだけ成長できたかと言うと、ちょっとだけ肩が強くなって腕と脚がちょっとだけ太くなったくらいだった。
それ以外は現状維持、あるいは退化していった。


当時私がいた野球部で監督をしていた人を
漢字2文字で表すならば

・昭和
・筋肉
・保険

まあこんなもんだ。
ちょっと何言ってるか分からない?
ああ、私もだ。
思い出しながら書いていきますね。

監督はとにかくこだわりが強かった。

呼び方のこだわり

そもそも監督と呼んではいけなかった。
先生と呼ばなければいけないみたいだった。


とにかく筋肉バカ

監督は50代でありながら筋肉隆々だった。
週に2日以上はウエイトトレーニングの時間が設けられていた。
ボールを使った練習をしない冬場には23日に1回のスパンでウエイトトレーニングがあった。
しかしながら、2年半で球速や飛距離が格段に上がった選手はほとんどいなかった。

返事へのこだわり

返事の仕方が悪いと何度もやりなおしをさせられる。
部員の返事がなくて、返事をさせるのなら別だが
返事が悪くてやりなおしをさせる野球部なんて聞いた事がない。
どんなこだわりだったかというと
普通の返事は「はい!」だが
監督がこだわる返事は「はぃ!」
「い」の部分を小さく言うことがコツだ。

私も私でバカだったので
返事さえちゃんとすればミスしても許してもらえると思い込んでいた部分もある。
社会人になってもこの癖はなかなか消えなかった。

挨拶へのこだわり

監督は挨拶にとてもうるさかった。
挨拶が大事なのはわかる。
歩きながら挨拶ではなく立ち止まって挨拶するほうがいいのもわかる。

ある日の掃除の時間、私は校庭の掃除をしていた。
20メートルくらい離れたところに監督が立っていた。
監督がこちらを向いた。
挨拶しなければ!と思い頭を下げて挨拶をしようとした。

「こん……

その瞬間監督は横を向いてその場を立ち去った。
思い切りシカトされたのだ。

あぁん!?挨拶のことめちゃめちゃうるせえくせに自分挨拶できへんのか?ぁぁん!!?

他人に期待をしてはいけない
信用や期待はやがて甘えとなる。

私は監督のことを嫌っていたが
心のどこかで期待していた部分もある。
見切りをつけるということができていなかった。


試合の時の決まり文句

試合で選手の交代をするときには選手に対し、
「次のイニング、代打でお前を出すからバット振って準備しとけ。」
と、普通の監督なら言う。
そして宣言通り試合に出してくれる。

一方、うちの監督はというと
「次のイニング、代打でお前を出すかもしれへんからバット振って準備しとけ。」と、ちょっとだけ言葉を濁して言う。
そして試合に出ることなく終わる。

そう、彼は試合での決まり文句として保険をかける癖があるのだ。

そしてそれは監督に嫌われている選手であるほど多い傾向にある。

嫌われている選手とは誰か

そう、私である。

耳にタコができるほど聞いた。
代打で出すかもしれない
守備で出すかもしれない
そして、結局出ない。
2年半彼の下で野球をしてきたが、この日は出してくれるのか出してくれないのかが死活問題のまま解決しなかった。

逆に、事前に何も言われていない選手を急に出したりする。

気分屋すぎる。挨拶や返事には並々ならぬこだわりがあるのに
試合で出すかもしれない宣言に関しては脳みそ取り替えたのかというくらいに言ってることとやってることが違いすぎる。

これはある種の偏見なのかもしれないが
筋肉隆々な人はひょっとしたら優柔不断なのかもしれない。

監督は悩んでくれていたのだろうか。

「おい俺の筋肉💪ハジメを試合に出すのかい?」
「出さないのかい?」
「どっちなーんだい!?」

「だーーーーーーーーーーさない!!!」

「パワー!💪

みたいな。

すいません。私の考えすぎでした。


につづく。