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彼方の人魚姫 感想

こんにちは。初めまして。
こういったブログ?みたいな場所に文字を残すのは初めてで使い方もままならないのですが、とにかく頑張って書いてみようかなと思います。

あくまでも全て"個人の感想・解釈"なので、そこだけご理解ください。
※バチバチネタバレあるので、そこもご承知おきください。



始めに

「彼方の人魚姫」、通称「かなひめ」は、2023年10月27日に発売したばかりのエロゲで、私はその存在がX(旧:Twitter)にて明かされたその日から発売日をずっと待ち望んでいました。

何を隠そう、6月末日にかなひめが明かされる数日前、私は丁ー度、「彼方の人魚姫」の前作である「ユキイロサイン」を全ルート終えたばかりだったのです。
ユキイロを終えたばかりで未だにどこかで売っているかもしれないと信じて探し続け見つからなかったスヴェの店舗予約特典CDへの悲しみを抱えていた私にとって、その次回作となる「かなひめ」はまさに、文字通りの"希望"でした。

情報解禁後、店舗ごとの特典を確認した私は、ソフマップに足を運び、しっかりと確実に予約を果たしました。当時は、藍魚、日輪、葵のビジュアル要素のみでイチオシを決めようとしても、3人ともに魅力があったため決まらず。そのため特典は無難に、3人の中でも更に中心人物であろう藍魚の物になりました。

そして先日、10月27日。大切にしまってあった予約札は、晴れて「彼方の人魚姫」のパケ版に成って私のもとへ……。
私は初回版を予約したので、藍魚のエッッッなタペストリーとヒロイン3人のキャワキャワなデフォルメ調のアクキーも付いてきたのですが、正直ドラマCDのことしか考えてなかったため、初回版の値段でこれだけ豊富な特典がもらえるのはありがたいなぁというのが感想でした。
加えて、私は未だエロゲ予約処女だったので、これだけの特典をくれたかなひめにエロゲ予約童貞を捧げて良かったなとも思ったり。はい。

共通√感想

共通√というものは、ほとんどのゲームにおいて、全体のシナリオの半分以上の割合で構成されているパート。(だと思います。)
共通√を通して、キャラの性格や関係性、世界観などを理解して、その作品の世界に没入出来るというところがギャルゲの魅力の一つであると思っています。
今作の共通√のラストシーンから個別√への繋ぎ方はとても良かったと思います。

それでは、共通√のあらすじです。

穢れを受けた藍魚は、かつての友人である綾音が過ごした龍宮村に降り立ち、人魚でなく人間として、龍宮村の人々と触れ合う。伊月や日輪、葵たちはどこか綾音の面影を感じる藍魚と触れ合ううちに、心に空いた空白が埋まっていくような気がしていた。そして来る夏祭り、藍魚は友人たちにしっかりと向き合うために、長年抱え続けた秘密を明かす。

だいぶ内容に対しての言葉が足りていないのは自覚してますが、ざっくりこんな感じかと思います。

さて、それでは、共通√の特に印象的だったことの、良し悪し?それぞれの素直な感想です。

良かったところ

・序盤からとにかくグラフィックとBGM、世界観表現が綺麗

・状況や関係性の説明に違和感がない

・実在性、リアリティのあるつくり

・声優さん方の演技力

物足りないなぁみたいなところ

・主人公である伊月の存在感が薄く感じられる

・綾音のビジュアル欲しかったな

・誤字脱字が少々目立つ


それぞれを挙げるとすれば以上でしょうか。
では、一つずつ説明していきます。

・序盤から〜綺麗
こちらに関してはもはや語る必要などないでしょう。そもそも、こういった類のゲームにおいては、グラフィックで9割が決まるのではないかと個人的には思っています。
私は元々、「アオナツライン」でうみこ先生の絵の表現に惚れて今現在に至るので、こうして何度もうみこ先生の世界を見せていただけること自体が私にとっては十分すぎますが、年々洗練されているうみこ先生の美麗なイラストの数々がギャルゲーマーたちの心を動かしているのは間違いないと思うので、ここに関しての心配とかは全くありません。

そして今作では、音楽も大変"らしさ"がありました。
田舎の村の小さいながらも壮大な物語を感じさせる、全体的に穏やかで厳かな雰囲気の曲が多かった気がします。
主題歌は3曲あり、それぞれとても良い曲だと思います。キャライメージソングがないのは残念かなとも思いますが、夏らしい華やかさと青春の匂いを感じられる曲で、作品の雰囲気にマッチしているのはもちろん、ギャルゲといえばみたいな涙腺を刺激してくる、そんな名曲だと思います。
そして、もちろんシナリオに関しても、ただの文字にあらず、キャラの性格を表す言葉遣いや比喩表現が丁寧で良かったなと思います。

・状況や〜違和感がない
こちらは、ゲームのシナリオに限らず、最近の二次元コンテンツにおいて、いわゆる"説明口調"なわざとらしさ全開の茶番は無くなってきてるとは思います。
今作では、村どころか陸に上がったばかりの藍魚と共に龍宮村や伊月たちを取り巻く環境についてあまり違和感もなく知っていけるので良かったかなと挙げました。

・実在性〜作り
実は私、こういった実際の地域をモデルにした作品が本当に大好きでして。
二次元と三次元での隔たりはどうこうしようもないものですが、こういった実在性を持つお話を見るだけで、実際に同じ世界に存在しているような、心で非日常を感じられる感覚が堪らないのです。
そして、その点に関しては本当に嬉しい作りになってて満足度高いです。

・声優さん方の演技力
これまで特に注視していたわけではなかったのですが、今作で特に良いなと思ったところは『泣き』の演技でした。文字だけだと、どうしても淡白に感じがちなのが特に『泣き』のシーンだと思います。しかし、啜り泣き、しゃくりあげるような場面もそれぞれがキャラの心情に寄り添っているのが分かって、とても心を揺さぶられることが多かった気がします。

さて、ここまでは良かったなと思うポイントでした。
ここからは、なんだかなぁな物足りないポイントを説明します。

・主人公〜薄く感じられる
これに関しては、前作の「ユキイロサイン」にも共通する感想になります。
主人公の伊月は、幼い頃からみんなの中心であった綾音やヒロインである葵や日輪またその他からも想われるような人柄で、実際に躊躇なく人助けをしたりする善人なので人から慕われること自体に違和感はないです。
しかし、「彼方の人魚姫」はあくまで『恋愛シュミレーションゲーム』。このゲームのシナリオには、そういう面でのヒロインとのイベントが少なく、正直見ていて物足りないのです。
関係値をみて、個別√の様子を見れば確かに、伊月とヒロイン互いの気持ちなど共通√の時点でもうあと一押しで恋に発展するようなものかもしれません。
しかしながら、「もうあと一押しだから〜」と軽ーく恋愛描写を入れて、それでくっついたところで、なんだか茶番っぽく感じられないでしょうか?
このお話に関しては個別√でもまたお話します。

このお話で表現したいことの大部分を『友情』が占めているのであれば、それはそれで理解は出来るし納得も出来るシナリオであったと思います。
しかし、やはりもう少しだけ共通√にも『恋愛』という色を混ぜて欲しかったなぁというのが、物足りない要素の8割かなと思います。
(会社が違うというのもあって細かい事情は分かり得ませんが、アオナツラインと同じようなつくりが理想ではありましたね……)

・綾音のビジュアル
綾音のビジュアル欲しかったなぁぁというだけの欲望です。
割りかし重要なキャラなら表情差分とかはないにしても、立ち絵一つぐらいならあっても良かったんじゃ?と思ったり……

・誤字脱字
これに関しては、どの段階でのミスなのかはプレイしてる側には分かりかねることではありますが。
デバッグなのかシナリオなのか……そもそも声優さん方の読み間違えという可能性もありますね。
ある程度は許容範囲ですが、私が過去プレイした作品の中で一、ニを争うほどに多かった気がするので、一応報告だけ……(このnoteを制作側が見てればの話ですがね……)


さて………
ここまで書き終えて気付いたことがあります。

これ、ほとんど全体の感想で共通√関係なくね?

なので、ここから個別√の話に入る前に、共通√のストーリーに関する感想です。
といっても、流石に全部は長いので特に印象的なものを挙げていこうかなと思います。

・伊月、日輪、葵の空気感
日輪との会話から始まり、子供を助けるシーンの緊張感からの葵の激昂、そして、三人仲良くアイスを食べるというね。
ザ・田舎の幼馴染との日常の中に混ざる非日常もありつつ結局いつも通りな三人の雰囲気がめっちゃ好きで。藍魚が来る前の普段の三人で遊んだりする様子を見たい。

・藍魚、内海家での初夕餉
日輪と友達になり、親睦を深めるためにまずは藍魚の好きな食事を用意してもらうことに。
目を輝かせながらいい笑顔で食事をする藍魚が本当に可愛おしい(かわいとおしい)。

・藍魚の好奇心旺盛さ
藍魚の好奇心旺盛で素直な性格から色んな顔を見せてくれるのが可愛い。なんでも信じちゃうところも意外と男子小学生みたいなノリも好き。やっぱ藍魚っ可愛いよなぁ!?

・龍宮村の観光スポット
「御前と行く○○ツアー」とか無秩序に開催されるイベントが、さっきも書いたけど、リアリティがあってとても良い。

・御前とさー姉
ギャルゲ百の罪(※ソース私)の一つに、「ビジュアル最良女子がヒロインでない」という項目がありますが、この二人はこれに当てはまるので(そして藍魚√で日輪が「この二人も憎からず〜」って言ってたし)、無念かな………………。
めっちゃ鉄板ですが……御前、って呼ばれてるからこそ、たまに「知夏」とか伊月に呼ばれて真っ赤、とかいうのがあれば最高でしたね!かなひめ2があれば是非に!

・藍魚のヘドバン!?
藍魚のヘドバン!?カラオケに行ったときの様子で文でしか状況がかかれていなかったので想像しか出来ないけど、イイ!ね!
やっぱそういうノリの良さ的なものが元々あって、加えて龍宮村元来のノリの良い雰囲気にも触発されてきているのかもね。

・伊月と日輪の以心伝心感
海の家の二人の様子が凄すぎて……。お互いそれを普通だと思ってるところがもっと凄いけども。いいね、こういう関係性の男女は素敵だよな。

・花火のシーン
ここで主題歌を流すってのが中々エモくて良いですね〜〜〜!!
主題歌の爽やかさとか共通√の終盤だなとか花火特有の哀愁感があって、夏らしさが爆発しててめっちゃ良いシーンだと思ふ。

・涙の告白
藍魚がこれまで抱えてきた秘密を三人の前で告白する。
伊月も言ってたことだけど、幼い藍魚が、初めての友達を自分が原因で起こった事故のせいで亡くしてしまった、なんてことを10年も一人で背負い続けてきたって聞いただけで辛くて仕方ないよ。藍魚の中にある責任や痛みが自分を赦すことを認めないし、赦してくれる人も周りに居なくて……
本当に想像も出来ない苦痛だっただろうと思う。
伊月も日輪も葵も、そんな藍魚を抱きしめてくれて、心がボロボロになってしまった藍魚を優しく、改めて受け入れてくれて。
藍魚がこの村に来て、伊月たちと出逢えたことに本当によかったねって気持ちだよ。
ボロ泣きでした。。。。。


はい。ということで、以上、共通√の感想でした。
共通√終盤の展開を観て、本当にかなひめを買って良かったなって思いました。
でもね、ここからが問題。

さて、誰の√からやるか問題、ね……

正直、めっっっっっっちゃ悩みました。
結局、
日輪→葵→藍魚
という順番になりました。

これはおそらく、私以外の人も感じたことではあると思いますが、初見でこのラストシーンを観て、藍魚√行きたいなと。
私としては、当初は、日輪か葵を先に行ってから最後藍魚にする予定でした。
結局、当初の予定通りになりましたが、後にこの選択が正しく、しかし惜しいところでもあることに気づきました。藍魚√で触れます。

では、これから、各√ごとの感想を述べていきます。
途中ですが、こんな拙くて身勝手な文章を読んでくださってありがとうございます。 
良ければ、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

日輪√感想

日輪√のあらすじ。
「自分に幸運をもたらしてくれた藍魚を幸せにしたい」という思いのもと、藍魚が幸せになる道筋を考える日輪。そんな中、藍魚の中に微かに伊月への恋心が芽生えたことを感じ取った日輪は、藍魚と伊月、そして自分自身のために藍魚と伊月を恋人にする計画を進める。自分の伊月への気持ちに嘘をついたその結果、衝突もあったものの、伊月への愛は消えることなく、そして伊月自身も日輪への感情を認識したことで、想いを確かめ合い、二人は晴れて結ばれる。
しかし、「伊月への感情は当然のもの」だと生きてきた日輪は、その感情は"幼馴染"という関係性に起因するのではないかと思い悩み始める……。

こんな感じのあらすじ。
ここから感想です。

・藍魚、葵への告白
執拗に藍魚と伊月をくっつけようとした末に、日輪は藍魚と衝突し、藍魚は日輪の伊月への想いに気づいていたからこそ、日輪の行動の理由がわからなかった。そして、日輪は真っ直ぐな藍魚に応えるように自分の中の情愛を打ち明ける。
このシーン、めっちゃ良くて。何が良いかっていうと、"セリフ"ですね。私も、思わず感嘆してセリフをお気に入り登録したぐらいなんですけれど。そのセリフが、
「波島伊月を愛するということは、内海日輪という人間の一部なのです」
「感情とか理屈ではなく、そうあるべき事実であり、自然なことになっているのです」
です。
この辺りのセリフは、かなひめ随一と言っても過言ではないぐらい本当に好きです。私のギャルゲ人生で聞いたセリフの中でも本当に凄く好きです。
藍魚も葵もこれを聞いて、流石に身を引くなって言うのはあまりにも納得出来てしまう。それだけ日輪の目には、態度には、言葉には説得力がある。生まれてからの年月と比例するように積み重なった愛という重みが。そして、その重さ故に、簡単に諦め切れるものでも、打ち明けられるものでもないだろう。
内海日輪という人間が、波島伊月という人間を愛しているんだな、ということ自体は、冒頭から何となく察せられることではあったけれども、まさかここまでとは……と驚きでしたね。

・海辺での告白
抑えきれない愛を、ついに海に流すことも叶わず、その場に来た伊月に告白する。
伊月は自分にとっての日輪という存在を見直し、告白を受けたことで理解する。伊月自身もまた、日輪に似て、日輪が隣にいることが当然だと、お互いがお互いを好きであることが当然だと思っていたんだと。
ここまで表面は冷静ながらも裏側は情熱的な愛情ってあるんだなぁと。凄いって尊敬します。
好きを確認しあってから最初の会話で老後の、死ぬ間際のことなんて考えるのこの二人にしかできねぇなぁ……
日輪が感極まって「うん!」になるのいいのだけども、どうせならその感極まりタイムは全部甘え口調になるぐらいでも嬉しかったかなと思ったり。

・関係性の変化の実感
関係は変わり、デートに繰り出すも、特別感もなく"いつも通り"の二人。しかし、ただの幼馴染だったあの頃と、確実に違うこともあって……
手を繋ぐ。キスをする。しっかり、ゆっくりと、"幼馴染"から"恋人"へと変わってゆく二人は見ていてとても良いなって思う。

・Hシーン
生々しい感想を述べるつもりはありませんが、Hシーンについて、私は感謝したいと思っていました。前作「ユキイロサイン」にて、私は初めてHシーンの良さというものに気づきました。それまで私は、「ギャルゲーはあくまでもシナリオゲーだから」という思想のもと、コンシューマー版や全年齢版のプレイが常で、エロは無くてもいい(笑)とか思ってました。
でも、ユキイロのスヴェ√のHシーンを見てから考えを改めました。何故なら、「Hな姿もその子の魅力に他ならないから」という極々普通な感想が出たのです。
抜きゲーほどにドぎついエロでなく、しかし普段とは掛け離れた素の彼女に思わずときめく……
Hシーンとはエロゲにおいて結構大切なものなのだと、気付かされました。
もしかしたら、ユキイロをプレイしていなければ、そうは気づかなかった可能性もあるので、どんぶく先生とうみこ先生には感謝しています。ありがとうございます。

・綾音に報告するシーン
まず、そこまでの道中で話していた「初めてのあとは、相手が自分の中にいるような違和感」のことは、またカッコいいこと言ったな……と思いましたね。日輪は可愛いもカッコいいもたまに見せてくれるので色んなギャップがあって面白い子ですよね。
そして、綾音に報告のシーンです。
良い場面なのですが、ここでのイベント絵に違和感があって、絵自体には何も違和感なく美しいと思うのですが、表情差分の差し替えのタイミング?がおかしい気がします。
表示されてすぐの日輪は泣きの表情から始まってて、途中の「気付けば両目から流れる涙が止まらなくなっていた。」からスッ……と涙が止まってる絵に変わっていて、逆じゃね?になりました。
大事な場面だからこそこういう細かいところが気になるので、こういう違和感は極力無くしていけるのが理想的ですよね。

・日輪の将来への心配
伊月と日輪が恋人関係になれたのは、幼いころから積み重ねてきた二人の時間と関係性があったからこそ、つまりは幼馴染だったからこそ成り立ったもの。日輪としては、そんな当たり前の事実を認めて受け入れることができなかった。『伊月と日輪』だったからこその"運命"を信じていたかったと。
この話は、1時間ぐらい見直したりして噛み砕いて、ようやく理解出来ました。いや、悩みというか心配事自体はいたってシンプル……でもないけど、簡単なこと……でもないなこれ。これも"乙女心"というものなのかなぁと思います。いややっぱわかんないな……
要は、その後藍魚たちも言っていた「自信がない」ってことなんですよね。
これまで時間の流れに身を任せてここまで過ごしてきたけれど、日輪自身の力がなくても今の居場所は存在していて、そんな甘えで生きてきた自分には伊月の隣に居る資格なんてあるのだろうか……みたいな。
日輪自身も言っていたけれど、これは相当に「重すぎる女」です。ヤンデレとはまた違ったベクトルの重さを感じます。ネガティブな方向に考える、という意味で重いんですよね。
強く、毅然としているのが内海日輪だと思っていましたが、彼女の背後にはこんなにドロドロに黒くて暗い感情があるなんて、驚きました。……けど、驚き通り越して呆れましたよこれは……。
でも、そこもまた「内海日輪」の魅力であり、等身大の彼女の想いそのものなんだなという感想です。
よく「愛は重ければ重いほどいい」と聞きますが、彼女を見ればすごく説得力のある言葉だなと重います。
ここまで伊月という人間を愛することが出来る日輪は本当に凄いなって思います。またそれと同時に、そんな日輪を受け止められる度量をもつ伊月もまた凄いんだなって。

はい、ということで、日輪√の感想は以上になります。
上手く伝えられた自信はありませんが、重たい女は最高だという事実さえ伝わってくれたらいいなって思います。

全体の総評としては、
付き合う前後で変わらない距離感や会話がある中で、段々"そういう"意識をお互いにして、幼馴染から恋人に変わっていく過程はすごく良いなと思いました。
ただ、伊月と日輪の恋愛パートが少ないように感じました。
伊月と日輪の関係性もお互いへの意識や認識の仕方も理解はしました。ですが、せめて、幼少期の思い出とか二人きりでのイベントが付き合う前にあればなと。話の流れ的に難しかったかもしれませんが、それでも藍魚たちへの告白と伊月への告白の間ぐらいにも出来たんじゃないかなと。
あとは、趣味が悪いかもしれませんが、他ヒロインの"失恋後"の様子も見てみたかったなと思います。これも結局、全√共通になってしまいますし、各√によっても伊月への想いの丈は異なるでしょうからそういった場面が少ないのも理解は出来るのです。
でも、そこももう少し主人公を意識した構図にしてほしかった、というのが「彼方の人魚姫」に求めることの一つかなと思いました。

葵√感想

葵√のあらすじ。
藍魚からの秘密の告白を受けた葵は、自信が抱えたままの秘密を思う。葵たちに真正面から向き合った藍魚に対して、葵は後ろめたさを感じ、秘密を打ち明けられずに悩んでいた。そんな葵を心配した藍魚たちは、葵を気分転換に誘う。気分転換を楽しんだ葵だったが、伊月への想いや藍魚たちからの次回作の絵本への期待、そして綾音との回想から、葵のその悩みは更に大きく深くなってしまった。伊月たちは、葵の悩み苦しむ姿を心配していたが、そこで藍魚が葵に一歩踏み込んだことで、葵は先へ進むための一歩を踏み出せそうな気がしていた。そして、伊月からのアドバイスによって、葵は本当に伝えたいことを絵本で告白しようと決意。綾音を殺したという罪を、そして、もう一つの秘密を三人に告白する。告白の結果、長年の誤解は解け、そして、葵と伊月は恋人へとなった。しかし、恋人として伊月と過ごすうちに心を埋めていく幸福感が、葵の物語の創造力を掻き乱していく……。


という感じですかねながいながい。
申し訳ない、何分ものごとをかいつまんで説明するのが苦手でしてね。
気を取り直して。

では、葵√の感想です。

・藍魚と葵
葵√というか、また全編を通してみたいな感想になりますが、藍魚と葵の距離感についてです。
葵にとって藍魚は、綾音を失ってから10年目に現れた綾音に似ていて"なりたい"を強く感じる友達。葵と仲良くしたいと目を見て言ってくれる掛け替えない友達。
葵の中での綾音の存在の大きさがどれだけか理解しているからこそ、その空白を埋めてくれるような藍魚がどれだけ大切かは理解してるつもりです。
けど、何というか……百合を感じてしまうというか。
弁明すると、別に私は仲良し女子を何でもかんでも百合にしたがる百合厨ではありません。でもなんというか、作中での意識が明らかに主人公に対してのものより強いというか……、
これに関しても、前作のユキイロの美玖とスヴェの関係に重なるところがありますが、
例えば、知らないゲームでこの二人のような関係性のヒロインを前にして「百合ゲー」だと紹介されても私は信じてしまうと思います。それほどまでに、

主人公→←ヒロイン

ヒロイン→→←←ヒロイン

こうなのです。
これに関しては(も)、あくまで私の個人的見解にすぎないので、他の人の認識はわかりませんが。
あと別に、百合が悪いって話ではなく、百合割合のが主カプ割合より多いってのがなんだかなぁってことです。

・藍魚と葵のシンパシー
一個前で、藍魚と葵の距離感について不満っぽいことを述べたばかりですが、これが完全に不満だけというわけはなく、むしろこの二人はメインキャラなわけで、この二人のイベントは周囲を含めて、前に進むためには必要不可欠な存在だと思います。
藍魚、日輪、葵、そして伊月。このメイン四人は(ゲームの構造上当たり前ですが)、誰が欠けてても話も気持ちも前には進めません。藍魚と葵は特にそうだと思います。
藍魚と葵は、特に綾音に執心ぎみなところや自己肯定感が低かったり、"秘密"を抱え込んでしまうところなど、環境的に似通っている部分が多い二人です。そんな、自身と同じ心境で苦しんでいることがわかる二人だからこそ、お互いの心をほぐしていけたんだと思います。
告白を終えてもまだ後悔は続く藍魚をあたためたのは葵で、罪という秘密を未だに背負い続けている葵に一歩踏み込んだのは藍魚で。
この秘密から二人共が解放されたのは二人それぞれが居たからに他なりません。もちろん、伊月と日輪も居てこそですが。
ただ秘密から解放されるだけではなく、こうした経緯があるからこそ、解放された後は晴れて"本当の友達"になれる。これこそ、正しく藍魚が願ったことですよね。
いい関係だ。
マジで一個前書いたやつ全否定で草やね。

・「伊月君の言う通りだと思う」
このセリフめっちゃ好き……。
作中で何回か出てくるセリフなんですがそれもいつも同じ表情で葵が。
悩みとかを伊月に話したりした後、気をつかうでもなく、本心からの同意の言葉だってのがわかるから良いんですよね……。
幼い頃から、『年上の近所の頼れるお兄ちゃん』に憧れている葵からくるセリフだからこそキュンとするんですよね。
『信頼』が大きく伝わってくる大好きなセリフです。

・葵の心を理解している伊月
気分転換で街に来た伊月と葵()がクレープを食べようとしてるところでCHARA-OHに絡まれるシーンにて、葵が暴力が苦手だとわかっている伊月だからこその対応力とその後に葵にかけた言葉に、葵も惚れ直したという件。
長年一緒に過ごして来たからこその相手への理解、他の幼馴染である日輪や御前にも当てはまることではあるけど、伊月に憧れている葵だからこそ"そういうこと"がいちいち嬉しいわけですよね。
自己肯定感が低い葵だからこそ、こういう時の反応も可愛いんだよなぁ!!

あと、葵√も日輪√同様に、付き合う前のデートイベントなどが少ないので、単純にデートイベントがあってよかったなという気持ち……。


・イベントCG
葵√のイベントCGにヒロインが全員、しかも藍魚先頭の絵があるなんて中々新鮮でしたね。
個別√のCGに他のヒロインがいるということ自体、私にとっては新しいなとは思いますけれども。
改めて見ても、やはりこの「彼方の人魚姫」というギャルゲはこれまで私がプレイしてきた作品とは方向性が結構異なっているんだなぁと思えました。これもまた"味"ですね。
前述の感想に連なることでもありますが、藍魚と葵にとっての特別な夏休みなんだなぁと感じられる、微笑ましくて尊い一場面でなんだかほっこりしますよね。

・葵への共感
私は、かなひめのヒロインの中では葵が一番好きです。
容姿とか声とかの外側の魅力を感じるのももちろんですが、なんだかすごく共感出来る子だなぁって思いまして。
葵の境遇や心情・性格を考えれば、私なんてとても比べるのも烏滸がましい人間ですし、この場で、葵と共感出来る部分として彼女の内面的なことを羅列するのも彼女を下げるようで嫌なので、記しはしません。
でも、勝手に、一方的に、共感して、そして共感出来るからこそ、葵には藍魚や伊月や日輪たちが居て良かったね……と思います。
もはや、兄弟とか親の目線ですね。笑

・伊月と夜の学園
夜に二人でツーリング!!とてもイイです!!これこれ、こういうイベントが定番ですけど結局一番イイですからね〜〜!特に、葵と伊月の関係性だからこそ萌えるものがありますよね……。。
そこから、夜の学園の屋上で話す二人。
ここでやっっっと伊月の顔面を拝むことが出来た……!けど、なぜ半分……。ユキイロの宗冬ですらもうちょいビジュアル出てきたのにどうして……。
まあ、それは残念でしたが、気を取り直して。
藍魚が葵の心を解きほぐして、日輪、そして伊月が背中を押して支える。今回は伊月が直接言葉をかけはしましたが、日輪の言葉も葵には届いていて、きっと支えになっているんでしょうね。
ロマンチスト伊月君が、恋愛になぞらえて告白のプランを一緒に計画するなんてね。葵の中にはとっくに答えも方法も存在していて、それに気づかせてくれたのはやっぱり伊月で。こんなシチュエーションで好きにならないわけないよなぁ……。
『特別な一年の、一夏の思い出』としては、最高にドラマチックですね。

・秘密の告白
伊月の言葉で気づかされた葵は、絵本で秘密を告白することに。
告白を"見た"伊月は、それが事実ではないと知っていた。全てが誤解だと知らない葵がこれまで抱えて、苦しんできたことを思った伊月は葵のもとへ急ぐ。
そうして、葵は伊月から真実を伝えられ、伊月は葵からもう一つの秘密を改めて告げられる……。

葵の抱えていた悩みがまさかの勘違いだという事実に、なんとも葵が可哀想だなと思いましたけれども、葵はそれが勘違いだと教えられて最初に発した言葉はまたも、自身を責めるような言葉で。
本当に葵の優しさが温かいもので、でもその優しさを自分へ向けられないことが寂しくも悲しくもあります。
確かに終わってみれば、なんだ勘違いだったのか〜、と軽く済む話なのかもしれない。そんな軽い話でここまで悩んで、一人で空回っていた葵はバカだって言われるかもしれない。
でも、そんな他人にとっては"そんなこと"でも、葵はしっかり向き合って、責任を感じて、時間はかかって人に心配もかけたけどしっかりと告白をした。
葵ほど、優しさを、尊い心を持っている人も中々いないと思います。
葵は自分のことを「卑怯で嫌な子」だと言いますが、ここまで心根から人への思いやりに満ちている子に、そんなことを思う人なんていませんよね。
なんだか本当に親みたいですね。笑

さてさてそして、伊月への長年の気持ちも告白した葵、それに伊月も応えて晴れて恋人になりましたね。いやーめでたい。。
今更ですが、ここのCGが本当にいいですよねぇ………。葵の泣き顔を、涙を止めようと不器用に指で目元を撫で、優しく頬に手を添えて、その上から葵も手を重ねて。そして、段々と葵の笑顔が戻ってきて……。このね…手の大きさの差が、さぁ……なんか、"イイ"ですよね………。
夜の浅瀬で月明かりの下で、二人の男女が告白して恋人になるなんて、本当にロマンチックですねぇ。。
葵としては、この恋は叶わないだろうって諦めていて、綾音に日輪に、藍魚も居て、自分よりも伊月に相応しい人が沢山いる中で自分なんて……って。
でも、そんなことは関係なくて、伊月は葵の本質を見て好きになってくれた。人と比べるんじゃなくて、『葵』がいいんだと。
私が葵を好きだからこそ、苦しみを超えて、こうして幸せになってくれて本当に嬉しいんですよね。

そして、幸せなキスをして場面は終わる。
葵……日輪√で男女の営みみたいな単語にめっちゃ興奮してたのに、自分は日輪より先段階でキスしてて草なんよね。笑


・えち
私、葵のことを知っていくうちから、葵のえちシーンをめっちゃ楽しみにしてて。エロが欲しい!っていうわけではなく、ただただ、葵の性格上絶対えちシーンは面白いことになるだろうなぁ!とめっちゃ楽しみにしていたので。
そしてやっぱり想像していた通りでした。
恥じらいから来る挙動不審な言動、そしてちっぱい(これが脱いでみると意外とちっぱくないぱい?)を気にする様子など、これぞ!って感じの反応が見れて大満足でした。ありがとうございます。
あと、これめっちゃ重要。
葵、一回目のえちでは可愛い系の下着だったのが、二回目以降はちょっとオトナっぽいものに変わってて、「ああ、伊月に色気を感じて欲しくて用意したのかな」とか妄想できたりしてめっっっちゃ"良"かったです。本当にありがとうございます……。

・付き合いたての葵
可愛すぎるやんいちいち可愛いやんなんでそんなに可愛いの葵幸せになれよ葵(てぇてぇを感じる魂の叫び)

・さー姉の予想
葵√では、藍魚と日輪と御前はさー姉の『伊月とくっつく人』の予想に挙げられたためにダメだったんだと納得してますね。
確かに、周囲の評価的には、藍魚は伊月とすごく相性良くて、日輪も伊月との関係性はもはや熟年夫婦並だという感じでしたからね。各√での、それぞれのフラれた納得の仕方が違うということも、また納得できますね。

・葵の成長
後半の展開は、綾音と夢で会うことがなくなり、伊月と恋人になったことで幸せで満たされた葵は、絵本のアイデアが浮かばなくなってしまった。絵本は、綾音のため、そして自分のなりたい姿を描いたものだったから、綾音がいなくなって、幸せになった"せい"で描けなくなってしまったのだと嘆く葵。伊月の助言で、葵は一度絵本から離れることに。そこから、幸せを噛み締め自分を肯定することも増え、十年前は助けられなかった"大切な人"を救ったことで永遠に続いたはずの後悔から立ち直り、鈴魚との出会いが本当に葵が変わるきっかけになった。葵にとっての絵本は、自分がなりたい姿を描いたものではなく、憧れた綾音のように誰かと誰かを繋いでいきたい、言葉で伝えられない代わりの手段。本当はずっと心にあったそんな気持ちを思い出した葵は、最初の一歩として『自分から友達になりたい』という思いをもって、鈴魚と自分を繋げるために絵本を作った。葵は、これから先、自分のように困っている子がいるなら、その子の背中を押して、その子の世界を広げられるような絵本を作りたい、と、そう願いながら、絵本を描き続ける……。

ここにきて、一気に展開をまとめてしまいましたが、後半の話は全てが繋がっているような気がしたので、ひとまとめに記そうと思いました。

言葉をまとめようと思いましたが、上手くまとまらなくて伝わらないかもしれないので、先に最終的な感想を申し上げると、『葵の成長がとにかく嬉しくて、喜ばしい』ということです。

綾音や藍魚、日輪たちのようになりたいと憧れながらも劣等感を抱いてしまう。伊月の隣に行きたいけれど私なんか、と身を引いてしまう。本当は子供たちと仲良くなりたいのに、『鬼葵』のせいで怖がられてばかり。そして、伊月と恋人になって幸せになり、綾音に頼りっぱなしじゃなく自分の足で伊月の隣に立ちたいと願って、綾音とお別れをした、けれども、綾音がいないと、願う理想がないと絵本が描けなくなる。
振り返れば、葵は、心の中はいつも葛藤ばかりで、気付けば涙を流して、笑顔を忘れることばかりだった。
そんな葵が、ひとつ、ひとつ、と、ゆっくりでも壁を乗り越えて、成長していく姿が"ここ"にはあって。
乗り越えた先の葵は、自分自身としっかり向き合うことが出来て、絵本を描く理由もきっかけもしっかりとわかっていて、一歩を踏み出す勇気を持っている。
私は、葵がここまで成長して、自分を認めてくれたことが本当に嬉しいのです。
長いようで短くて、空回りも遠回りも沢山したけど、ここまで頑張ってきた葵を本当に誇りに思います。
ありがとう、葵。おめでとう、葵。


ということで、葵√の感想は以上になります。
さて、葵√の総評です。
内気で泣き虫な葵の成長を近くで見守っていられる、心が温かくなるシナリオでした。
葵√に関しては、もうここの総評で書くことがあまりないほど前述で書き込んだので良いところは、上に戻ってまた読み返してもらうとしてです。
ここで、不満、というかまた物足りなポイントです。
葵√の良いところとして、『葵の成長を見守っていける』ところだとして、先程述べましたが、そこが逆に欠点でもあるのではないかというのが、個人的見解です。
何度も言いますが、かなひめは『恋愛』をするゲームなので、親や兄弟の気持ちになって鑑賞するものではないと思います。
とどのつまり、色恋沙汰があまりにも少ないと感じました。
日輪√の感想にも、ゲーム全体の不満点として同じことを挙げたと思いますが、葵√もやはり同様なので、そこだけが残念かなと思いました。
せっかく、葵がこれだけ可愛らしさに、魅力に富んだ人物であるだけに、そこはとても勿体ない部分かなと思います。
葵√自体は好きですが、もう少しその辺りが欲しかったということでした。


藍魚√感想

藍魚√のあらすじです。
藍魚の秘密の告白を受け入れた伊月。
伊月は、あの時、海辺で抱きしめた藍魚のことを、藍魚は傷ついた自分を抱きしめて、受け入れてくれた伊月のことをそれぞれ考えていた。
これまでとは変わらない日常だが、そんな日常の中でお互いへの想いが募っていく二人。
藍魚への想いが止まらなくなった伊月はついに、藍魚へと告白をすることに。
藍魚も伊月への想いを自覚したその時、いなくなってしまったはずの綾音の魂が藍魚の心で大きく反応し、藍魚は伊月への想いが分からなくなってしまう。
そして藍魚は、10年前のように、儀式によって綾音の魂をもう一度呼び戻そうとするが、伊月やみんな、綾音の思いが藍魚に通じ、綾音との最後の約束を果たし、伊月と恋人になった。
伊月との幸せな日々を過ごしていたある日、綾音の魂が完全になくなったことで、藍魚の体に変化が起きる……。

以上が藍魚√のあらすじ。
では、感想です。

・伊月と藍魚、惹かれ合う二人
秘密の告白を終え、解散したその夜、抱きしめあった伊月と藍魚はお互いの感触を思い出して、それぞれに対する想いを呟いていた。
まだお互いが『好き』だと気づく前の二人。
伊月は、昔一番好きだった異性の綾音にどこか似ているけど、藍魚だからこそ感じた想いがあり、
藍魚は、綾音から聞かされていた『カッコいい伊月』の話を、抱きしめられた時の感触から思い出す。
今作では、葵と日輪は幼馴染であり、藍魚とは連れ添った年月の差や関係性が異なるために、伊月とヒロインとの恋愛的な面での意識の仕方も異なっていました。
なので、ここに来て、ようやく伊月が、芽生えた想いに気づいて行動するという恋愛ゲーム的要素が出てきて良かったなと思いました。他の√は本当に直前すぎたので、これぐらい早く気づいて、行動出来たら楽しいですよねやっぱり。

・日輪の想い
日輪√を見ている後で、日輪の伊月を愛する気持ちがただならないものだと理解しているので、日輪には結構感情移入してしまいます。
日輪√で、あれだけ伊月と藍魚をくっつけようとしていて、それでも諦められなかったぐらいなのに、なんだか簡単に諦めてしまってないか……?とも思いましたが、そこはまぁ、伊月の思っていることがわかる日輪は、伊月が藍魚に惹かれているかどうかだってある程度わかるでしょうし、藍魚√と日輪√ではそこに"差"が生じてしまっただけに、結果も違ったのかなと。
そう考えると、√によって事象は違えど、やっぱり最後は主人公によって物語は決まっていくんだなぁって感じました。

・藍魚の表情
秘密を告白して、みんなと本当に友達になれた!という実感があるからか、以前にも増して色んな表情・明るい表情を見られるようになったなって思います。イイね、藍魚の笑顔には元気になれる力がありますね。持ち前のコミュ力も合わさったからこそ、龍宮村にも早々に馴染んでいくことが出来たんだなぁと。
人として、尊敬出来る人柄。


・藍魚の声
今更ながら、藍魚の声優さんって『アオナツライン』のことねと同じ「夏和小」さんなんですよね。アオナツではことねが最推しなので、これ知った時めっちゃ興奮しました。
初め聴いた時は、ことねとは全然印象違ってて、流石プロだなぁって感心してました。
そして、藍魚√でも後々に流れてくる『藍唄』、これが本当に良くて……これ聴いて、ちょっとファンになりました。
あんまり、エロゲの声優さんって覚えていないのですが、夏和小さんのことは今後も覚えていると思います。他の出演作もあれば、チェックしてみようと思います。


・日輪の助言
藍魚が伊月を好きだと思うところまではいいものの、藍魚のこういう場面での消極性、というかウブさが邪魔して、そもそも恋だという認識すら持てない。
そんな藍魚に対して、ある種誘導尋問にも見えましたが……、日輪の想いだったりを言ってくれたことによって藍魚がやっと自覚してくれて。
私的には、藍魚みたいな子だからこそ、自分で最後まで気づいて発展していってほしいなって思いがあったので、そこを残念に思う気持ちと、前述の通り、日輪のおかげで気づいたみたいなところもあると思うので、難しい問題ですね〜。


・綾音の夢
各√で、綾音との過去の記憶からくる夢をみんなが見ていて、毎回それが途中で終わって目覚めてしまっていて。幼い頃の記憶だし、全部覚えてるなんて、そんなことは無理だと思うけど、単純に会話の内容として気になるからその会話の最後まで見せてほしかったなぁという思い。

・畑仕事の藍魚のCG
藍魚って王族だったからってのもあるのか、見た目も雰囲気も華やかな感じなのに、パワフルな言動だから、こういう田舎の畑仕事とか麦わら帽子のラフな格好も全然違和感なくて、めっちゃ似合ってて良さみざわです!。


・鈴魚の不器用さ
フラれた伊月のフォローをする様子が不器用ながらも優しくて可愛い。
鈴魚可愛い。
クーデレとツンデレと妹属性足したような性格良すぎん?

・告白
藍魚と綾音の悲しみの輪がようやく断ち切れたのは、悲しく寂しいものですが、全員が前に進むために必要な選択だったんですよね。
藍魚も綾音も伊月も、みんな優しさに溢れている、いい村のいい人たちですね。
涙に包まれながらの告白でしたが、笑顔になれる結末で良かったなと思います。

・ふわあぁぁぁっ
ふわあぁぁぁっ、の声がめっちゃ可愛いの良すぎ、ました。。
初々ういしいね……考えてみれば、藍魚が三人の中で一番恋愛経験、というか機会が少ないですから、しかも、幼い頃から知っていて好きになっていったカッコいい伊月君、との大恋愛ですからね。これこれ〜!!!って感じのリアクション助かるわ〜〜〜!


・伊月君のイケメン君
伊月君謙虚なところもあるのに、付き合ったら一途で言動もロマンチストでしっかり格好がついてるのが流石よなぁ〜
日輪の伊月に対する評価ってやっぱ正しいってことだな。
色んな意味を含んだ『イイ男』だね。

・違和感
綾音がいなくなってから数日後、身体に違和感を覚える藍魚……。
絶対にここから藍魚に何か大変な試練が待ち受けているんだろうなという言動から、儚さを感じ始めましたが……。
藍魚がこれから綾音の分まで『約束』を果たして生きていくんだと決意したばかりなのに、悲しみしかないのに心が落ち着かなかったよ……。
それだけ、藍魚のことが好きなんだよなぁ。

・最期
藍魚を海にかえすか、藍魚と最期まで一緒にいるか、伊月は約束を果たすために前者を選んだ。
みんなとわかれて、最期に、藍魚を背負って海へと歩きながら二人で会話をする。
ここに来て、伊月の顔が全部見られて嬉しかったなぁ。……なんて感想も抱きましたが。
あまりにも悲しい。
この感想を書いているのは二周目をプレイしながらなので落ち着いて書いていますが、一周目はそれはもうボロボロ泣いて言葉になりませんでした。
幻想的な夜の木々がまるで生きて意思を持っているかのように、海へ進む伊月と藍魚を見守っているような温かさに包まれているのに。それなのに、どうしてここまで冷たいのだろう。寂しさが、悔しさが溢れてくるのだろう。
もう、とにかく感情が溢れ出てきて。
あれだけ楽しく日々を過ごしていた藍魚が、なんでこんな結末を迎えなければならないのか……。
でも、こんなことを思っていても、伊月も、そして藍魚も結末はまだ先だって、諦めない。

藍魚の物語の一幕はここで終わってしまう。エンディングがここで流れたことは、それを意味するのだと思いました。ここで一度終わるだけ。そしてまた、これから先、また物語は続いていくんだなって。

そして、十年の月日が流れて、伊月には新しい家族が出来ていた。葉月、良い名前だね。
その真実はわからないけれども、伊月にとっても、藍魚にとってもハッピーエンドだったらいいなと思います。
結末は変えられるって言ってたし、きっとハッピーエンドに変えてくれたんだと信じましょう。


藍魚√の感想は以上になります。
それでは、藍魚√の総評です。

罪を背負いながら一人で生きてきた藍魚が、陸に上がって色んな人と交流して仲を深めていき、そして本当の友達になれたり、文化の違いを乗り越えて、いやむしろ楽しんで、人間として馴染んでいったりする様子は、本当に橘藍魚という人物の魅力を最大限に引き出してくれたからこそ感じ得られたものだと思います。
人魚って、実際に存在しているのか、生きていたらどこで・どうやって生きているのか……など、わからないはずなのに、本当に存在しているかもしれないと思わせてくれるほど、人魚の存在感をこの作品を通して感じられました。
それは、上記の通り、藍魚のおかげであると思います。藍魚に感謝。
藍魚√は、ラストがああいう展開だっただけに、感情的になってしまいましたので、改めてそこも踏まえての総評を致します。
正直、ラストシーンの展開は良いんじゃないかなと思います。
ワンパターンな終わり方じゃなかった、といえば簡単ですが、「人魚というモチーフをどう料理するか」をしっかり最後まで考えられていたのではないかなと思いましたので。(なんだか上から目線で申し訳ない…)
しかし、「結末は変えられる」とは言ったものの、ちょっとした矛盾を感じました。
最終的な葉月の母親は明記されてはいませんが、身体的特徴や言動から母親が藍魚である可能性は高いです。
しかし、藍魚が海に帰り眠りに落ちたのは、人魚に戻るための力を蓄えるため、だと書いてあったと思います。
そうすると、この二つの事実は矛盾するのではないかなと思いました。
あと、藍魚を海へ運ぶシーンのCGで、伊月の顔がやっと出てきました。
そこに、私のプレイした順番も相まってか、藍魚√と他√の熱量に差があるのではないかと感じました。
葵√でも確かに多少は写っていたし、それだけの理由で?と言われてもしょうがないかもしれませんが、実際に私はそう感じたので素直に述べます。
でも、自分で言ったことを否定するわけではありませんが、『彼方の人魚姫』というタイトルを考慮すれば、橘藍魚がメインヒロインであるというのは紛れもなく真実であるのかなとも思いました。



最後に

ここまで、長いこと書いてきました、
『彼方の人魚姫』の感想もついに全員分の√を書き終えることができました。
改めて、ここまで長いことお付き合いくださってありがとうございました。
いや〜〜〜長かった……
実はこれ書くのにかなひめをプレイしながら書いていたのも(自分の要領の悪さも)あって半月以上かかりました。
それでも、どうしてもこの作品の感想が書きたかったのです。
かなひめ自体が好きなのもありますが、一番の理由は、

うみこ先生とどんぶく先生の作る作品が好きだから

です。
アオナツラインから出会って、ユキイロサインをプレイして、やっぱりいいなぁって思って浸ってたらこの作品が決まって。
三作品ともプレイして、どの作品も舞台もコンセプトも違っているけど、やっぱり一貫して『空気感』が良いというか、言葉にするのは難しいですが、私の感覚的に大好きなのです。
うみこ先生の画でどんぶく先生の物語に色がついて動き出す。
このお二人だからこそ、生み出せるものはあると思います。
なので、これからも「もうお腹いっぱいです…!」って言ってしまうぐらいに、色んな物語をお二人のタッグで作っていってほしいなって思います!!!

かなひめの感想は色々書きましたが、私は創作において、人の意見というものはあくまでスパイス程度で良いと思っています。もちろん、受け止めなければならない意見も存在すると思いますが。
でないと、その創作者の味はしっかり出ないんじゃないかなと思います。
物語って人それぞれだから、面白いんですしね。

とりあえず、私はこれからアオナツラインをもう一度最初からプレイしたいと思います。
(ちなみに、かなひめを終えてからこれを書き終わるまでに、うみこさん作の同人誌を3〜4冊ぐらい買いました。そして白い砂のアクアトープも二周目全話観ました。今はアクアトープのまとめ本を探してます。)

とにかく!!!
また、うみこ先生とどんぶく先生のタッグ作品を楽しみにしておりますので!!!
それでは!!!





P.S.
最後に名シーンの画を描いたのでそれだけ貼っときます。
伝われば良いなと。
海の表現難しい……もっと勉強します。
それでは。


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