まず初めに
お母さんが発する言葉がいかに子供に影響するかを
、非行少年を長年心理分析してきた著者が
わかりやすく短時間で読める内容で活字にしてくれている
良書なので全ての母親にお勧めしたい。
ここからは個人的な観点からの要約や引用や感想を書きます。
「良かれと思って」
親は子供のためを思って励ますつもりで「頑張って」と言う。それが重圧になることがある。親から見る視点ではなく子供がどう感じているかの主観的事実が大切で、ほんのわずかな子供のサインを親はしっかり観察することによって間違った言葉かけを防ぐことができる。
一方的に自分の育て方が正しいと思い込んでいる親は、少年院に子供が送られて、法務官(少年院の子供たちの先生)に考え方の変更を勧められても聞く耳を持つどこか、「私はちゃんとやってます!」とキレる親が多いという。
観察以外にも大切なことは、言動に一貫性を持ち、夫婦で考え方をすり合わせて子供の信じてもらえる親になることなのだそうだ。
「みんなと仲良く」
事例 窃盗 仲間と共謀し書店で雑誌26冊を盗み取った。
この少年は両親から「みんなと仲良くしなさい」と言われ続け自己主張ができずにストレスを溜めていた。
人に合わせることは得意でも、人を批判的に見ることができず、悪いことだからやめておこうという判断ができなかった。
短所をひっくり返せば長所になる
「早くしなさい」が先を読む力を破壊する
事例 業務上横領 勤務する会社の金約300万円を自己の銀行口座へ振り込んで横領
内観療法
自分で自分のことを決めるのがなぜ難しいのか
柔軟な思考力を身につけるためには
バリエーション豊かな先読みができるようになるには多くの事例を知ること、さまざまな体験をすること、本を読むことで事例を増やしていくことができるとのこと
問題を起こす彼らは経験の幅が少なく、狭い世界に生きているとのこと
「頑張りなさい」が意欲を破壊する
事例 大麻取締法違反 宿泊先ホテルにて大麻を数回使用
ナオトは母親から「頑張って」と繰り返し言われていたが否定的な言葉をしてとらえていた。頑張れないお前はだめだ、もっとやる気を出さないとダメだと言われている気がしていた。
「何度言ったらわかるの」が自己肯定感を破壊する
事例 援助交際 不特定多数の男性と性交渉し、合計約15万円をもらった
ヒトミは極端に自身がなく、自分が承認された感覚を持つために援助交際に走ってしましました。
略
ヒトミは母親から常に誰かと比較され、暗に否定されてきました。「誰々と比べてお前は劣っている、だからダメだ」と言われ続けたようなものです。自己肯定感が低くなるのも同然です。
何度言ったら、の背景にある思い込みに気づく
「勉強しなさい」が信頼関係を破壊する
事例 殺人未遂 自宅にて父親および母親を射殺しようとした
コウジを苦しめていたのは医院を継いでほしい、そのためにいい成績をとってほしいという親からの期待です。
いい子が重罪を犯す例は現実に起こっています。
過度の期待がそこまで追い込むことがある。
「気をつけて!」が共感性を破壊する
事例 投資詐欺 複数の高齢者に対し、架空の出資を促し、およそ500万円を受け取った。
うまい話しに乗る方がどうかしている、と話し被害者の気持ちを想像するのが難しいのもあり、内省が深まらなかった。
彼女の心配性の祖母が何でも先回りして失敗させないように動き、子供だけで遊ぶことを禁じていたために共感性が育つ機会が奪われていた。
こどもを伸ばす親の愛情
著者の父親は教師だったそうです。
口癖のように言っていたのは、
「子供は思っていることの1%も口に出せない。だから保護者や教師は常に子供を観察して、何か異変が起きていないか確認することが大切」ということだそうです。
このような父親に育てられたからこそ、杓子定規に理論を振り回すことではではなく、犯罪者や非行少年と愛を持って面接し、心理分析ができたのではないかと推測します。
また転勤の多い著者には双子のお嬢さんがいらっしゃるそうで、転校も多くなるわけで家族会議で難所を超えてきたとのこと。その中で模造紙をテーブルに広げて問題点などを書いて会議をする工夫が素晴らしいと思いました。
私自身の反省点
良かれと思って、と母に言われてその矛盾と本音に小さい時から気づいていた私は、少なくとも良かれと思ってと言う言葉を子供たちに発したことはありませんでした。
そしてみんなと仲良く、早くしなさい、頑張りなさい、勉強しなさい、も言わない母親でした。
気をつけては言いましたが、4、5歳の時から自転車で遠出をすることを許したり、電車に子供だけで乗らせたり、など
危ないと思うことも経験させていました。
その結果、ろくに英語も話せないのに娘たちが20代の時に個人旅行でアメリカにいる友達を訪ねたりする勇気を持つようになりました。
失敗は、父親の暴言を止めなかったこと。
自力で対抗する力をつけさせようとして
小さい方の娘を庇ってやることがなかったこと。
どちらかと言えば放任に近く、細かい観察が足りなかったこと。
特に上の子供に気を取られて下の子供を放置しすぎたこと。
夫婦の問題から登校拒否を起こさせてしまい、人生の計画を狂わせてしまったこと。
ある信条から食事などの影響を与えてしまったこと。
突然思い切った行動を取ることで家族を振り回したこと。
自分が傷ついた経験から子供に同じ思いはさせたくないと固く心に誓って子育てをしたのに、結局傷つけることになったことは後悔しても後悔しきれない。
贖罪のつもりで過ごしてきたけれど、70歳を目前にしている今は残り少ない?人生を自分らしく生きたいと願って
ある意味母親業から卒業させてもらいました。
(130まで生きるならまだ半分ですけどw)
私の背中を見て何かを感じ取ってもらえたらいいなと今は思います。
子供を呪う言葉祝う言葉