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検索してもでてこないリアル・フィリピン飯の魅力 ①イントロダクション


あなたは「フィリピン料理」と聞いて何を思い浮かべるだろうか?

ちなみに私は、何一つ思いつかなかった。

自身でフィリピンに行くようになるまでは。

なのでフィリピンに初めて行くことが決まったときは、ネットで〈フィリピン 料理 おすすめ〉などと検索してみた。

すると例えば次のような料理が出てきた。


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シニガン
”日本人の口にも合う! 本当においしい、おすすめフィリピン料理10選”より引用 https://welove.expedia.co.jp/destination/asia/philippines/42880/

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シシグ
”これだけは絶対食べておきたい!オススメフィリピン料理10選”より 
https://schoolwith.me/columns/31654

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ルンピア
”フィリピンに行ったら絶対食べたい! おすすめのフィリピン料理10選”より
https://eikaiwa.dmm.com/blog/50786/

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レチョン
”【厳選フィリピン料理】セブ島で絶対食べたい!定番メニュー&おすすめレストラン8選”よりhttps://www.cebupot.com/columns/restaurant/philippinecuisinerestaurant/

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カレカレ
”ぜひ食べていただきたいフィリピン料理 TOP10”より
https://www.ph-ryugaku.com/philrank/philfood/


いかがだろう?見てるだけで唾液が口の中から溢れ出てきただろうか?


一通り調べた後、僕は微妙な期待を胃に抱いてフィリピンへ向かった。



そして実際に上記で紹介されていたフィリピン料理を食べてみた。

美味しいか不味いかで聞かれたら、まぁまぁ美味しかった。

しかし「人におすすめするほど美味しかったか?」って聞かれたら「うーん・・・」って言うだろう。

もし誰かに「わざわざフィリピンに行ってでも食べるべき?」と聞かれたら「同じ飛行機代払って飯を食いに行くなら、なぜタイやベトナムに行かないのか?」と質問に質問で返すだろう。


加えて、実際にフィリピンまで足を運んで食べてみてあることに気がついた。

これらで紹介されていたフィリピン料理は、いわゆる高級料理ないし特別な食事であり、フィリピン人は普段こんなもの食べていないのである。

またこういった旅行グルメサイトで掲載されている写真は、どれもそれなりにお高級なお店のものであり、上品で綺麗なものばかりだ。

しかもその辺のモールの中にあるような店や、中の上クラスのフィリピン料理屋では、このレベルの一皿はなかなかお目にかかれない。(豚の丸焼きなんか出るわけないわけでそれは僕の写真チョイスの責任ではあるが)


まぁそれは何もおかしなことではない。

他の国のグルメだって、例えば日本だって、名物料理の紹介となれば「寿司」や「すき焼き」など、普段僕らがご馳走として食べるような食べ物が出て来ること自体いたって普通なことである。


それではいわゆる「ローカル・フード」みたいなものはどうだろう。

さっきの料理よりもっと庶民的な、その辺にありそうな身近な食べ物のことだ。

本当に美味しいものは高級レストランにあるようなのではなく、実はごく庶民的なB級グルメだったということは旅をしているとよくあることだ。


フィリピンのローカル・フードも、ネットで日本語で調べると、出てこないことはない。

しかしそれらの多くは屋台で売ってる串焼きやスイーツなど、いわゆる「おやつ」的な立ち位置の食べ物が多い。

つまりもっと一般的な食事、フィリピン人が普段食べてるような飯については情報が非常に少ないことに気づいた。


そこで僕は、実際にマニラのその辺にある食堂でフィリピンの普段飯っぽいものを食べてみた。


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あとモールのフードコートでもよく食べた。

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色々食べ続けた結果、ひとつの結論を得た。

まずフィリピン飯の魅力を理解するためには、日本人一般が持つ「美食」という概念を一度捨てる必要があるということだ。

味のバランス、彩(いろどり)、風味などという気取った嗜好は唾棄せねばならない。

”インスタ映え”などという期待は一切捨てよ。

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こうした邪念を捨て、心をオープンにしたとき、フィリピン飯の楽しみはあなたのもとにやってくる。

僕はここからフィリピン料理ではなく、フィリピン飯(めし)という呼び方に替えたい。

フィリピン飯とはすなわち飯と合うこと、それだけで飯がガツガツ食えることが重要なのであり、正義である。

僕はこの食い物としての”あり方”に敬意と愛着を込めて、これらをフィリピン飯と呼びたい。

もうここまで来たらぶっちゃけて言うが、最初に旅行サイトで紹介されていたような”フィリピン料理”なんてものは、大して美味くない。


「激うま!」「絶品!」「死ぬまでに一度は食べてみるべき!」なんて言葉で紹介されてされてたとしたら、「本気で言ってるのか?」「本当に美味いと思って人にすすめてるのか???」と小一時間問い詰めたい。

もしこういった評価を鵜呑みにして、長期休暇の旅行先としてタイでもベトナムでもマレーシアでもなくフィリピンを選び、涎をダラダラ垂らしながらマニラに来てしまった人がいたら、あんたは責任を取れるのか??

フィリピンに食を求めて来るなら、他の外国で望みうる美食体験とは別次元の快楽を求めよ。それは微妙で、地味で、何とも言い難いものに美味しさや魅力を”主体的に”見出す楽しみである。

ということでこれから順次、フィリピン飯とその味の感想をつらつらと書いて行きたい。


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