アルバムリリース
本日アルバムAlternative(Expanded Edition)が配信開始された。
11月6日にCDはリリース済みなので、
制作に関しては、
これにて11枚目のアルバムは締めになる。
8月に10曲バージョンを出した際に「この作品は育つ」と言ったが、無事「完」という訳で。
細かい内容やストーリーは聴いたりZINEに書いてあるので読んでもらうとして、
出し終えてZINEに書ききれなかった技術的なことと心境を少し。
まず初めに言っておきたいことが二点あって、
多作さや制作ペースが早い事を褒めてもらうことが多いが、
俺はそれはあまり良いことでも悪いことでも無いと思ってる。
一作一発で決めれたらそれはそれで良いだろうし、
そういうアーティストに少し憧れもある。
逆に俺は十一作かかってるとも言える訳で、
まあどっちも良さはあるんじゃないかな。
そもそも俺が作るのが早くなったのは元々早かった訳じゃなくて、
ファースト出す前ぐらいにスタジオで考えてて、
「今もしmadlibが来たらどうする?サインだけして貰って帰すのか?」
って思ったのがきっかけで。
いつでも即バース蹴れる状態であろうと思ってそれを続けてるだけなんですよね。
俺がmadlib好きだから思っただけで、
別に他のアーティストに当てはめて貰えれば良いんだけど。
そして自分自身のことだからよく分かるが、
なんでずっと作ってるかというと、
単純に下手になるのが怖いというか強烈に嫌なだけで、
案外そんな単純な理由でしかない。
やったらやっただけ上手くなるし、
やらなきゃやらないだけ下手になる。
これは単にラップスキルだけでは無くて。
本当に僅かでも上手くなってる実感を得れた時っていうのは、
結構何にも替え難いぐらい楽しい。
未だに楽しくて仕方がないのは不思議だ。
もう一点は、よく「弱者目線のリリック」
みたいに言ってくれる人がいるが、
それはちょっと間違っている。
俺が思う弱者というのは、強い者に弱く、
弱い者に強い人間の事だから、
もし弱者目線で俺がリリックを書くのであれば、
めちゃくちゃHypeな歌詞を書くと思う。
なので、俺は歌詞を投げかける対象を弱者とは思っていないし、弱ってる人に対して書く事はあるけれど、弱っているイコール弱いではない。
というかあまり聴く人に対して強い弱いは重視していない。
もし求める事があるなら、優しくあって欲しいとは思う。
ここ最近の変化で言えば、
リリックでも言っているが、
あまり歌詞を聴かなくなった。
それだけ聞くとちょっと意味が分からないと思うが、
正確には意識して拾っていない、というのが近い。
だからその曲の中で
「ただたまに入り込んで来る言葉はある。不思議なのは重要な曲は鳥肌が止まらない」
と言っているが、今まで音楽は耳で聴くものだとなんとなく思っていたのだが、
多分目で聴いてる人もいるし、耳で聴いている人もいる。
それで俺は今は肌で聴く様にしている。
言語関係なく鳥肌が立つかどうか。
例えばRay CharlesのGeogia on my mindや、
Otis ReddingのThe Dock Of The Bayを聴くと、
なぜか湘南の海を思い起こさせるし、
ジョージア出身でも無ければリリックも細かくは分からなくてもなんとなく故郷を思わせてくれる、その事実だけで俺は充分感動する。
この世界はクソだ、くたばれ!みたいな曲聴いて何故かやる気が出る時もある。
あとは例えば日本語の歌詞も聴いていないと言えば聴いていないんだけど、
日本語として聴いてないだけで、
当然その中でも耳に無理矢理ねじ込んで来る様な強烈なフレーズがある曲はある。
そういった曲は完全に自分の意思では不可避で、
文字通り避けるのは無理。
メロディーにしてもそう。
そういうのだけ拾えれば良いかなとは思っている。
あとは今回のアルバムで気付いた人がいるかは分からないが、
今までとは声のトーンを全体的に変えている。
というか使い分けている。
これは多分8枚目のアルバムを作っている時に気付いたのだが、
俺が思う優れたMCというのは、
裏声とか明らかに変えた声色を除いて、
大体5種類ぐらい声質を持っていて、使い分けている。
それは本人が気付く程度の違い
ぐらい些細な事なのだけど、
これを使い分けられたらかなり表現の幅は広がると思った。
だから今回のミッションとしてはエフェクトとかではなく、人力で何種類使い分けれるか、
そしてそれをパンチイン無しでやれるか、というのは一人でひたすら取り組んでいた。
結果的に4種類ぐらいは使い分けれる様になった。
多分これは自分でしか分からない程度なんだけど、
聴いた人が感じるとしたら「なんか元気」とか
「なんか悲しそう」とか、
それぐらいだと思う。
でもそれぐらいのそれが個人的に凄く大事で、
意外と歌の根本なんじゃないかな、とは思っている。
だから今回パンチインは一度も使っていないし、
本当に細かい所はミックスで処理して貰っているが、
出来るだけ人力でピッチを目掛けた所にビタビタに合わせるというのは意識した。
ドラム一つとっても乗せる箇所って結構広くて、
本当グリッドで見たら1ミリ2ミリの差でも、
一曲にするとかなり変わる。
昔お世話になってたレーベルの社長が
「フリースタイルのラッパーは基本的にビートを聴いてからスピットするから割とビートに対して後ろに乗せるんだけど、書くタイプのラッパーは割とジャストで乗せる」
みたいに言っていたのはずっと覚えていて、
今はその辺を色々と使い分けてる。
勿論もう完全にモノにしてる訳じゃ無いが、
今俺が考えてる事を実現出来る様になれば、
かなり武器になると思う。
最後の曲に関しては例外で、
経緯はZINEを読んで欲しいんだけど、
CD作るってなった時に、
昔のアルバムって、
終わったあとに無音が何分も続いて一曲入ってるのあったよね、という話になって、
あれワクワクしたな、やりたいなと。
確かDragon AshのアルバムにHot Cakeってシークレットトラックがあって、
それがめちゃくちゃ良い曲で...とかあった気がする。
まあCD出すならそれは今までやってなかったから、やったって感じかな。
あと個人的にだけどやっぱアルバムは45分〜1時間ぐらいが落ち着く。
35分ぐらいがスタンダードな今何言ってんだって感じだけど。
まあでもこの曲は良い悪いとかの次元じゃないというか。
今回のアルバム通してそうなんだけど、
もうあんまり良い悪いとかじゃ無い気がしてる。
まあ良い方がいいけど。
リスナーが決めれば良いと思う。
あと最後に、制作中に思い出したんだけど、
今はもういない友達と昔よく「ぜってー分からせてやる」って口癖みたいに言ってたなと。
「分かって貰う」とかじゃなくて「分からせてやる」。
笑わせてんのか、笑われてんのか、にも近いけど、
自分に対して「お前わかって頂こうとか思ってなかったか?」というのは思った。
前述した耳にねじ込んで来る様なフレーズって、
俺にとってはそういう気のもんなんじゃないかなって。
正解は無いし、だからこそ面白くもあるんだけど。
そこはブラしたくない。
まあ長くなったけど、基本的に全て曲で言ってる通りなので、アルバム聴いて貰えばなんとなく分かると思う。
短命なものでは無いと思うから、是非楽しんで。
じゃあまた。
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