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俳句「春炬燵」
父母の会話もなくて春炬燵
母は眠るとき左側を向いて寝る。車椅子に座って身体を傾けるときは右側に傾く。父が生きていた頃、母のベッドの左側には父が布団を敷いて寝ていたし、母の椅子の右側の椅子には父が座っていたから、それが習慣になってしまったのだろう。
父も認知症になってからは、二人とも椅子に座って居眠りをすることが多くなった。また目覚めていても、黙ってテレビを見ているだけで、会話はだんだん減ってきていたように思う。わが家の炬燵はテーブル型で椅子に座ったまま入るタイプだ。だから一年中リビングにあって、父と母の定位置となっていた。
いまでもふいに母は父を呼ぶ。いつも隣にいた人がいないのだから無理もない。