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更年期?「女性ホルモン」の在宅検査キットが開発中ー私の見解

私の見解

新技術は歓迎します。
しかし、運用の仕方が重要で、ミスリードにならないか、少し心配です。
なぜ、そう考えたかを述べていきます。

検査キットの概要

まずは、録画から概要をまとめます

https://www.youtube.com/watch?v=rWs12aXjl_Q

特徴

従来も、女性ホルモンを測定する在宅検査キットは商品化されているので、在宅検査自体は新しいものとは言えません。

しかし、既存のキットの採血量が血液10滴なのに比べて、新技術により採血量が少量(0.05ml)でできるのが特徴です。

採血が少量ということは採血時の穿刺も少しで良い、痛みが少ないということになりますね。

又、ユビスの技術により、少量の血液を乾燥させて検体を固体化し常温でも安定した状態を保つことができる(結果がより正確になる)のも特徴のひとつ

何がわかるのか

では、何がわかるのかというと女性ホルモンの量ということだけで具体的にどのような検査項目があるのかについては触れられていませんでした。

既存の検査キットを見ても、E₂とFSHは入っていると思われますが、具体的な検査項目に関しての話はありませんでした。

なんのために

さて、どのような目的で開発されたかというと「女性の婦人科受診の敷居をさげるため」ということを何度か話していました。

「この位で婦人科に行っていいのだろうか」と女性たちが婦人科受診を避けてしまいます。

もし検査をすることにより受診の前に自分の女性ホルモンの状態を知って、「やっぱり受診するか」と思ったり、「生活を整えよう」と自分で決めることの情報のひとつになれば・・ということでした。

ルナドクターの川原医師も、これですべてがわかるわけではないと話されており、一つの参考情報にすぎないと言っていました。

確かに検査を受ける側も、情報のひとつと捉えておくのが、とても大切だと思います。

いつ検査すれば良いのか

更年期の症状がある時、月経周期に伴って変化する症状がある時、何か症状があって内科などを受診しても異常なしとか原因がわからないと言われた時

手順

ネットで購入 → 自己採血 → 発送 → 分析 → 検体についているQRコードを使ってスマホに結果を送信(医師のコメント付き?)

価格

価格については触れられていませんでした。

既存のキットは19,800円ですので、同じくらいか採血量が少ない分安価になるか、技術料分として高くなるかはわかりません。

3社の共同事業なので、それなりの収益は必要になるかもしれませんね。

量が増えればコストを減らせると言っていたので、これからの普及次第なのかもしれません。


課題


さて、新技術は歓迎します。

しかし、運用の仕方が重要でミスリードにならないか、少し心配です。

映画スターウォーズで、オビ=ワンケノービが、幼いアナキンースカイウォーカーから、プチッと採血をしてフォース(?記憶が定かではない)の能力を調べる場面を思い浮かべます。

この場面を見た時、将来の採血はこんな形でこんなに少量なるのか・・といううこと、血液をどのような形かわかりませんが送って「調べてくれ」と言っていたのを「離れている所でも検査できるなんて便利だな・・」と思ったのを覚えています。

だいぶ近づいてきましたね。

けど、だいぶ余談でしたね (笑)



女性ホルモン値だけでは更年期かどうか判断できない

 

ホルモン値は月経周期で変動します。

図1 月経周期・更年期・閉経後のホルモン値


図1のように月経が始まったころが一番低く、数値的にいうと更年期女性くらい低いのです。

排卵の少し前が一番高い数値になります。

ということは、採血したのが月経周期のどの地点だったかで大きく値が変化します。

まだ規則正しく月経がきている女性であれば、どの地点なのかわかるので判断しやすくなります。

ところが更年期の女性で、月経が不順の場合、採血した地点が月経周期のどこなのか、わかりようがありません。

閉経移行期に排卵することもあるし、無排卵の月経が続くこともあります。

また、フィードバックという体の仕組みが働いて、エストロゲンが少ないから、もっと作りなさいと強力な命令が出て、普段以上にエストロゲンが作られることもあります。

すると、更年期なのに更年期ではないような良好な数値がでることもあります。

更年期かどうか知りたいという女性に対して、エストロゲンの数値だけで更年期かどうかを伝えるのは非常に難しいことがおわかりいただけるでしょうか?

更年期障害の診断基準に、エストロゲンンの数値が○○以下などという基準はありません。

ゆえに相談を受けていると「まだ更年期ではない」と言われたり「エストロゲンの数値が高いから更年期ではない」と言われて混乱に陥っている方もいます。

もう一つ、ホルモンの数値には個別が大きく、Aさんには正常でもBさんには不足しているというようなこともあります。

図1のように基準値の幅が非常に大きいことからもわかりますね。


一人の女性のエストロゲン値を一生を通して時々に計測していれば、その人にとっての正常値は予測がつきますが、一度きりの採血では、その人にとってどうなのか、高いのか、低いのか・・わからないということにもなります。


エストロゲンの数値を測って、その値が何を表しているか解釈するのは難しいということになります。

ですから、採血をして数値がわかってもそれを解釈して解説してくれる誰かが、なにか(AIかも)が必要になります。

そこを軽視してしまうと、迷える女性を増やすだけ・・ではと懸念しています。


例えば

自分が不調が現れ始め、更年期に入ったかしりたいから検査したとします。

数値が高くでました。

更年期ではない可能性があります。

しかし

それは、月経周期の中の一番高い時期に採血したかもしれない

脳からの強い命令があって、がんばって(普段より)高値になったのかもしれない ーFSHも高い

高い値だが、自分にとっては低いかもしれない。

妊娠しているのかもしれない

などと可能性がいっぱいで、単純に「数値が高いから問題なし」とは言えないのですね。

たとえば数値が低くでました。

月経周期の中の一番低い時期に採血したかもしれない

たまたま卵巣腫瘍、ダイエット中、ストレス過多、甲状腺疾患、薬剤などで一時的な卵巣不全の状態で、低いのかもしれません。

結果を見て婦人科受診につながるといいのですが、中には「原因が更年期だからとわかれば、それで安心できるからイイ」と受診につながらない場合も考えられます。

数値に対する個別的にかつ丁寧に説明する必要があるでしょう。

この新しい技術を、有効に活用できるかは、そのあたりが強く影響するのではないかな・・と考えます。

企業に講演に行くと「健康診断の項目に女性ホルモンの検査を入れるといいですか・」というような質問を受けることがあります。

答えは、ここに書いた通りです。

新しい技術は歓迎だけど、数値だけのフィードバックならしないほうが良いだろうと考えています。

今、男性更年期障害も話題になっていますが、おそらく男性ホルモンを在宅で検査するほうが有効ではないかと考えます。

男性ホルモンは徐々に減少していきますが、女性ホルモンのように影響する因子は少ないですし、診断基準に300~320 ng/mlとあるので、女性より容易に診断できると思います。


今後の展望

この在宅検査キットは一つの情報として活用できれば、女性自身の状態がわかり、その運用次第では女性の健康のバロメータの一つとして期待できますね。

今年中に実用化したいと言っていましたので、新しい情報がわかりましたら、この記事に加筆していきたいと思います。

最近の技術の進歩に、ワクワクしています。








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