今年は”当たり年”になってしまうのか?-鳥インフルエンザ
最近仕事先でよく話題になるのが「今年は鳥インフルの”当たり年”なんですかね…」というもの。
鳥インフルエンザは文字通りいわゆる鳥類全般(家禽類や野鳥)が感染するインフルエンザで、感染および感染した疑いのある家禽類(ほとんどの場合が鶏を指します)は家畜伝染予防法(法定伝染病)により殺処分とすることが定められています。全羽殺処分に関してはいろいろ議論があり、海外では鳥インフルエンザ対策としてワクチン接種を選択している国や地域もあるのですが、日本においては全羽殺処分とするという方針が定められています。
鳥インフルエンザの発生/流行にはシーズン(秋から年を跨いで春先までが1シーズン)ごとの波があります。下の表は直近5年の鳥インフルエンザの発生状況をまとめたものです。
冒頭の”当たり年”とは、今シーズンは発生件数のペースが速く、多くの殺処分を余儀なくされてしまうのではないかということを危惧したものになります。
昨日(11/20)も鹿児島で発生が確認されましたが、今年はすでにこれで10例目の発生。昨シーズンはシーズン全体で11件の発生だったことを考えると、今シーズンはかなり速いペースと言えます(殺処分数に至ってはすでに昨シーズン越え)。
このまま流行が進むとなると2022年、2020年の悪夢が頭をよぎります。
この2年はシーズン中毎日のように鳥インフルエンザ発生のニュースが入ってきました。しかも日によっては1例ではなく、複数の事例が同日に発生、おまけに鳥インフルエンザの原因となるウイルスを運ぶ渡り鳥は当たり前の話ですが空を飛ぶことができるので発生が地続きではなく県を跨いだゲリラ的な発生。最初は報道を目にするたびパニック状態でしたが、あまりの数にやがて感覚が麻痺していったことを覚えています。
2022年と2020年は結果的に殺処分数が1,171万羽、987万羽と未曽有の大災害発生の年となりました(日本の人口のおよそ10分の1と考えるとすごい数字だと思います)。
発生に波がある鳥インフルエンザですが、以前(2019年より前)はもっと間隔が広かったんです。下の図にあるように2003年に79年ぶりの発生(この時は新聞の1面になりました)が確認されて以来、散発的な発生が確認されていますが、おおよそ3~4年くらいの間隔で大きめの波がくるかなというのが業界関係者の共通認識だったと思います。
その共通認識が突如崩れたのが2020年からということになります。
原因については渡り鳥の営巣地が変化、地球温暖化による移動パターンの変化など諸説ありますが、はっきりしたことはわかっていません。感染経路も多岐にわたり完璧な対策も難しく、養鶏業者の「いつ感染してもおかしくない」という緊張下で過ごす毎日は計り知れない辛さがあると思います。
被害が最小限で済むことを心から願うばかりです。