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扉の数

2ドア、3ドア、4ドア、5ドア。。
自動車のドアの数は、多いほど好きだ。
デザイン上、性能上の観点から逆の意見も多いと思うが、私は単純に実用性を採って、ドアは多いほど好きだ。
同じ車種なら、絶対ドアの多い方を買う。

ドアが多いと、
後席の乗降がラク。
前席の乗降も実はラク。(たとえば4ドアと2ドアなら、4ドアの方がドアが小さいから開けた時に横に張り出さない。)
ハッチバックやワゴンで荷物を積み下ろしするときは、シートを転換したり、前に回って荷物を引っ張ったり、横から積んだり、絶対ドアの数が多い方がラク♪
腰痛持ちだから、余計にそう思うのかもしれない。

だけど。

ドアの数が少ない方が好きな乗り物もある。
列車。
これは、少なければ少ないほど良い。
ワクワクしてくる。

毎朝お世話になる阪急電車は片側3枚扉。
ちなみに、電車の場合、進行方向に向かって左側や右側を「側」で呼ぶ。
そして進行方向に向かって前後を「寄」で呼ぶ。
たとえばある扉を特定するのに「3号車 2側 1寄扉」という風に呼ぶ。
だから、片側3枚扉といえば、進行方向左サイドか右サイドから見て、1車両に3つの乗降口がある、ということになる。
駅で電車に乗る時に、「乗り口が3つあるな~、どこから乗ろうかな」と思ったら、それは「片側3枚扉」である。

ところが、同じ阪急でも京都線の特急は少し違っていた。
片側2枚扉だった。
扉が、大阪梅田寄りと京都河原町寄りに離れて2カ所あったのだ。その間はクロスシート、すなわち進行方向に向かった二人掛けのシートがずらりと並ぶ。
こうなると、ワクワク感が一気にアップする。
特にドアとドアの真ん中あたりに座ると、外界から少し離れて電車にしっかり守られているような気がして、嬉しくなったものだ。

ところで、なぜ過去形で書いているのか?
そう、昔は2枚扉だったのだ。
2800系から6300系へ変わっても、2枚扉のクロスシートは受け継がれてきた。ところが10年ほど前からあの忌まわしき新型車の9300系が投入されはじめる。これが、あろうことか、3枚扉なのだ!
そして今や、すべての特急が3枚扉になってしまった。
何か、裏切られた気がする。

2枚扉よりもっと嬉しいのは、1枚扉だ。
JRの特急列車、新幹線など、遠くへ連れて行ってくれる列車はほとんどが1枚扉である。
しかもこの手の車両になると、ドアから乗り込むとまず「デッキ」と呼ばれる部分があり、さらにもう1枚ドアを通って客室内に入るようになっている。客室は完全に外界につながるドアと遮断される。
こういう車両に乗ると、もうワクワク感マックスである。
「1枚扉の車両」=「旅」
の公式が頭の中で勝手に形成されているからだろう。

逆に扉の数が多くなれば多くなるほど、通勤を連想させるから面白くないのだ。
通勤電車は短時間で一度に多くの人間を入れ替えなければならないから、ドアの数が多くなる。ドアの数が多い=乗降客が多い=痛勤。至極当然。
京阪電車には片側5枚扉なんて車両もあったっけ。
もう、ここまでするなら全部ドアにすれば?と思ったり。

ドアが少ない→旅行♪ ワクワク♪
ドアが多い→通勤(or痛勤)おえっ。

だから、列車のドアの数は、少ない方がいい。

昨年デビューした、ウェストエキスプレス銀河。
これも、ドアが片側1枚。
究極のワクワク♪。。。のはずが、実はそうでもない。
まず、1枚には違いないがドアの形がいけない。
「両開きドア」なのだ。真ん中から左右に分かれて開くやつ。
これではまるで通勤電車だ。
ワクワク列車は、1枚だけが横にスライドする「1枚引き戸」か、折り畳み式の「折り戸」でなければならない。
もうひとつ、重大な欠点が、「デッキが無い」こと。
ドアから乗り込んだら、そのまま室内だ。
これじゃあダメ。
せいぜい、旧阪急京都線特急レベルのワクワク感しかない。
それもそのはず、この「ウェストエキスプレス銀河」は、国鉄時代の117系、新快速電車に使っていた電車を改造したものだ。
色を塗り替えようが、椅子を豪華にしようが、所詮、通勤電車いや痛勤電車のDNAは消し切れない。

だから、ちっともワクワクしない。
乗りたいなんて思わない。

これは決して、抽選に何度も落ちた負け惜しみではない。

ましてや、これを読んだ人はきっと抽選に応募するのをやめるから競争率が少しは減るだろうなんて、これっぽっちも考えていない。


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