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みなさんの現代語俳句 ~作品・記事集~

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現代語俳句の会の作品・記事集です。 #現代語俳句の会 のタグをつけて頂いた作品・記事を納めています。 2019年12月分より。
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#詩

塩鮭よ鮮魚売り場は切り身だけ

塩鮭よ鮮魚売り場は切り身だけ

季語:塩鮭(三冬)
しおじゃけよせんぎょうりばはきりみだけ

荒巻鮭とは・・・母が荒巻鮭が欲しいと言い出した。それも1本まるごと。

荒巻鮭とは、鮭の内臓を取り出して塩を詰め、20日ほど熟成させて作る北海道の名産品である。塩分過多を気にする消費者が増えたせいか、近年は甘塩仕立てで、それほど塩辛くなくなっているようだ。

わたしも聞いただけの知識しかないが、以前はみりんや酢につけ、塩抜きをして調理す

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初詣密を避けよと神の声

初詣密を避けよと神の声

季語:初詣(新年)

はつもうでみつをさけよとかみのこえ

クリスマス、年末バーゲン、初詣、新春初売りと例年なら多くの人出で賑わう時期がやってきます。しかし、今年はコロナ禍の影響で不要不急の外出は控えるように、との政府、自治体などなどからの呼びかけがあります。例年ほどの人出にはならないのではないかと感じます。

一方で日々のニュースでは、一向に減る様子のない新規感染者数が報じられています。GOTO

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寒椿道ゆく人に温もりを

寒椿道ゆく人に温もりを

季語:寒椿(晩冬)

かんつばきみちゆくひとにぬくもりを

急に冷え込みがキツくなりました。体調や気分が天候で大きく左右されるタイプであることもあり、なかなかやる気、根気、元気をキープできずにいました。いくつか心配事もあったのですが、先週末にようやく解決したところで、久々に愛用のMacBook Airの電源を入れる気になりました。

2011年モデルとやや古いので、このnoteの執筆画面でさえ保存

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今年最後の現代語俳句と詩歌コラボ

今年最後の現代語俳句と詩歌コラボ

今年一年現代語俳句の会に参加して、締めくくりとして詠んだ三句です。

ひとしきり見上げることよ冬木立 

沈黙のダム湖つらぬく冬月よ

千年を詩歌に舞うか花吹雪

こちらの句のうち、一句に対して詩をつけてみました。

【沈黙のダム湖つらぬく冬月よ】

山の
青々とした時も
こうして眠ろうとする時も
風の運ぶ騒めきにすら面をつけ
深く深く立つ人造湖

行き場に迷った獣が低く唸る

沈んだものの歴史と

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ハレの日に手繋ぎ笑顔七五三
季語:七五三(初冬)
はれのひにてつなぎえがおしちごさん

好天の日曜日で七五三日和❓の1日でした。天気も確かに晴れなのですが、ハレとカタカナにしているのは、七五三を特別な日であることを強調するためです。反対に特別でない日常の日はケと言います。

夜夜中急ぎ手探り吸入器

夜夜中急ぎ手探り吸入器

季語:吸入器(三冬)

よるよなかいそぎてさぐりきゅうにゅうき

季語のなかには、意外なものもたくさんあります。吸入器が季語であることは、歳時記を眺めていて偶然見つけました。冬の冷たい空気は、気管支の収縮を引き起こすことがあります。そのため治療薬である吸入器が、冬の季語となったのでしょう。

気管支炎、喘息の発作は夜中によく起きます。息苦しくて目が覚め、あわてて手探りで枕元においたはずの吸入器をさ

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オリオンよペテルギウスは息災か
季語:オリオン(三冬)
おりおんよぺてるぎうすはそくさいか

ペテルギウスとはオリオン座の左上の赤い星。寿命が近いといわれています。我々の目に届くペテルギウスは約650年前の姿。今も輝いているかは650年経ってみないとわかりません。

秋夕映手応え有りか黒スーツ

秋夕映手応え有りか黒スーツ

季語:秋夕映(三秋)

あきゆうばえてごたえありかくろすーつ

がんばれ就活生!夕方散歩をしていると就活スーツの男女をよく見かける。散歩コースが駅前を通過するからだろう。遠方からわざわざ企業訪問か面接か、セミナーか、そのようなものに参加してきてくれたのだと思う。

度々わたしは自分の住む町を田舎町と揶揄しているが、歴史だけは古い町なので、大企業はなくとも長く経営してきた会社はいくつもある。無事就職

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カラスカタビラの花壇よ長く麗しく

カラスカタビラの花壇よ長く麗しく

季語:花壇(三秋)

からすかたびらのかだんよながくうるわしく

季語が決まらない花壇とは、秋の花々を咲かせたところという意味の季語です。別名で花畠や花園といっても同義です。面白いことにお花畑というと夏の高山植物を指す季語になります。誰が考案したものやら首をひねりたくなりますね。

季語本来の意味合いでは「花々」ということなので、1種類では花々とは言えません。実際は他の草花も植えられている(下の方

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月まで行け行け秋の麒麟草よ

月まで行け行け秋の麒麟草よ

季語:秋の麒麟草(初秋)

つきまでゆけゆけあきのきりんそうよ

月も秋の季語なので、季語重なりの反則を犯しています。反則なのですが、もう片方の季語「秋の麒麟草」の印象を強く表現することで、主役をはっきりさせようと試みました。「秋の麒麟草」とは背高泡立草のこと。

カバー写真は一部の切り取りになってしまいますが、これが全景です。この群生ぶり、成長ぶりをみたら、月まで行ってしまえと応援もしたくなりま

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綿菓子機壊れ秋空なびく砂糖糸

綿菓子機壊れ秋空なびく砂糖糸

季語:秋空(三秋)

わたがしきこわれあきそらなびくさとういと

上5の大幅な字余りについて俳句は575の17拍に1文字ずつあてはめる、17文字が基本の型ですが、ときに字余り、字足らずのかたちをあえて取ることもあります。

その場合でも中7は崩さず、上5か下5で崩します。セオリーとしては上5で崩します。

この句は、

わたがしきこわれ//あきそらなびく/さとういと (切れ字部分//)

と、8、

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