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俳句「寧」

如月に生まれし友の綽名寧々

 個人の感懐など詩ではない。若い頃、現代詩の雑誌の投稿欄で、選者からこう批評されたっけ。俳句も同じだろう。それでも、自分のノートに書き留めておくだけでなく、人の目に触れる場に置いておきたい。その訃報がご主人から届いたのは昨年の8月末。彼女はその初夏、58歳で逝去していた。

 サークルの同期に葉書やメールで連絡すると、女性たちからの返信にはみな「寧々(ねね)」と書かれていた。そう言えば、彼女のあだ名が寧々だったこと、二月生まれだったことなどを思い出した。

 寧々の「寧」はは「やすらか」「ねんごろ」の意味を持つ。ここ数年の世界や日本のありさまを思いつつ、寧々の字を認める。

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