見出し画像

俳句「生きることは食べること」

御供へが母の夕食秋彼岸

 母の食が細い。食の細いことはたびたびあるが、ご飯もパンもいも類も口に入れては吐き出してくるとなると、いよいよか……と心配になる。

 なんとか炭水化物を摂ってもらいたい。どんな物なら食べられるだろうと思案していたら、一昨日ぐらいから少しだけ飲み込みがよくなってきた。もうご飯類は一週間ほど食べていなかったが、もしやおはぎなら……と彼岸のお供えも兼ねておはぎを買ってきた。

 夕食の膳にそれを出し、小さく分けて母の口に運ぶ。一切れ目は飲み込めた。二切れ目も飲み込めた。そうして最後まで吐き出すことなく飲み込めた。

 仏様が食べさせてくれたのだろうか。

いいなと思ったら応援しよう!