母たちの飲み会

自主保育のフィールドワークで知り合った母からたまに飲み会に誘ってもらうことがある。いわゆる”飲みュ二ケーション”は苦手なのだが、母たちの飲み会は喜んで参加する。そこには普通の飲み会では見られない光景があって母たちのたくましさを感じられるからだ。

たとえば、子ども(乳幼児)連れでの合宿の夜に行われる飲み会。子どもを寝かしつけた後行われるのだが、開始予定時刻になっても当の母たちが集まらないことがある。なぜかというと子どもを寝かしつけている間に自分も眠りに落ちてしまうからだ。そのまま朝まで寝てしまう母もいるが、多くの母は1、2時間遅れで起きてくる。集まった人で乾杯し飲み会が始まる。飲み始めたら子どものことを忘れてしまうわけではない。子どもが泣いたらすぐに駆け付けられるように、子どもが寝ている部屋と飲み会会場を電話でつなぐ。実際一晩でなんども呼び出しがかかる。その都度泣いた子の母は寝室に戻り、寝かしつけた後戻ってくる。そこまでしてと思う人もいるかもしれないが、私はそこにたくましさを感じる。子育てをしていると、子どものことと自分のことのバランスをうまくとっていくことが必要になる。子どものことを優先的にしつつも自分のやりたいことを実現していく。その絶妙なバランスが飲み会の場に現れているように思うのだ。

話の内容は子どもやパートナーの話がほとんどだ。母たちの中にはなかなかの酒豪もいるのだが、酔っ払いながら(時に深夜に)子育てについて熱く語る姿を最初に見たときは感動を覚えた。ある母が最近の悩みについて(時に涙ながらに)語りだすと、他の母たちから過去や最近のその子の様子などあれこれ語られる。安易に共感するのでもなく、答えを決めつけてアドバイスするのでもない。語り手の母の気持ちに寄り添いつつ、自分の子どもだけではなく他の子どもたちの育ちもしっかりみているから、どんな子にもその子どもなりの育ち方があることをわかっているのだ。

飲み会は明け方まで続くときもあるし、早々と解散のときもある。終了となったあとの片付けの手際のよさも私の感動ポイントだ。残り物の始末やゴミの処理あど見事な連係プレイであっという間にきれいになる。そして子どもが待つ布団に戻っていく。

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