最高の友人たちはなぜ最高なのか

大学で出来た友達のことを、常に「最高の友人」と呼んでいる。

人間が出来ている。

他人を慮る能力に長けていて、当たり前のように忖度はできるし、何より最高なのは自分の世界の外のもののことを肯定する力があることだと思う。

簡単に言うなれば、他人の考えを「そういう考えがあるのね」と、心のささくれを作らずに受け入れ、生きることが出来る。

大学時代の、特に同じ学科の仲のいいグループはみんながみんなこれを当たり前のようにしていたので、私はこの状態のことを「大人になるということ」だと認識していた。そして社会に出て、友人のような人間が全然いないことから、そうではなかったのだと知った。つまりは24歳の今も大人になるということが何なのか、解ってなどいない。

最高の友達たちはどうしてこれができたのだろうと考えた。私が在籍していた学科はメディアデザインに関わる学科で、早い話がみんなアニメや映画のようなメディア媒体のオタクだった。そしてみんながその畑で生きるクリエイターでもあった。きっと、多くの作品に触れ、多くのデザインされた人間に触れ、主観的な見方や客観的な見方をする経験が他の畑の人よりもずっと多いのだ。それはある意味、他の人よりも多く人生を歩んでいると言っても過言ではないかもしれない。そりゃあ、「大人だ」と感じるはずなのである。

クリエイターからしたら、考え方の道筋の違いはひとつの知識としてメリットがある。例えそれが自分のものさしと大きく外れていても、「理解できない!」とはならずに「そういう人は何故そう考えるようになったのだろうか。家庭環境、兄弟の多さ、過去の恋人の性格、学歴、一体何がどうしてその人たらしめているのか」を考えることが、クリエイティブの幅を広げる。


上記が最高の友人たちがなぜ最高なのか、の答えである。案外あっさり見つかった。以下は、もう少しだけ「最高」の部分を掘り下げた考えに当たる。



「君の名は。」「天気の子」で有名な新海誠監督のセミナーに参加したことがあり、その時にゲストとして参加されていたキャラクターデザイナーの田中将賀さんのお話の中で、「この子のマフラーの巻き方が〜」という何気ない言葉が出てきたことを今でも強く覚えているのだが、キャラクターもとい人間を一人作るとなると、顔立ちや服装のデザインは前面に出すことができても、その服装をそのキャラクターが選択した意図や根拠までは、少なくともそれまでの私の人生の中ではやらなかったし、やっている人を見たこともなかった。しかしそれこそがデザインだ。

とはいえ、クリエイターでなくたって、普段の生活の中でここら辺の掘り下げを自然とすることはある。私は三代目J Soul Brothersの登坂広臣っぽい服装をしているお兄さんを見かけると、「登坂広臣が好きなんだな」と思わずにはいられない。その人がそのようにあることを選択した理由を勝手に考えているのである。

そして顕著なファッション以外でもこれをしているのが、最高の友人たち。

通勤中の電車ってやつは、どうしたって嫌な人と関わってしまうこともある。私がこれから降りようと開きゆくドアの前に立っているのに、乗ってくるおっちゃんが避けるどころか、降りる人よりも先にズケズケと乗り込んできて肩やら鞄やらをぶつけてくるだとか。こんなことがあれば「なんなん?!ありえねー!○ね!」と思うことも今の世の中珍しくないはずではある。しかし、私や最高の友人たちは、

「オブジェクトのタッチの数で経験値が溜まるタイプのゲームの人かな」

「五感を奪われている真っ只中なのかな」

「追っ手がすぐそこまで来てる人なのかな」

と第一アクションとして認識する。もちろん本気でそうだとは思っていない。けど、本気でそうだったらいいなとは思っている。何故ならその方がハッピーだから。それだけ。

言い方によってはポジティブとも言われるこのデザイン活動は、口に出せば出すほど周囲に好影響があることが最近わかってきた。余談だが、最近は「あなたと一緒にいるとポジティブになれるよね」って言われたことがすごく嬉しかった。ちなみに私も私のこと鬼のポジティブだと思ってるしおかげさまでQOLメチャ高いと思っている。

そして同じようにこれを自然としてくれる最高の友人がいるというわけだ。

今回はこの友人たちがなぜ最高なのかの理由を考えてみたが、多分本人たちもそこに身を置いている私も、ただ楽しかったらオッケー!の精神なので、一般的には「大人」とやらからは程遠いのだ。

この潜在的デザイン活動のおかげで、私とその友人たちは少なくとも見えるところではイライラすることは全くないし、真面目なディスカッションをしてもそれはそれは有意義になる。つまりすごくすごくおすすめなので、そうなりたい人はまずはたくさん映画とかアニメとか小説とかを摂取したらいいと思うし、あるいはキャラクターの推しができれば一日中その子に思いを馳せてみるといい。


まとめとしては、私は最高の友人がいて本当に恵まれていると思うし、それをこうしてnoteに書くくらい友人は本当に最高ってこと(丸投げ)。



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