偏質的俳句鑑賞-第百十一回 天使魚もいさかひすなりさびしくて-水原秋櫻子『水原秋櫻子全集 第一巻』

天使魚とはエンゼルフィッシュのことで、熱帯魚として夏の季語だ。それが水槽の中で争っている。
エンゼルフィッシュが争っているということ自体になんとなく俳諧がある。そして、その争う理由は「さびしい」からであるという。
人間が争ったりするのは利己心とか色々あるが、さびしさもあるだろう。
そういった悲しさ、愚かさ、滑稽さがひっくるめて水槽の中で繰り広げられる。
まるで世界のミニチュアのように。それを発見した秋櫻子はやはり大家だ。
それだけです。次回も良ければ読んでください。

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