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Pigeondust×HAIIRO DE ROSSI対談
HAIIRO DE ROSSI NEW ALBUM "Alternative"リリース記念対談
2024年7月17日
HAIIRO DE ROSSI - Alternative
HAIIRO DE ROSSI(以下H)
お疲れ様ですー。対談って何気に初めてだよね。
Pigeondust(以下P)
緊張するな。曲作る時はいつもめちゃくちゃ話すのにね。笑
H
確かに。笑
P
なんなら今朝も次の曲の話をしてた。アルバムもまだ出ていないのに!
H
確かに。笑
ハトって海外で知られてて日本であまり情報出てこなかったりするから、
結構俺は知ってるけど…みたいな内容も聞いていくね。
作曲自体はいつ頃から始めたの?
P
作曲は小学生くらいだな。
中学生の時にYAMAHAのサンプラーを買って曲を作ったりもしてたよ。
H
相当早いよね。みんなゲームとかしてる段階よね。
なんか音楽に行くきっかけみたいなのあったの?
P
ゲームもしてたけど両親も家系がみんな音楽好きばっかりだから色んな音楽を聴いてたよ。
でもそれもあって親が聴いてる音楽はダサいと思ってテクノとかばっかり好んで聴いていたかな。
母親はウータンクランとかも聴いていた。
H
へえー、それ初耳。
ハトの母ちゃん結構アドバイスくれるよね、実は。
しかも的を得てるっていう。笑
じゃあ最初に作り出したのもテクノとかだった?
P
母親は昔からヒップホップ、今は言わないけど当時で言うブラコン(ブラックコンテンポラリー)が好きだったし今でもケンドリックとか聴いてるよ。
俺よりずっとまともにヒップホップ聴いてるんじゃないかな。笑
本当に最初に作った曲は結構鮮明に覚えてるけどハウス~テクノだったね!
小学生の担任に「あなたは小室哲哉になりなさい」って言われたよ。
ざっくりしすぎてるけど。
H
へえー、その先生いいな。
じゃあもう小学生の時点でちゃんと曲にはなってたんだな。凄い。
P
CDもある、この前の頃はMDだった。
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H
おーすげー!
ちなみにこの頃から音楽やっていくんだろーなみたいなのは思ってたの?
P
全くないね。ただ遊んでる延長だった。
でもそれは今も続いていて、アーティストになろうみたいな感覚が全然ない。
ただ、昔からすると今のほうが、視聴者がいることを意識するようになった。笑
子供の頃の曲は本当に、聴きたい音を並べただけみたいなやつだった。
H
おー、なんか妙に分かるというか納得してしまった。
でもハトの感じを知らない人は意外かもな。
P
最近はもっぱら表舞台にはでなくなったし、音源だけしか知らない人の方が今は多いかもな。
H
出会いはJAPANESE HIPHOP GOSSIPっていうXのアカウントが書いてくれてたから飛ばすけど、あれマジな話で、結構衝撃だったんだよな。
あの頃から海外からの反応は結構あった?
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P
結構海外のフォーラム(掲示板)でインターネット交流をしてたから、そっちの音楽仲間が多かったのもあるね。
myspaceのころなんかは特に、英語のメッセージでいろんなアーティストとやりとりをしていたよ。
...でも今instagramを振り返ってみたけど、その比は変わってないな。笑
H
なんか結構いろんな国の人とやりとりしてるよね。直近だとオランダのレーベルからテープ出してたり。
H
海外のラッパーと曲作ったりはしてた?
P
高校生のときはTFDというシカゴのクルーにはいっていたので、
MUSHレーベル周りの人と暗ーい曲はよく作っていたよ。
そのあとは頼まれたら作ってりしていたけど最近はしていないかな。
H
それ初耳だな。いくつぐらいの時期?
P
2005年くらいかな。当時とはもうスタイルが違うし本当に前だね。
H
そうだね、俺らも出会う前だね。
P
ハイイロさんの2枚目のアルバムで一緒に作ったBlue Dustって曲が当時の自分の楽曲の雰囲気にかなり近いかもしれない。
当時は他人と違う事をしないといけないみたいな気持ちに振り回されていた気がする。笑
H
あー、でもなんか振り回されてたというか溢れ出てた感はあるけどね。
変な感覚だけど音に匂いがしたんだよ。
P
自分ではよくわからないけど、音の色が見える人からカラフルな音だとは昔からよく言われていたかも。
H
そうそう、前に個人的に話したけど、俺も共感覚あるから、ハトって色んな色を持ってるんだよね。
P
その能力はうらやましいな。俺にはわからないから。
今回のアルバムは振り返ってみてどうかな。
色とか、そういうところで。
H
今回は凄く丁寧だと思う。色で言うと淡いんだけど、決して薄い訳じゃない。
なんていうか今までがキャンバスに描いてたとしたら和紙に色塗ってる感じ。
めちゃくちゃ抽象的だけど。笑
P
そういう意味ではかなりテクニックとかスキルをコントロールした作品だったかもしれないな。
前作はもうやるだけやる感じで突っ込んで行ったけど。
今回は結構丁寧に出来ることをやっていった気がする。
もちろん力量内でやるわけではなくて、かなりチャレンジがあったけどそれも含めて。
H
それは多分お互いそうだよね。俺も過去一丁寧に作ったと思う。
P
恐らくリスナーの人も気付くと思うけど、今回のアルバムを通して聴いて、
過去の、例えば5年前くらいの作品を聴き比べてもらえればすぐにわかるかもしれないすね。
H
そうだね。2017か18に再会してやり出した頃とか、本当に懐かしい。
ここ暫くずっとエグゼクティヴプロデューサーなり
全曲プロデュースなりで関わって、一番俺が変化したとこって何処だと思う?
P
言葉の扱いがすごく丁寧になったよね。
本当の昔会った時はけっこう詰め込む感じで。
当時のラップのシーンのスタイルとか、若さゆえというのもあったと思うけど。
それからしばらくして再会した2018年ごろは、ハイイロさんらしさはもちろん残っていたけど結構言葉の扱いが煩雑だった。
それはどの言葉を選ぶとか、どこにどのように言葉を配置するとかで。
今回は特に、一つのリリックでフロウを変えて録り直したりするテイクも何回かあったと思うけど、
視聴者にどれが一番聴きやすいかとかそういったことも考慮していたのは本当に最近かなり変わったんじゃないかと思う。
H
確かに。それはこれ読んでる人に説明しとくと、今回ハトがかなりディレクションしてくれて、内容は勿論なんだけど、発音や、「このバースのこの部分の言い方変えた方が良くなる」とか、かなり具体的に。
それが個人的にめちゃくちゃデカくて、やってみると本当に良くなるから、書いたバース消したりはそこまで辛くなかったというか、楽しさの方が上回ってたんだよね。
P
レコーディングしてから聴きなおす回数とか増えた?
H
めっちゃ増えた。
ラフミックスもしてない、録りたての状態で良くなかったらボツにしてた。
P
ある意味回数をこなすうちに、
作った音をその場で客観的に判断できるようになるスピードは断然に上がったかもしれないな。
H
あー、確かに。
その判断のスピードはお互いすげー早いかも。
ちなみにハト的に今回のアルバムで一番気に入ってる曲とトラックはそれぞれどれ?
同じでも良いけど。
P
トラックはNENEさんとやったやつ(Women feat.NENE)が一番好きだな。
このピアノのループは見つけたときに結構うれしかった。
同列でThe Voice Of The Voicelessのピアノも好き。
H
中盤の2曲ね。良いよね。
P
そうそう。
でも曲としては最後のほうの並びが好きで、
最後の3曲を選ぶのが結構難しいけど、一番最後が一番好きかな。
H
一番最後の曲、多分一番苦労したよね。笑
P
かなり大事な曲だからここは大事なところだったと思う。
H
俺が気負い過ぎて最初めっちゃ重かったんだよなーラップが。笑
P
そうそう。めちゃくちゃ説教してるみたいなトーンで、アルバムの最後に爆弾級に重い曲になってた。
結構気負ってたところは最初あったよね。
H
確かに。笑
P
ニュアンスをかえて録り直した後は、3曲続けて綺麗に終わっていくような流れになって個人的にすごい好きな曲になったな。
単曲として好きというよりアルバムの流れをもってここにこの曲が配置してあるのが好きっていう感じもする。
ハイイロさん的にいちばん思い入れがある曲はどれでした?
H
好きなのは50 Years Old。
これは多分何年後に聴いても直す箇所がない。
思い入れはやっぱり最後の曲(Watching Over You)。
というのも、最後の曲ってHAIIRO DE ROSSIというか人間の俺の言いたい事をそのまま歌ったから、特に分けてる訳ではないんだけど、凄く近く感じるんだよね。
P
ある意味かなり等身大のアルバムなのかもしれないすね!
H
それはあるね。
なんか意固地になってないというか。
でもBelieve Itを曲順変更したのはファインプレーだったね。
あれでかなり作品として聴きやすくなった。
P
個人的にDJとして曲をかけるならこの順番かなと思って!
皆にも気に入ってもらえればいいな。
H
ね。通しで聴いて欲しい。
ハトは前作のフルプロデュースから今作で意識して変えた点ってある?
P
正直なところここ数年はプロデュースしないといけないんだと気負っていた部分があるからあまり自分らしくないことも結構やっていた気がするんだけど、今作は遊んじゃおうと思って好きな事を結構やらせてもらったと思う。
これは信頼関係ならではなんじゃないかなと思っていて。
ある意味意識をして普通の音を作った結果みたいなところもあるので、気付く人がいるかどうか気になるな。
あとは、前回のアルバムが出てから今回のアルバムを作るまでの間、結構色々な国を旅していたんだけど、
それぞれの国で出会った曲で、「あーこれハイイロさんに合いそうだな」って思っていた音を結構貯めていて、それを一気に出した感じがある。
そういう意味では色々な国の曲がサンプリングされてる。笑
H
おー、それは嬉しいね。
なんかホント色んな国行ってたもんなー。
P
ドイツにも結構行った。
このアルバムはドイツのジャズ使っているけど、
ここ最近ECMよりの音にもフィットしてきたのも面白い変化ですよね。
H
そう、それ聞きたかったんだけど、前作の途中あたりで「ハイイロさんヨーロッパのジャズの方が合うかも」って言われたの覚えてて、それって何でそう感じたの?
P
結構ハイイロさんのラップにはよくジャズについての言及が多いけど、エネルギッシュなバップのイメージより、ドイツ的な間を大事にするコンテンポラリージャズ的なジャズさを感じることが多かったからかな。
もちろんUSのジャズに間がないなんてことは言っていないけど、どちらかというとのイメージの話で。
H
あーなるほど。
それで気付いたけど今作結構"間"は意識したかも。
実はボーカル、今回パンチインを一回もしてないんだよね。
自然にフルで歌える様にってのは考えてた。
P
なるほど。今改めてアルバム聴きながら話してたけど、
その辺に音楽的な余裕を感じたのかもしれない。
H
色んな人に聴いて欲しいね。
色んな人って言葉では表しきれないけど。
ちなみにハトはソロの予定は?
P
オフィシャルにはまだ曲ができていないから発表できないけどEPを用意している。今年1枚出せればいいなと思っていて、4曲入りのEPを出したい。
H
おー!
P
あと関係ないけどいろんなラッパーの人とやってみたいなという気持ちもちょっとあるけど、まだ出会いがないからそれはいつになるか謎かな。笑
H
楽しみだなー。
まあなんか今作、全力出したから気持ちいいんだけど、多分この対談あがる頃にはまた作ってるんだろうね。
P
昨日の朝思いついた曲も作らないとな。
H
そうそう、昨日夢で俺の次の曲聴いたってLINE来て笑
どんなトラックなのか楽しみ。
Pigeondust Spotify
Pigeondust Apple Music
HAIIRO DE ROSSI Spotify
HAIIRO DE ROSSI Apple Music
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HAIIRO DE ROSSI Profile
1986年神奈川県産まれ。 2008年にアルバム「True BIues」でデビュー。 数枚のシングル、EP、アナログの発売を経て2nd.アルバム「SAME SAME BUT DIFFERENT」の発売を機に独立。 インディペンデントレーベル「forte」を立ち上げる。 そのレーベル名を冠した3rd.アルバム「forte」がスマッシュヒット。 その後一時の活動休止などを経たが、復帰後もコンスタントに作品を発表。 特に7th.アルバムにして初のセルフタイトルアルバム「HAIIRO DE ROSSI」以降、盟友でもありプロデューサー兼DJのPigeondustや、数多くの腕利きのアーティストのサポートもあり、HAIIRO DE ROSSI自身のバックグラウンドであるJAZZ、そしてコンシャスラップと呼ばれるそのラップに磨きをかけ、JAZZ RAPと CONSCIOUS RAPの代表的な存在となっている。
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Pigeondust Profile
90年代からヒップホップを中心に様々なスタイルの楽曲プロデュースをはじめ、00年代は米LAのMUSHなど海外のアンダーグラウンドレーベルのラッパー達にトラック提供を行う。 ヒップホップ専門のアーティスト名義、Pigeondust(ピジョンダスト)として、 2011年に米USの大御所ラッパー、Sadat X(ブランドヌビアン)やZerohを迎えたデビュー・アルバム「Eastbound Ticket」をリリース。 国内ではHaiiro de Rossiを筆頭にDaokoなど新世代ラッパーのプロデュースや、ICE DYNASTY G.Oのリミックスなど、世代を超えた様々な作品を手がけた。 その後、米LAのヒップホップレーベル、ColdBustedと契約し、2枚のフルアルバムをリリースしている。 国内屈指の音楽コレクターであり、国内ではDJ Pigeon名義でDJやライター業、クラブミュージックの楽曲制作なども行っている。 近年では、台湾やトルコなど様々な国のカセットテープを用いたカセットテープDJや、ディスクガイド「シティ・ソウルディスクガイド2」(2020)などへの執筆も行っている。 また、国外ではオランダ・アムステルダムのEchobox RadioへのDJのミックス提供や、オランダ・ロッテルダムのクラブミュージックレーベル、 Infinite Pleasureのコンピレーション「ABUNDANCE VOL.1」(2021)へ2曲ほど楽曲を提供している。
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