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俳句「準備期間」
桜蘂降りて御仏父を召す
父の死は、4年前の6月初旬。桜蘂の降る頃ではなかった。だが、もうその頃に仏様は父を呼んでいたのではないか。圧迫骨折で父が入院したのは3月中旬。認知症の症状も進んできていたから、母のときと同じように病室に泊まり込むつもりだったが、新型コロナウィルスの流行によりそれが叶わなかった。面会も制限され、ほとんど会えないまま1ヶ月が過ぎ、退院についての打ち合わせの際ようやく会えたが、父は見る影もなく衰えていた。
それから死ぬまでの2ヶ月足らずは、父が仏様の許に行くための準備期間だったと考えるのは、感謝のことばも伝えられないまま父を逝かせてしまった息子の、都合のよい解釈だろうか。