【連載】~キッチンとホールの主導権~
いつもご覧いただきありがとうございます。
宜しければ、ご興味のある方はこちらも併せてどうぞ!
僕について自己紹介を最初に投稿しました。
随時更新する予定です。
ー調理場とホール(接客)の主導権闘争ー
今回は、時代と共に店舗スタッフのイニシアチブを握る存在が変化していったことに注目していきます。
僕の入った当時の雰囲気は、手に職を付けたまさしく「職人」さんが、己のプライドを掛け、精魂込めてお客様の心に響く料理をお出しする。
そのことに、今も昔も変わりはしませんが。
ある意味で昔気質のイメージ通り。
頑固で気が強くて、「早く持ってけ」「冷めちまうだろうが」の世界だったようです。
僕が最初に配属になったお店は、店長も料理長もイケイケな、良くも悪くもすべてのスタッフに余計なほどの圧力のあるお店でした。
店長は
「お客様の為に」「お客様がもっとこうして欲しいと望んでいる」
「お客様がこう仰っている」
というお客様との架け橋を担います。
時に、キッチンの忙しい時間帯を無視した難題に対して、料理長は
「あぁ!?」「はいよ~っ!」「やってやるよ!」「ばっち来い!」
という。活気。
しかし、これも店長がそういった職人気質な方々に認められていればこそ。
専門的な知識が必要な場合もあり、店長が変わったり、経験が少なかったりすれば、マウントを取ってしまうパターンも多々ありました。
僕達、調理人は、基本的に閉ざされた内輪で仕事をするのが主です。
オーダーを受け、美味しい料理を出し、ホールスタッフに配膳をお願いし、感動してもらう。
実はこれしかできません。
ここまでに、すべてを注ぎ込むのです。
逆に、ホールスタッフは内輪ではできない仕事です。
お客様の先の行動を読み、お気持ちを汲み取り、声にならないクレームを発見、処理し、お客様の要望やどうしたらもっと喜んでいただけるか。を伝達し、お客様にパフォーマンスをするのです。
そのパフォーマンスのアイテムの一つとして料理があるだけで、お客様の感動を大きく深くするには他にも沢山の機会やタイミングがあります。
昔気質な教育で育ってきた僕も、いつからか、やはりその様な
「ホールスタッフあってこその調理」
という心持ちで仕事をするようになりました。
昨今では、美味しい料理、文句のない料理は出てきて当然です。
他店と差をつけるのは付加価値の部分である場合が多くあります。
どちらかといえば、居心地、店員さんとのコミュニケーションの方が、調理担当としても、客としてお店に訪問しても、それらが大事なのではないか。と、考えるようになりました。
勿論この考えは、お客様側の年齢や利用機会の多さで変わってはきますが。
ー無茶振りをする店長や上司ー
「メニューにないもの」「お客様のご要望です」
そう言われると、興奮し燃える様な体質に育った僕は、いつしかそれすらも楽しんで勉強させてもらえる。という意識が芽生え始めました。
その要望に応えらえない状況は作りたくなく、どうしても手が離せない状況の時でも、お時間を頂けるか確認をしてもらい、なるべく対応できるようにしてきました。
社内の他店舗で、そば居酒屋のお店、ビストロと冠したお店。
多ジャンルで経験させて頂いたからこそ、料理のジャンル問わずという対応の引き出しを増やせたのかも知れません。
が、それでもやはり素人に毛が生えたようなものを出しては行けません。
それに応えられてこそ、ようやく店長やホールスタッフ、ひいては後輩達に胸を張れるような状況になると思います。
成長に時間はかかった方だと、自覚はしていますが。
そうして、仲間たちと多様性のある料理人になろうとしてきました。
ーまとめー
・時に料理人というプライドはいらない
・仲間と共闘して、チームとしてお客様に満足して頂ける組織を目指す
こんなこともありました!
キッチンを出てホールスタッフの気持ちや上司、先輩方の仕事を客観的に見せて頂くのも「勉強になるなぁ」と感じるシーンでした。
少人数で複数業務をこなせるマルチプレイヤーばかりのお店は、お互いを思いやる気持ちであったり、人件費の削減に繋がります。
勿論その逆(ホール→キッチンへ)もいい経験になります。
本日は以上になります。
多様な業態がありますが、職を極めることと同時に、広い視野を持って少しずつ他のポジションの仕事を把握していけたら強くなれますよね!
また次回の投稿を、よろしくお願いします!
ご拝読ありがとうございました!