偏質的俳句鑑賞-第六十回 わが庭を前線通過喜雨(きう)となす-添田昌弘『紙魚』

「わが庭を」がいい。これが「日本を」とか言われたら普通すぎて面白みが消し飛ぶ。
「喜雨」とは雨が降らなくて田んぼとかが干上がりかけた時に降る、いわば「恵みの雨」みたいな言葉だ。
この句の主人公は自分の家の庭というミクロな世界を存分に楽しんで、梅雨前線とかが通過したのを「喜雨」として楽しんでいる。

ささやかな世界に大きな満足感を見つけた作者の勝利だ。

それだけです。次回も良ければ読んでください。

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