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俳句「紙の月」

三日月や帰途に買ひたる紙おむつ

 月日の経つのは早い。消耗品の減るのはもっと早い。つい先日買ったばかりだと思っていたら、もう母の紙おむつが残り少なくなっていた。私が利用するドラッグストアでは、Mサイズは32枚入りだ。これでひと月持ってくれればいいのだが、尿パットをあてていてもおむつまで浸みてしまう日もあり、たいていは月の途中で買い足すことになる。

 この日は仕事を終えて帰るときに、ふと母の紙おむつが残りわずかだったと思い出した。同時に「It‘s only a paper moon」という曲を思い出した。

 私はいつも自分に都合よく物を見る質だ。春に舟のイメージと重なった三日月が、この日は紙おむつのイメージと重なった。

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