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写真の「明るさ」を決めるもの

フィルム、あるいはデジカメのセンサー(感光素子、光を感じるところ)は、ある範囲の強さの光を感じることができる。

この範囲内ならば、それを写真の中の明暗として感じ、記録することができる。
逆に、光の強さが「ある範囲」を超えると、違いを感じ取ることができなくなる。写真で影の部分が真っ黒につぶれて、その中の物が写っていなかったり、逆に、目で見ると青空に雲が浮かんでいるのに写真に撮ったら真っ白けというのがその状態である。

月明りから、晴天下のビーチまで、すべての明るさに対応できるスーパーセンサーがあれば理想的だが、そんな高性能なセンサーは存在しない。

だから、どうするか?

カメラでは、こうしている。

その1
「絞り」
(「f8」とか「f11」とか言うやつ)
センサーに当たる光(「写そうとするモノ」から飛んでくる光)は途中、レンズを経由するが、ここで光の量を減らす仕組みがある。
早い話、レンズのところに小さな穴の開いた板を置くのである。
「置くか」「置かないか」で
光は「レンズ全体を通るか」、「レンズのごく1部分を通るか」、変わる。
当然、1部分を通る方が、光の量が少なくなる。
これで、光の量を2段階に調整できる。
これが、「絞り」と呼ばれるもの。
たったの2段階??
そう。
私が生まれて初めて持たせてもらったおもちゃのカメラは、これだった。
最新のコンパクトデジタルカメラなどでも実はこの方法。
たった2段階でも、無いよりは遥かにマシ。
もちろん、高級カメラになるとこれが10段階や20段階、モノによっては無段階になる。
え? 穴の大きさの異なる板を10枚、20枚用意して差し替えて調整する仕組み!?
まさか。
このときは「虹彩絞り」と言って、特殊な形状をした板を5枚以上組み合わせて光の通る穴の大きさを無段階に調整できる絞りを使う。どんなものか、言葉だけで説明するのは難しいが。。
あの、ほら、007の映画のオープニングでボンドが穴の中に写ってて、バキューン!って撃ってくる。。あの穴の形に酷似している。
(私幼いころ、あれがカメラの絞りだと思い込んでいました。「ライフリング」だと知った時はショックでした。)

その2
「シャッター速度」または「シャッタースピード」
(「1/500秒」とかいうやつ)

フィルムもセンサーも(原理は違うが)感覚的には「日焼け」と同じ。
お肌を真夏の紫外線の元に1分間だけさらけ出すのと、1時間さらけ出すのとでは。。。
フィルムやセンサーも同じで、長時間光にさらせばさらすほど、光をたくさん吸収する。(「吸収」は正しい言葉ではないが、とりあえず感覚的な話をしている。)
ということは、フィルムやセンサーを光にさらす時間を調節すれば、絞りと同じく、トータルの「光の量」を調節することができる。
この調整をするのが、「シャッター」で、フィルムやセンサーの直前、或いは、レンズの中に仕込まれる。
例えて言えば、普段閉じている「雨戸」があって、それが一瞬だけ開き、また閉じる。
開いた一瞬だけ、窓から光が入る。そんなイメージ。
ただし、実物のカメラではこの「開いた一瞬」が、1/500秒(0.002秒)とか、そんなレベルの、本当に「瞬く間」だが。

その3
「感度」「ISO」
(「ISO100」とか「ISO1600」とか言うやつ)

もうひとつ、明るさを調節するものとして、「感度」がある。
デジカメのセンサーは電子素子だ。
簡単に言うと、光を電気に変換する素子である。
光を一旦電気信号に変換出来たらしめたもの、「増幅」という手が使える。
「増幅」ができるなら、そこで「調整」もできる。
少し専門用語が出てきてしまったが、「電気」にしてしまえば色々融通が効く。たとえば、スマホでもパソコンでも何でもいいが、音楽を聴くとき必ずボリュームで音量調節をするだろう。
同じように、デジカメのセンサーから出てきた電気信号もレベル調節が自由にできる。
同じ光がセンサーに入ってきたとき、出てくる電気信号を小さくもできるし、大きくもできる。
ボリュームを絞った状態だと、鈍感になり、ボリュームを一杯に上げた状態だと敏感になる、とも言えるだろう。
このボリューム調節が、「感度」である。

ちなみに、フィルム時代はどうだったのか?
やはり、「感度」を選ぶことはできた。
が、フィルムの場合は光を直接化学反応で感じ、記録する仕組みだったから、その化学反応で感度は決まってしまう。
つまり、「感度」を変えたければ、フィルムを変えるしか方法が無かった。
「普通のフィルム」「低感度フィルム」「高感度フィルム」「超高感度フィルム」と何種類かあって、その中から選ぶしか無かったのだ。

その1その2その3
「絞り」「シャッター速度」「感度」
(外光そのものの明るさは別として)写真の明るさを決めるものはこの3つしか無い。
この3つを、うまく調節して、写真が真っ黒につぶれたり、真っ白に飛んだりしないように調整する。
それを、「露出調節」という。
(写真家は「露出」という言葉をよく使うが、決して変な部位を人前にさらけ出すような意味では無いので念のため。)

一旦ここでまとめてみる。
「絞り」
絞りを開く(穴を大きくする)と(写真が)明るく写り、
絞りを絞る(穴を小さくする)と暗く写る。

「シャッター速度」
シャッター速度を遅くすると明るく写り、
シャッター速度を速くすると暗く写る。

「感度」
感度を高くすると明るく写り、
感度を低くすると暗く写る。

この3つを調整して、写真が丁度良い明るさ(適正露出)になるように調節する。
それが露出調節
人間でもサングラスをかけなければ耐えられないような、真夏の白砂の海岸では絞りを絞り、シャッター速度も速くし、感度は低く。
夜空の星を撮りたければ、絞りを開いて、シャッター速度を遅くし、感度は高く。
この調節に失敗すると、真っ黒け、真っ白けの写真が出来上がる。

カンのいい人はお気づきだろう。
「わざと、適正露出から外すの、アリじゃ?」
大アリ!(壁に大アリ、障子に。。と書いた漫画家が居たっけな)
最初に書いた、センサーのある範囲、その限界を超えない範囲であれば、わざと暗めの写真、明るめの写真を作るのはアリです!
それが、面白いのです。

さらにカンのいい人は考えただろう。
「3つも調整できるのなら、同じ明るさでもいろんな組み合わせが、あるわよね?」
その通り。同じ場所、同じ構図で、同じモノを撮っても、この3つの組み合わせ方によって、写真の出来が大きく変わる。
それが、面白いのです。

そして、中級以上のカメラになると、この3つのパラメーターを自分で自由に調整できるようになっています。
(実は、写真の「私の初カメラ」でも小規模ながら絞りとシャッター速度は調整できます!)
これを使いこなせば、写真に無限の可能性が!

しかし、この続きはまた今度♪

今日のキーワード
「絞り」「シャッター速度」「感度」
「露出調節」「適正露出」






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