外の世界と繋げてくれた友人。

今日はあたたかい日。

窓から見える景色は近所の屋根、高速道路、その奥のマンションたち。
そして雲ひとつない青空。
青一色ではなく、薄い白と青のグラデーションのような色。
近所の屋根は、みな照らされて光っている。

「春っぽい天気だな。」

窓の外を見ながら寝起きの私はつぶやいた。

車の音、洗濯機の音、近所を走る子供の声。

視覚と聴覚に伝わる全てが
「今日は空の下で活動的になる日だよ」
と私に教えてくれる。

こういう日は少し苦手だ。
部屋で過ごす私が否定されているように思えてしまう。

いつか「心から外に出たいと思えない今の私」を私は嫌いになってしまうのかな。

木々が揺れ、風が吹いていることを知る。

窓を少しだけ開けてみる。

隙間からあふれるように私とぶつかった風は
幼少期の友人に似ていた気がした。

「思ったとおり。春じゃん。」

そうつぶやいた私はたぶん少し笑っていた。


おわり。

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