検索してもでてこないリアル・フィリピン飯の魅力 ②大体茶色い
■ アドボ (Adobo)
アドボを語らずしてフィリピン飯は語り始められまい。
アドボとは豚肉や鶏肉、野菜などを醤油とお酢で煮込んだ料理である。
(※写真は鶏のアドボ)
一緒にニンニクと生姜が入っている場合が多い。ベイリーフや胡椒の実で若干の香りづけをしているものもある。
味は上記の調味料の味付けを想像して貰えれば、その通りだろう。酸っぱしょっぱくて、飯がすすむ。
しかしフィリピンのお酢(Suka)は日本のお酢より酸味がキツくなく、また風味も弱い。(フィリピンのお酢についてはいずれ別に書こう)
またお酢も最初から入れて煮込むのではなく、ある程度煮えてから後入れなので、そこまで酢の味は強調されない。
なので想像されるよりは酸っぱくないと思ってもらって良い。
煮込む前に具材を漬け込んでいるためか、あるいはガチガチに煮詰めまくるせいか、具材には味が良く染み込んでいる。
ちなみに肉のアドボなら肉のみであり、一緒に野菜など他の具が入ったものは、見たことが無い。
アドボはフィリピン飯の基本だと思ってもらって良い。
フィリピン人の同僚と食い物の話をしていると、こんなことがある。
同僚「俺の故郷ではネズミ食うよ」
僕「嘘だろ?! どうやって食うの??」
同僚「アドボだよ」
※参考で見せて貰った動画がこちら↓(アドボじゃないけど)
同僚「俺の故郷ではコウモリ食うよ」
僕「嘘だろ?! どうやって食うの??」
同僚「アドボだよ」
※フィリピンオオコウモリ 翼を広げると1.5mくらいある。デカくて怖い。
※ちなみに国に保護されており勝手に捕って食うのは違法。
とりあえずアドボにしとけば良いのである。
■ パクスィウ・ナ・バボイ(Paksiw Na Baboy)
Paksiwとは「酢で煮た料理」を指す。
Baboyとは豚の事だ。
それだけ見れば「豚のお酢煮」になってしまうが、お酢だけでなく醤油も入ってる。
あとニンニクや生姜が入ってることも。
・・・・ん? アドボと何が違うのだろう?
アドボとの違いと言えば、砂糖が入ってることだろう。
甘酸っぱいまではいかないが、砂糖によってマイルドに感じる。
アドボみたいにギチギチに煮詰めないので若干あっさりしてる。
調理法を調べてみたら、砂糖を入れないレシピもあるし、逆にアドボに砂糖を入れるレシピも存在した。
あとアドボと同じくお酢も後入れなので、そこまで「お酢煮」って味でもない。
ほぼアドボである。
■ ポーク・アサード(Pork Asado)
これも豚肉の煮込み。
これは酸味の無いかわりにかなり甘い味付けになってる。
ニンニクや生姜の香りはしないが(ニンニクが入ってる場合もある)、代わりに八角の香りがする。
基本はやはり醤油味だが、オイスターソースも使われており、全体的に中華っぽい味付けになってる。
というのも、これは中華にインスパイアされた料理で、フィリピンでも町の中華料理屋さんの定番メニューらしい。
そもそもAsadoという言葉はフィリピン語で、中国語ではない。
※Asadoはスペイン語のAsar—”焼く・炙る”という意味―から来てるらしい。
つまりは中華風の味付けがされていてもれっきとしたフィリピン料理と言って差し支えないだろう。(日本の天津飯とかエビマヨみたいなところじゃなかろうか)
僕が食べたものは一緒にインゲンと何かの青菜が入ってた。
甘じょっぱい味でご飯がすすむ。
■ レチョン・パクスィウ(Lechon Paksiw)
レチョン(焼き豚)のパクスィウである。
(僕が食べたものは八角の中華風の味がした。レチョンの味付けに寄るのかも)
■ アドボン・シタウ(Adobong Sitaw)
インゲン(Sitaw)のアドボである。
いかがだったろうか。
なんとなくフィリピン飯の世界観が分かっていただけたのではないだろうか?
とにかく醤油でグツグツ煮て茶色くすること。狭い見識と偏見承知で言わせてもらうと、これが基本のように思われる。
茶色いものは飯と合う。醤油は飯と合う。これは日本人にとっても常識である。
フィリピン人もこの茶色いオカズで白飯をガツガツ食う。カップ2山食う。
さっさと食ってさっさと出ていく。
この食事、食べ物としての”あり方”に、何かしら「粋」みたいなものを感じないだろうか?
次の回では茶色くないものを紹介しよう。
先に言っておくと茶色くないものとは、赤茶色か、あるいは白いか黒いものである。基本的にこれでフィリピン飯のカラーバリエーションは全てである。