理想の死に方
理想を言えば、暑くもない寒くもない香珠子の海で、服を着たままずーっと沖までゆっくり歩いていく中で溶けるように死にたい
ずっと海底に足がついた状態で、静かに歩いていって、一歩前に進むたびに巻きあがる砂と一緒に身体が消えていって欲しい
欲を言えば、身体が全部なくなった後は少しだけ大きな波が起きて、誰もいないビーチに波音が響いて終わりになって欲しい
波と一緒にこれまで出会った全ての人の記憶から消えたい
とは思います
思いますけど、現実はそうもいかないです
昔、友人だと思っている人に「もしも生まれたことがなかったことになるとしたら、したい?」と聞いたら「誰だってそう思うけど、そんなの無理じゃん」と言われたことをずっと思ってます
誰だってそう思うんだと思ったのと、断言できる生き方を歩んできたことを羨ましく思ったからです
多分、そんなの無理なんですよね
時間は巻き戻らないし、死んだ人は生き返らなくて、生まれたことは無かったことにならないんです
でも、多分とつけてしまいます
もしかしたら不可能ではないのかも、と思う感情だけが長生きする秘訣だと思っています
生と死だけではなくてあらゆることに対して
信じているものは救われるわけではないですが、人生は良いものだと思いたいから
きっと何でもおきるし、何でもできるんだって自分に言い聞かせてしまいます
春が来たくらいから春が来て欲しいなと思って、そろそろ半年が経とうとしています
春に最も遠い季節は冬ではなくて夏だというのが皮肉ですけど、夏ってそれでも手放し難いですね
夏みたいな人達と花火がしたかったです
同い年くらいの家庭を持ってない人は全員、致死量のアルコールを家に置いています
火事が起きた時に何も残らないように、ということだと人は言っていましたが、酔っていないと生きられないからではないかと僕は思っています
僕はすぐ死ぬので、致死量が少なくて助かっていますが、それでも家にお酒はあります
長生きしたいから、お酒はほどほどにしたいですし、周りの人もそうだといいなと思います
欲まみれですね
そろそろ眠ります
おやすみなさい
おやすみなさい
では、また