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みなさんの現代語俳句 ~作品・記事集~

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現代語俳句の会の作品・記事集です。 #現代語俳句の会 のタグをつけて頂いた作品・記事を納めています。 2019年12月分より。
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初詣密を避けよと神の声

初詣密を避けよと神の声

季語:初詣(新年)

はつもうでみつをさけよとかみのこえ

クリスマス、年末バーゲン、初詣、新春初売りと例年なら多くの人出で賑わう時期がやってきます。しかし、今年はコロナ禍の影響で不要不急の外出は控えるように、との政府、自治体などなどからの呼びかけがあります。例年ほどの人出にはならないのではないかと感じます。

一方で日々のニュースでは、一向に減る様子のない新規感染者数が報じられています。GOTO

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菜箸で毛糸編む母弘法か

菜箸で毛糸編む母弘法か

季語:毛糸編む(三冬)

さいばしでけいとあむははこうぼうか

弘法筆を選ばず弘法大師は達筆で知られた平安時代初期の僧侶です。空海の名の方が知られているかもしれません。死後に贈られた名が弘法大師です。死後に贈られる名は諡号といい、生前の評価に基づいて贈られる名前です。弘法大師は、醍醐天皇から贈られた諡号です。

「弘法筆を選ばず」とは、弘法大使くらいの書の名人になると、道具の良し悪しにはこだわらな

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低気圧頭痛告げるは冬の雨

低気圧頭痛告げるは冬の雨

季語:冬の雨(三冬)
ていきあつずつうつげるはふゆのあめ

天気と体調小児喘息だった小学生のころ、雨の降る前々日くらいに必ず喘息発作が起きていました。天気予報は晴れでも、「発作が起きているのだから絶対雨が降る」と断言できるほどの精度でした。

今は喘息発作は起きませんが、天候が崩れる前から身体がだるくなり頭痛が起きます。相変わらずその精度は天気予報より正確です。地震や火山噴火の前ブレに野生動物の移

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大根よ葉つき求めてまた次へ

大根よ葉つき求めてまた次へ

季語:大根(三冬)

だいこんよはつきもとめてまたつぎへ

スーパーで売っている野菜は、たいてい見栄えよく新鮮に見えるように陳列されています。野菜コーナーにミストを噴霧させ、みずみずしさを強調するような設備も見かけます。調理に便利なカット野菜などもあり、わたしも重宝させてもらっています。

利便性の向上か食生活の変化によるものか、見かけることが少なくなったもののひとつに葉つきの大根があります。八百

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夜夜中急ぎ手探り吸入器

夜夜中急ぎ手探り吸入器

季語:吸入器(三冬)

よるよなかいそぎてさぐりきゅうにゅうき

季語のなかには、意外なものもたくさんあります。吸入器が季語であることは、歳時記を眺めていて偶然見つけました。冬の冷たい空気は、気管支の収縮を引き起こすことがあります。そのため治療薬である吸入器が、冬の季語となったのでしょう。

気管支炎、喘息の発作は夜中によく起きます。息苦しくて目が覚め、あわてて手探りで枕元においたはずの吸入器をさ

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オリオンよペテルギウスは息災か
季語:オリオン(三冬)
おりおんよぺてるぎうすはそくさいか

ペテルギウスとはオリオン座の左上の赤い星。寿命が近いといわれています。我々の目に届くペテルギウスは約650年前の姿。今も輝いているかは650年経ってみないとわかりません。

冷まじさ増す度増える星空よ

季語;冷まじ(晩秋)
すさまじさますたびふえるほしぞらよ

秋夕映手応え有りか黒スーツ

秋夕映手応え有りか黒スーツ

季語:秋夕映(三秋)

あきゆうばえてごたえありかくろすーつ

がんばれ就活生!夕方散歩をしていると就活スーツの男女をよく見かける。散歩コースが駅前を通過するからだろう。遠方からわざわざ企業訪問か面接か、セミナーか、そのようなものに参加してきてくれたのだと思う。

度々わたしは自分の住む町を田舎町と揶揄しているが、歴史だけは古い町なので、大企業はなくとも長く経営してきた会社はいくつもある。無事就職

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綿菓子機壊れ秋空なびく砂糖糸

綿菓子機壊れ秋空なびく砂糖糸

季語:秋空(三秋)

わたがしきこわれあきそらなびくさとういと

上5の大幅な字余りについて俳句は575の17拍に1文字ずつあてはめる、17文字が基本の型ですが、ときに字余り、字足らずのかたちをあえて取ることもあります。

その場合でも中7は崩さず、上5か下5で崩します。セオリーとしては上5で崩します。

この句は、

わたがしきこわれ//あきそらなびく/さとういと (切れ字部分//)

と、8、

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