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[考察]「から」と「で」の使い分け

生徒から、質問のメッセージが届きました。


「駅( )電車にのって…」の( )に入るのは、
「で」と「から」、どっちが正しいですか?

皆さんならなんと答えますか?

私は、もちろん「どちらでも良い」とまずは答えました。
でもこの「どちらでも良い」は、外国人にとって、じゃあどうしたらいいんだ、とかえって頭を悩ませてしまう答えですよね。
なので「どちらかというと、『から』の方が無難だ」と続けました。

たとえば、口語としては、「駅で」の方が一文字短いし無意識にそう言っている気もします。
ですが、書き言葉を読むとき「えきででんしゃ」と、意識して言うと「で」が続くことが気になります。
しかしはたして滑舌的問題なだけなのでしょうか。

例えば。

駅<で>なにをしましたか?
という問題への答えは、
「ジュースを買いました」
「きっぷを買いました」
「電話をかけました」
「電車に乗りました」

その場所でしたことにフォーカスが当たっている感じです。
すべて並列しているかんじです。
駅っていろいろできるね!みたいな。
そして、「場所<から>なにをしましたか」という質問はなんだかヘンです。なぜヘンなのでしょうか。
「から」と「なにを」が合わないのでしょうか。
でもたとえば「場所<から>なにを盗みましたか」だったら全然ヘンじゃないです。


では、場所<から>どうやってきましたか?
という質問であればどうでしょう。

電車に乗って、バスで、飛行機で、歩いて。
ですね。

「そりゃ、移動方法を聞いているんだからそうだろう」と思うかもしれませんが、言いたいのは、「から」自体にすでに、移動のニュアンスがあるのではないか、というところです。
つまり「から」を使うと、移動はマスト、移動は前提、な文になるんじゃないでしょうか。
だから、「駅からなにをしましたか」は移動が入っていないのでヘンで、「駅からなにを盗みましたか」は、物の移動について聞いているからヘンじゃないのではないでしょうか。

だから、そこでなにをしたのかが重要な話題では、「駅で電車に乗って」がいい気がしますし、移動の話題なのであれば「駅から電車に乗って」がぴったりな気がします。
ただ、「乗って」と「て形」を使用しているということは、その次にまた動詞が来るニュアンスがありますね。
そうなると、「から」の方がやっぱりいい気がします。

「それで駅で電車に乗って~アツシに偶然!え、マジでアツシなんだけどやば、え、いまなにしてんのって~…」というバリ口語すぎ口語なのであれば、「て」が適切だと思うので、一概にはいえませんが、たとえば文学的な文章で「で」+て形だと、
「駅で電車に乗って、揺れる車内で、家はとても遠く感じた」
よりも、
「駅で電車に乗った。揺れる車内、家はとても遠く感じた」
といったん「た」で文を切って動詞を続けないほうがそれっぽく、かっこいいです。好みの問題かもしれませんが、駅で電車に乗ったことが流れて行かず、重たい出来事に感じます。

一方、「から」+て形はどうでしょうか。
「乗って行きました」「乗って次の駅で降りたんです」「電車に乗って、海に出て、そしたらクラゲだらけで刺されちゃって…」なんて、動詞から動詞へ、どんどん移りかわる動きのイメージです。

なので、私はこの場合、「から」がふさわしいんじゃないかなぁ、と、思うわけなのですが、どうでしょうか。

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