【亜鉛の育毛効果とは?】効果的な摂取方法もご紹介!
抜け毛や薄毛の原因の一つに、「栄養不足」や「栄養バランスの乱れ」が挙げられます。中でも現代人が不足しがちな栄養素として有名なのが「亜鉛」です。
髪の健康を保つためには効果的に亜鉛を摂取し、毛髪の主成分であるタンパク質の生成を促すことが大切だと言われています。
そこで本記事では、「亜鉛」とはどのような栄養素か、その効果や効率的な摂り方などをご紹介します。
亜鉛とはどんな栄養素?
亜鉛は、ヒトの身体に欠かせない5大栄養素の一つである「ミネラル」の一種です。ミネラルは人の体の中で作り出すことができないため、食べ物やサプリメントなどで摂取する必要があります。
亜鉛は、筋肉や骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓、髪の毛、消化器官などさまざまな組織に存在しています。タンパク質やDNAの合成にも必要な栄養素で、細胞の成長や修復、新しい細胞をつくるのにも欠かせない役割を担っています。
亜鉛不足による症状
亜鉛は適切に摂取すると皮膚や爪、髪の毛を健康に保ったり、抗酸化作用、免疫力の向上など、さまざまな効果が期待できます。一方、亜鉛が不足すると髪の成長や体調にもマイナスな影響が表れます。
ここでは、体内の亜鉛が不足した際の症状をご紹介します。
1.抜け毛が目立つ
ヒトの体内では、常に細胞分裂によって古い細胞が新しい細胞に生まれ変わっています。髪の毛が伸びたり新しく生えたりするのもこの「細胞分裂」によるものです。
亜鉛は細胞分裂を行うのに欠かせない栄養素のため、亜鉛が不足すると新しい髪の毛が作り出せず、抜け毛が目立つようになります。この状態が続くとヘアサイクルが乱れ、やがて薄毛の症状が表れます。
2.味覚に影響が出る
亜鉛には味覚を正常に保つ効果もあります。舌の上にある「味蕾(みらい)」という細胞は、非常に短いサイクルで生まれ変わり、その際に多くの亜鉛を必要とするのです。亜鉛が不足すると、この味蕾細胞が生まれ変わらなくなり、味覚を感じにくくなることがあります。
3.免疫力が低下する
近年では、亜鉛が不足すると免疫不全になるという研究結果も出ています。亜鉛を積極的に摂取すると、免疫細胞の働きが活発化したり、免疫反応の効率を高めたりします。逆に欠乏してしまうと免疫の働きが低下します。
4.皮膚炎・爪が荒れる
皮膚や爪は、髪の毛同様にタンパク質で構成されています。亜鉛はタンパク質の合成に深く関わっており、不足すると肌のターンオーバーが滞ったり、爪が変形したり、炎症を起こしたりします。
5.生殖機能が低下する
亜鉛は、男性ホルモン「テストステロン」を生み出すために欠かせない栄養素です。亜鉛不足に落ちると、精子数が減少、前立腺の機能障害などの症状が表れることがあります。
亜鉛が発毛に良い理由
亜鉛は髪の健康に欠かせない成分ですが、育毛剤のように摂取しただけで髪が生えてくるわけではありません。
ここでは、亜鉛が髪に良い仕組みをご説明します。
アミノ酸を髪の主成分へ変える
髪の毛のほぼ99%は「ケラチン」というタンパク質でできています。ケラチンは約18種類のアミノ酸からつくられており、そのうち最も多い割合(約17%)を占めるのが「シスチン」というアミノ酸だと言われています。
シスチンは「メチニオン」という必須アミノ酸からも合成されますが、メチニオンは体内で作ることができず、食べ物やサプリメントで摂取する必要があります。
そして、アミノ酸と一緒にぜひ摂りたいのが「亜鉛」です。体の中に取り込まれたシスチンなどのアミノ酸は、血流にのって髪の毛の根元にある「毛母細胞」まで運ばれます。この時、シスチンやメチニオンを髪の主成分である「ケラチン」に変えるために「亜鉛」が使われるのです。
「髪の毛を生やしたい」
「髪を丈夫にして抜けにくくしたい」
という方には、ぜひアミノ酸と一緒に亜鉛を摂ることをおすすめします。
AGAの進行を抑える
AGA(男性型脱毛症)の原因とされるのが、「ジヒドロテストステロン(DHT)」です。DHTは、男性ホルモン「テストステロン」が還元酵素である「5αリダクターゼ」と結びついて発生します。
亜鉛には、この「5αリダクターゼ」を抑制する効果があり、AGAの進行を遅らせることができるとされています。
ヘアサイクルを整える
髪は、脱毛から成長期・退行期・休止期と経て再び脱毛するというサイクルを繰り返しています。髪の健康を保つためには、このヘアサイクルを正常化することが欠かせません。
健康な髪の毛の場合、成長期は平均3~5年ほどと言われています。
しかし、頭皮環境の悪化や血行不良、生活習慣の乱れなどでヘアサイクルが乱れ、成長期が短くなってしまうことがあります。成長期が短くなり、十分に成長しない髪の毛が抜けることで、脱毛の量が増えていきます。
亜鉛には細胞分裂を助ける働きがあり、毛母細胞の活性化が期待できます。毛母細胞の働きが活発になると、髪の毛が強く・太く成長し、抜けにくくなるため、ヘアサイクルが正常化に向かうのです。
亜鉛の1日の推奨摂取量
髪のお悩みを抱える人にとって、亜鉛はぜひ摂取したい栄養素です。では、1日にどれくらいの亜鉛を摂ればよいのでしょうか。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、18~74歳の男性の1日の亜鉛推奨摂取量は11mg、18歳以上の女性で8mgとなっています。
一方、実際の摂取量は平均9.2mgとされており、特に男性は不足しがちであることが分かります。
亜鉛が多く含まれる食材
意識して亜鉛を摂るためには、「どの食べ物に含まれているか」を知ることが大切です。ここでは、亜鉛が多く含まれている食材をご紹介します。
牡蠣
牡蠣は、亜鉛の多い食材の代表格として知られています。
牡蠣は100gあたり約14mgもの亜鉛が含まれており、これだけで1日の摂取量をカバーできるだけの栄養を秘めています
豚レバー
豚レバーには、100gあたり約6.9mgの亜鉛が含まれています。レバー串の場合、1本あたり30g程度のため、2本ほど食べると1日に必要な亜鉛の半分程度は摂取できます。
ナッツ類
近年はダイエットなどで、間食にナッツ類を食べているという人も増えており、スーパーやコンビニなどでも手軽に購入できるようになりました。
実は、カシューナッツには100gあたり約5.4mg、アーモンドには約4.4mgの亜鉛が含まれています。少量から手軽に亜鉛を摂取できるため、小腹が空いた時などにはぜひナッツ類を食べてみるのも良いでしょう。
サプリメント
亜鉛を摂るには牡蠣やナッツ類などがおすすめではありますが、なかなか毎日食べるのは難しいのも確かです。そのため、効果的かつ一定量の亜鉛を摂るために、サプリメントの利用もオススメです。
亜鉛を吸収しにくくする食材
せっかく亜鉛の多い食材を食べても、体に吸収されなければ意味がありません。
ここでは、亜鉛と一緒に摂ると体外に排出されやすくなる、栄養素や食品をご紹介します。
コーヒー
朝の一杯やリラックスタイムなど、コーヒーを日常的に飲む人は多いかもしれません。しかし、コーヒーに含まれるカフェインやポリフェノールは亜鉛と結合しやすく、体への吸収を妨げる効果があります。
亜鉛を100%無駄なく摂りたい場合、前後でコーヒーを飲むのはおすすめできません。
紅茶・緑茶
紅茶や緑茶には、コーヒー同様にカフェインが含まれていると同時に、「タンニン」という栄養素も含まれています。
タンニンそのものは、コレステロール値を下げるなど、生活習慣病の改善に効果がある有用な栄養素です。しかし、亜鉛と一緒に摂取すると亜鉛の吸収率を下げてしまいます。
「亜鉛サプリをお茶で飲む」というのは避け、水や白湯で飲むようにしましょう。
豆類・穀物類など
豆類や未精製の穀物類に含まれる「フィチン酸」は、亜鉛の吸収を阻害する働きがあります。
米ぬか、ごま、小麦、インゲン豆、とうもろこしなどに多く含まれるため、これらの食品と一緒に摂るのは避けた方が良いでしょう。
亜鉛の吸収力がアップする栄養素
亜鉛との食べ合わせが悪い食品がある一方、合わせて食べると亜鉛の吸収を助ける食品もあります。ここでは、おすすめの食材や食べ方などをご紹介します。
ビタミンC
ビタミンCには、亜鉛の働きをサポートする効果があります。ビタミンCはパプリカやキャベツ、ブロッコリーなどの野菜、キウイフルーツやレモンなどの果物に多く含まれています。ビタミンCは加熱すると壊れる性質があるため、できるだけ生で食べたり、茹でずに電子レンジで調理するのがおすすめです。
クエン酸
クエン酸は、亜鉛をコーティングし、吸収効率を高める効果があります。レモンやミカンなどの柑橘系の果物をはじめ、梅干しなどにも豊富に含まれています。
特にレモンはビタミンCもクエン酸も豊富なため、生牡蠣にレモンを絞るのは最も効果のある食べ方と言えるでしょう。
亜鉛サプリの中には、元々クエン酸やビタミンCが一緒に含まれている製品もあるため、ぜひチェックしてみてください。
亜鉛の過剰摂取に注意
日本人の亜鉛の平均摂取量は、推奨量よりも不足しがちなため、普通の食生活ではまず過剰摂取には陥りません。
しかし、摂取上限量は定められており、18~29歳の男性は40mg、30~69歳の男性は45mg、18歳以上の女性で35mgとなっています。サプリメントなどを使ってこれらの上限値を超えてしまうと、銅欠乏症による貧血や吐き気、発熱、頭痛、腹痛、下痢などの症状が表れることがあります。
特に銅欠乏症を発症すると、毛髪異常により抜け毛が増える可能性もあるため、摂りすぎには十分に注意しましょう。
「育毛」したいあなたへおすすめの亜鉛の摂り方
亜鉛は育毛に欠かせない成分ですが、亜鉛だけでなく、髪の栄養となる成分も一緒に摂ることが大切です。
ここでは、育毛に特化した亜鉛の効果的な摂り方をご紹介します。
アミノ酸と一緒に摂る
身髪の主成分である「ケラチン」は、18種類のアミノ酸で構成されています。そのため、こうした栄養素を亜鉛と一緒に摂取することで、髪を強くし、抜け毛を減らす効果が期待できます。
アミノ酸の中でも、ケラチンに含まれる割合の大きいシスチン、メチオニンを摂取すると、より髪の栄養素として行き渡りやすくなるでしょう。
シスチンやメチオニンが豊富な食材
シスチンは硫黄を含むアミノ酸で、独特の匂いがあるのが特徴です。
牛肉
羊肉
卵
牛乳
小麦粉
にんにく
たまねぎ
ブロッコリー
などに多く含まれています。肉類の中でも特にレバーに多く含まれているため、お肉を食べる時には意識して選ぶと良いでしょう。
一方メチオニンも、シスチンと同様に硫黄を含んだアミノ酸です。ヘアケアなどの効果のほか、肝機能のサポートやうつ症状の緩和にも効果がある栄養素と言われています。
鶏肉
牛肉
羊肉
卵
カツオ
マグロ
ほうれん草
ブロッコリー
にんにく
などに多く含まれています。
とはいえ、どれか一つの食材に偏ることなく、バランス良く摂ることが大切です。
亜鉛の摂取と同時に薄毛予防を進めたいなら
髪そのものを形作るアミノ酸や、その生成を助ける亜鉛は、健やかな髪を育てるのに欠かせない栄養素です。しかし、栄養管理だけで薄毛や抜け毛の改善を進めるのは難しいかもしれません。
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