加速する時代 (2009.6.5著)
会社勤めから帰宅した長女が
「今日初めてハイブリッド車を運転したー」
と話した。ハイブリッド車とは2つ以上の動力源を持つ自動車のことで、ガソリンで動くエンジンと電気で動くモーターを搭載した車である。聞くと会社の営業車らしい。ちょっとだけ運転させてもらったとのこと。
「えーすごい! それでどんなだった?」
と私の方が興奮ぎみに問う。 テレビのニュースで電気自動車は見たことがあったが、もうこんなに身近に利用されているとは思わなかった。
エンジンスタートはボタンを押すとのこと。音がしないので変な感じだったとか。フロントのいろんな計器板が動いて明かりが付くので、それでエンジンがかかったと解るみたいだ。動きだしたら今までと変わらないようであるが、とにかく静からしい。スタートする時などエンジン音がない為、もし人が近くに居たら危ないんじゃないかと思うよとも言った。その後まもなく今度は一人で乗って運転したらしい。
コンビニ大手のローソンは、2009年度、東京と大阪で業務用車両に電気自動車を導入し、店舗への充電器の設置を推進していくと発表した。将来のインフラとして見据えているようである。
世の中がどんどん変わって行く。私たちが子供の頃まだ何も無かった時代に描かれた手塚治虫の鉄腕アトムの漫画に、未来のつまり今の時代の様子が見て取れるという。想像でしかなかった科学技術の進歩が、あの頃からたった半世紀の間にこんなにも実現してしまっているなんて驚きである。今のような携帯電話はアトムの漫画にも描かれてなかったようで、その意味ある分野においては想像以上の変わり様なのかもしれない。
オーソレ・ミオー♪ (=私の太陽)と、最も愛する人の事を歌ったように、太陽は憧れ・崇拝の代表格であり、人はお日様が大好きであった。それが今や紫外線がどうのこうのと言って、お日様はかわいそうなほどに嫌われ者になってしまった感がある。UV製品が出回り女性は夏に肌を極力露出しなくなった。赤ちゃんの日光浴もあまりさせないようになった。昔良かったことが今は悪いとされる。常識が変わっていく。
しかし人間は科学技術によって、近年その太陽エネルギーを石油に代わっておおいに役立てようとしている。あの強力な太陽の熱を電気に換えるソーラーシステムを本格的に取り入れ始めて来ている。埋蔵量が少なくなってきたと言われ、また燃やすと自然環境に負荷の大きい石油エネルギーから太陽エネルギーへと時代は進んで行くのであろうか。 あと何十年かを生きるとして、その間の移り変わりをこの目で見、そして体験する。これから先どう変わって行くのか、少しばかり戸惑いも覚えながら生きて行くことになるだろう。子供たちの時代は、孫たちの時代は、世界は地球はどうなるのだろう。
便利便利とどんどんコンピューターが操る時代になって、人間らしさが失われていくような感じがする怖さがある。人の心は大昔から大差は無いと聞く。いや前の時代の方が豊かだったかも。急な坂をボールが転がっていくように、今となっては止められない時代の流れがある。道端の可憐な草花に話しかけ、雲の形が何かに似ていることを面白がるようなそんなゆっくりリズムが私は好きなのに…。時代に少しくらい乗り遅れてもいい。自分の速度で歩いて行こうと思う。